最終更新日 2018/03/12

出血性膀胱炎

出血性膀胱炎とは・・・

出血膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん、hemorrhagic cystitis)とは、出血(血尿)を伴って発症する膀胱の炎症である。症状としては血尿、頻尿排尿時痛である

通常の細菌性膀胱炎でも出血は見られるが、ウイルス、薬剤、放射線治療などが原因となって発症するものを出血性膀胱炎として扱うことが多い。

【原因】
■ウイルス
アデノウイルスが有名である。小児や免疫不全状態の移植患者に起こる。
■薬剤
(1)シクロホスファミド、イホスファミドなどの抗がん
尿中の代謝産物が尿中に排出されるために起こる。
(2)トラニスト(抗アレルギー剤)
(3)漢方薬
■放射線治療
骨盤への放射線照射による放射線性の出血性膀胱炎

【診断】
・前述の原因となる内服薬や疾患の有無を問診する。
尿検査で、白血球(炎症の有無)、尿細胞診で異型細胞(悪性腫瘍の有無)をスクリーニング。白血球が多ければ、まずは通常の細菌性膀胱炎を疑い、細菌培養検査を行う。
超音波検査やCTなどで腎や尿管に出血を来す病変がないかチェックする。
・膀胱鏡で膀胱がんのないことを確認する。放射線性の膀胱炎であれば虚血性の粘膜を背景に毛細血管の拡張が観察される。

【治療】
・健常な小児のアデノウイルスによる膀胱炎であれば自然軽快する。免疫不全状態であれば抗ウイルス剤を使用する。
・薬剤性のものでは、薬剤を中止する。シクロホスファミド、イホスファミドの使用にあたっては十分な補液により利尿を促進することと、代謝物の中和剤であるメスナを使用して発症を予防する。
・放射線性の出血性膀胱炎には、脆弱な毛細血管の内視鏡的凝固術や高圧酸素療法を考慮する。

執筆: 米瀬淳二

がん研有明病院 泌尿器科部長

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