最終更新日 2018/04/16

クスマウル呼吸

クスマウル呼吸とは・・・

クスマウル呼吸(くすまうるこきゅう、Kussmaul breathing、Kussmaul respiration)とは、深く速い呼吸が規則正しく持続する異常呼吸である。一見して苦悶した状態を呈する呼吸様式である。クスマウル大呼吸ともいう。

深く速い呼吸により肺胞換気量を増加させ、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)を低下させて、代謝性アシドーシスを補正しようとする生体反応による代償性の呼吸である。

呼吸リズムの乱れや無呼吸はみられない。尿毒症糖尿病性ケトアシドーシスなど代謝性アシドーシスの患者にみられ、ドイツの内科医アドルフ・クスマウル(Adolf Kussmaul)が、糖尿病性ケトアシドーシスの患者に特有な異常呼吸パターンの存在を発見したことにより、クスマウル呼吸と命名された。

【糖尿病患者にみられるクスマウル呼吸】

I型糖尿病では自己免疫により膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンが正常に分泌されなくなる。インスリンが分泌されないと細胞は糖を利用することができず、エネルギー不足に陥ってしまう。その結果として、糖以外のエネルギー源である脂肪組織の脂肪を分解し、骨格筋のタンパク質も分解する(糖新生)。肝臓では糖新生とグリコーゲンの分解により血中へ糖が放出され、ケトン体の産生も亢進し血中へ放出される。ケトン体は酸性物質なので、次第に酸塩基平衡が破綻してアシドーシスとなる。こうした代謝性アシドーシスに対して、酸塩基平衡を保つために深く速い大きな規則的な呼吸により二酸化炭素濃度(PaCO2)を減らしてアルカリ化しようとするので、クスマウル呼吸となる。

執筆: 﨑尾浩由

那須赤十字病院 第二内科部長 救命救急センター

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