最終更新日 1970/01/01

クラミジア

クラミジアとは・・・

クラミジア(くらみじあ、Chlamydia)とは、生きた宿主細胞内で増殖する細胞内寄生菌である。細胞の外では増殖できず、寄生でしか増殖することができない偏性細胞内寄生菌に分類される。

 

【クラミジアが原因になる疾患】
ヒトに病原性を示すものとしてトラコーマ・クラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジアの3種類がある。

 

(1)トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis
性交渉や産道を介して性器クラミジア感染症を引き起こす。
性器クラミジア感染症は若年者に感染者が多く、性感染症の中では最多である。感染後5~14日後に発症する。男性では尿道炎による排尿痛、女性では漿液性帯下の増加や骨盤内付属器炎による腹痛を引き起こす。しかし、無症状であることも多く、感染が慢性化すると不妊や異所性妊娠の原因となる。

 

産道感染では新生児に感染し、新生児クラミジア感染症として肺炎や結膜炎の原因となる。

 

(2)肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae
咳嗽などによる飛沫感染が感染経路である。
小児、高齢者に好発し、3~4週間の潜伏期間を経て急性上気道炎や急性気管支炎などの症状が見られる。長く続く激しい咳嗽が特徴的であるが発熱は軽度である。

 

(3)オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci
鳥類の飼育歴がある人に好発し、病原体が付着したチリやホコリを吸入することにより感染が成立する塵埃(じんあい)感染が感染経路である。
潜伏期間は1〜2週間で、咳嗽と急激な高熱が特徴的であり、肝障害を起こすこともある。

 

【検査】
クラミジアの確定診断には、以下の検査を行う。

(1)トラコーマ・クラミジア
遺伝子検査PCR検査など)によって行われる。
男性は尿検査で、女性は子宮頸部の細胞採取や腟分泌物を採取して検査を行う。

 

(2)肺炎クラミジア、オウム病クラミジア 
気道から採取した検体より病原体の分離・同定や抗原検査、遺伝子検査(PCR検査など)によって行う。
血清抗体検査を行う場合もある。

 

【治療法】
抗菌薬(テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系)の投与を行う。
性器クラミジア感染症はセックスパートナーに対する治療も必要となる場合がある。

 

【予防法】
(1)トラコーマ・クラミジア
性行為や性的接触時にはコンドームを着用することが予防となる。
産道感染を防ぐには出産前に母体の治療を行う必要がある。

 

(2)肺炎クラミジア
飛沫感染であるため、手洗いやマスクが予防となる。

 

(3)オウム病クラミジア
鳥類との接触を避け、接触した場合は手洗いを行う。
飼育をしている場合はゲージ内の羽や糞をこまめに掃除することも予防となる。また、直接口から給餌しない。

 

 

【引用・参考文献】
1)岡 秀昭.感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022 Grande.メディカルサイエンスインターナショナル,2021,p596.

SNSシェア

用語辞典トップへ