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2016年07月15日

ショック指数(Shock Index;SI)|知っておきたい臨床で使う指標[4]

臨床現場で使用することの多い指標は、ナースなら知っておきたい知識の一つ。毎回一つの指標を取り上げ、その指標が使われる場面や使うことで分かること、またその使い方について解説します。

根本 学
埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科診療部長

 

ショック指数(Shock Index;SI)

Shock Index (SI)は、1967年にAllgowerらによって提唱された簡便なショックの評価指標です。
日本語では「ショック指数」と表現されており、主として出血性ショックの初期評価に使用されています。
SIは、心拍数/収縮期血圧で算出されるため、特別な器具や装置がなくても算出可能ですし、血圧計がなくても、およその値は計算することができます。

〈目次〉

 


ショック指数(Shock Index;SI)
 

ショックインデックス、ショック指数、SI

 

SIを主に使う場所と使用する診療科

SIは、心拍数と収縮期血圧の値が測定できる場所ならどこでも使用可能なため、病院前救護や救急初療室、手術室、集中治療室だけでなく、一般外来の診察室や一般病棟など多くの場所で使用することができます。
従って、病院前救護において救急隊員が使用したり、救急初療室で輸液治療の効果や輸血の判断に用いられたりしています。

 

SIで何がわかる?

出血性ショックの場合、初期の段階では生体反応として交感神経が刺激されてカテコラミンが分泌されるため、心拍数と心筋収縮力は増加し、末梢血管が収縮することで収縮期血圧は維持されます。
そのため、収縮期血圧でショックの判断をすることはできないばかりか、見落とすことにもつながりますが、SIを用いることでショックをいち早く認知し、治療につなげることが可能になります。

 

SIをどう使う?

SIは正常値が0.5とされています。これは、心拍数が60回/分、収縮期血圧が120mmHgとした場合の値です(表1)。
つまり、「SI=60÷120=0.5」ということです。

表1出血性ショックの重症度分類とSI、出血量、症状・所見

ショックインデックス、SI、出血性ショックの重症度分類

SIが0.5以上になってくると出血していると判断します。
例えば、心拍数が120回/分で収縮期血圧が120mmHgの場合は、「SI=120÷120=1.0」となり、心拍数が120回/分で収縮期血圧が80mmHgの場合は、「SI=120÷80=1.5」、心拍数が140回/分で収縮期血圧が70mmHgでは、「SI=140÷70=2.0」となります。

 

一般的に循環血液量が5,000mLの場合、0.5<SI値<1.0だと出血量は750mL未満、1.0<SI値<1.5で出血量は750~1,500mL、1.5<SI値<2.0で出血量は1,500~2,000mL、SI値が2.0以上では出血量は2,000mL以上とされています。

 

妊婦の場合は循環血液量が増加しているため、SI値が1.0で1,500mL、SI値が1.5で2,500mLの出血量と推定されています(1)

 

以上より、SI値が1.0以上であると出血性ショックと判断し、適切な治療を迅速に実施することが求められると判断することができます。

 

SIを実際に使ってみよう

症例1

24歳の男性。交通事故で救急隊が収容依頼の連絡をしてきた。
意識は清明。心拍数80回/分、血圧140/80mmHg、呼吸数20回/分、血中酸素飽和度は98%(室内気)という。
この患者のSIと推定出血量は?

答え:SI 0.57、推定出血量は750mL未満

心拍数は80回/分で収縮期血圧が140mmHgであることから、SI=80÷140=0.57となり、推定出血量は750mL未満と考えられる。

→SIと推定出血量を確認

 

症例2

56歳の男性。今朝、トイレに行った際に真っ黒な軟便(タール便)に気付き、その後、ふらつきと動悸を自覚したため救急外来を受診した。
意識は清明だが顔面はやや蒼白。心拍数110回/分、血圧110/78mmHg、呼吸数24回/分であった。
この患者のSIと初期対応は?

答え:SI 1.0、初期対応:血算・生化学検査および消化器内科医へ連絡

心拍数は110回/分で収縮期血圧が110mmHgであることから、SI=110÷110=1.0となり、推定出血量は1,000~1,500mL。
タール便から上部消化管出血が疑われるため、直ちに採血して血算・生化学検査を行い、消化器内科の担当医に連絡する必要がある。

→SIを確認

 

症例3

34歳の男性。作業中に6mの高さから墜落して受傷したらしい。
救急隊接触時は意識もしっかりしていたようだが、救急外来到着時の意識レベルはJCS 20、心拍数140回/分、血圧80/58mmHgであり、胸部および骨盤X線検査で右血気胸と不安定型骨盤骨折と診断された。
この患者のSIと初期対応は?

答え:SI 1.75、初期対応:輸液療法の開始および輸血準備

心拍数は140回/分で収縮期血圧が80mmHgであることから、SI=140÷80=1.75となり、推定出血量は2,000mL。
ただちに輸液療法を開始し、輸血の準備を行う必要がある。

→SIを確認

 

症例4

28歳の女性。レディースクリニックで経腟分娩により出産したが、膣からの出血が多く、顔面蒼白となった。心拍数140回/分、血圧70/56mmHgである。
この患者のSIと初期対応は?

答え:SI 2.0、初期対応:輸液療法の開始および輸血準備、適切な医療機関への搬送

心拍数は140回/分で収縮期血圧が70mmHgであることから、SI=140÷70=2.0となり、推定出血量は3,000~3,500mL。
ただちに輸液療法と輸血を開始し、産科危機的出血と判断して高度な医療を実施できる医療機関への搬送を考慮する必要がある。

→SIを確認

 



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  • 3.患者さんから「なんとなく食欲がない」という訴えがあっても、一時的なものなので特別な対応はしない。
  • 4.患者さんから「動きたくない」と訴えがあれば、なるべくリハビリは行わないようにする。
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