スキンケアの基礎知識

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回はスキンケアの基礎知識について解説します。

 

瀧川雅浩
浜松医科大学名誉教授

 

 

Minimum Essentials

1スキンケアとは、皮膚を清潔に保ち、乾燥、肌荒れを防ぐため、肌の手入れをすることを指す。

2スキンケアの目的は、清潔の保持、保湿紫外線防御である。

3年齢、肌質に合わせ、医薬品、化粧品などを用いスキンケアを行う。

4適切なスキンケアにより、皮膚の老化を遅らせ、さまざまな皮膚トラブルを防ぐ。

 

スキンケアとは

スキンケアとは皮膚を清潔に保ち、乾燥、肌荒れを防ぐため、肌の手入れをすることを指し、清潔のスキンケア、乾燥のスキンケア、紫外線防御のスキンケアがある。

 

手入れには医薬品、化粧品などを用いるが、年齢、肌質に合わせてスキンケアをすることが大切である。スキンケアを適切に行うことにより、皮膚の老化を遅らせ、さまざまな皮膚トラブルを防ぐ。

 

清潔を保つ

清潔とは滅菌するということではなく、必要に応じて石鹸、シャンプーなどで洗浄する、入浴・シャワー浴するなどで汚れをとる、ということである。

 

入浴・シャワー浴のポイントは、皮脂を落とし過ぎないことである。熱過ぎ、長過ぎは皮脂の落とし過ぎになる。また、低刺激性石鹸・ボディソープを積極的に用いて、肌を保護する。乾燥肌の目立つ幼少児や高齢者では、保湿入浴剤などを用いて、乾燥肌の予防ケアも行う。ナイロンタオルやボディブラシは刺激が強いので使わない。

 

保湿する

保湿薬は好みや季節などに合わせ、患者の肌と相談しながら使用感の良いものを選ぶ。冬は油成分の多いものを、夏はさらっとした水成分の多いものを塗る(図1)。乾燥が強いときは1日に2~3回外用する。とくに入浴後15分以内は、角層が水分を含み皮膚表面からの吸収力が高まっているので、保湿に最適である。

 

図1 保湿薬選択のポイント

①乾燥期にはベタベタした、梅雨など湿度の高い時期にはさらさらしたタイプを外用する。
②患者に試し塗りさせて、塗り心地の良いものを選んでもらう。
③市販品でも肌に合えば、それを使用する。
④塗っても刺激感が出るなど肌に合わなければ、変更・中止する。

保湿薬選択のポイント

 

紫外線防御

長期にわたる紫外線曝露は光老化、また、皮膚がんのリスクを増やす。紫外線防御の対策には、以下の方法を組み合わせる。

 

・紫外線が強い春から秋の午前10時~午後2時頃は、できるだけ長時間屋外にいないように心がける。

 

日焼け止めを活用する:SPF値とPA値が高ければ良いというわけではない。海水浴や屋外でスポーツをする場合にはSPF値やPA値の高いもの、日常生活であまり日に当たらない場合は低いもので良い。使用説明書の記載に従い、塗る量や回数を守る。顔に塗るときは、塗り残しがないように鏡でチェックする。汗や摩擦で落ちてしまうため、こまめな塗り直しが必要である。

 

・日陰で活動する:夏の砂浜、冬の雪などでは地面や水面から紫外線が反射し、日陰にいても日焼けをすることがあるので注意する。

 

・衣類は肌の露出が少ないものを選ぶ。

 

・UV ウェアを着る、日傘をさす、帽子をかぶる。

 

SPFとPAの違い

SPF(sun protection factor):UVB曝露による紅斑が出現するまでの時間を、何倍に長くできるかを表したもの。SPF30の日焼け止めの場合、紅斑が現れるまでの時間を30倍に延ばすことができる。
PA(protection grade of UVA):UVA 波の防止効果を表す指標。+~++++の4段階に分けられ、+の数が多いほど防御効果が高い。

 

 

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子供の皮膚とスキンケア

新生児

生後1ヵ月以内に全身の肌がカサカサになり落屑する(新生児落屑)。新生児にみられる生理現象である。

 

乳幼児

首、わきの下、股、手足の関節部など、間擦部(肌と肌がこすれあっているところ)に汗や皮脂が溜まり汚れやすい。長時間放置すると、あせも、おむつかぶれの原因となる。

また、出生後3ヵ月頃までは母体由来のホルモンの影響で皮脂の分泌が多いため、新生児ざ瘡(ニキビ)、乳児脂漏性湿疹を発症することもある。毎日入浴し、低刺激性の石鹸やボディソープを用い、手指やガーゼを使ってやさしく丁寧に洗う。

 

生後4ヵ月を過ぎた頃から

皮脂の分泌量が減少し、乾燥しやすい状態になるため保湿ケアをしっかり行う。以下の点を中心にスキンケアを行う。

 

やさしく洗う

肌に刺激を与えないよう、石鹸を十分に泡立て、素手でなでるように洗う。石鹸やボディソープは乳幼児用のものを用いる。入浴後には必ず保湿薬を用いる。

 

しっかりと保湿する

乾燥しやすい冬だけでなく、1年を通じて保湿する。冬は乳液・クリーム、夏は乳液・ローションを使うなど、季節に合わせて保湿薬の種類を変える。お風呂上がりだけでなく、1日2~3回は塗布する。

 

保湿薬は丁寧にすり込むように、たっぷり塗る。離乳食が始まると口の周りが汚れ、それが刺激となり口の周りが赤くなったり、湿疹になることがあるため、食後はぬるま湯で丁寧に洗う

繰り返し洗ったり、拭くことで肌が荒れてしまった場合には、ワセリンなどの油性保湿薬を塗る。赤みが強く、かゆみがある場合はステロイド外用剤を用いる。

 

紫外線対策

子供は活動的である。外出や遊ぶ際は、できるだけ日陰を選び、必要に応じて乳幼児用の日焼け止めを塗る。汗をよくかくので、2~3時間ごとに塗り直すのがポイントである。

 

乾燥肌が強い児、アトピー性皮膚炎の児

さまざまな外的刺激に対して、肌が敏感になっている。肌に直接触れる衣類・肌着類は、チクチクしたものや硬くて皮膚がすれるようなものは避ける。保湿薬を1日に2~3回塗り、また、湿疹が強い場合はステロイド外用剤を塗布する。保湿性のある入浴剤を用いるのも良い。

 

 

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高齢者の皮膚とスキンケア

皮膚老化

加齢による自然老化と、紫外線の影響によって起こる光老化がある。

加齢による老化は衣服で覆われた部分にもみられ、皮膚は薄くなる。たとえば日光に当たらない腕内側では、採血・点滴時の皮内への液漏れや内出血、テープによる皮膚剝離・かぶれが起きやすい。

 

一方、光老化では紫外線に対する防御反応として、皮膚は厚くゴワゴワになり、皮膚色も濃くなる。それがしみ、しわ、たるみとなって現れる。

 

老化した皮膚

乾燥が目立ってくる。とくに空気の乾燥した冬では、腰、下腿を中心に皮膚がかさかさしてくる。これを老人性乾皮症といい、このような皮膚ではバリア機能が低下し、外部からの刺激物、アレルゲンが容易に侵入し、湿疹・かゆみなどが起こりやすくなる。

バリア機能を回復させるために保湿薬の外用は必須であり、また、赤みやかゆみなど湿疹性の変化が強いときはステロイド外用剤を塗布する。

 

長期臥床している高齢者

汗や皮脂で皮膚表面は汚れている。体調や季節にもよるが、週に2回は入浴・清拭を心がける。洗浄には脱脂力の弱い石鹸・ボディソープを用いる。

また、併せて全身を観察することで皮膚トラブルの早期発見につながる。とくに低温火傷、褥瘡については細かくチェックする。

 

多剤内服している高齢者

顔面、手背など露出部に発赤、丘疹などが出現した場合、光線過敏性薬疹を疑う。疑わしい薬剤を中止し、日焼け止めを外用するよう指導する。

原因薬剤はテトラサイクリン系抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬(ピロキシカム、ケトプロフェン、スプロフェンなど)、降圧薬(利尿薬、Ca 拮抗薬、ACE阻害薬)、スルホニル尿素(SU)類など多岐にわたる。

 

 

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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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