血球はどこで作られるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

今回は血球を作り出している骨髄について説明します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

血球はどこで作られるの?

赤血球、白血球、血小板などの血球を作り出しているのは骨髄です。

 

骨髄は骨の中心部の骨髄腔(こつずいくう)にある軟らかい組織で、造血が盛んに行われている赤色骨髄(せきしょくこつずい)と、造血をやめて脂肪組織に置き換えられた黄色骨髄(おうしょくこつずい)があります。黄色骨髄には通常は造血能力はありませんが、大量出血などによって急いで造血をしなければならない場合、赤色骨髄に変わるという特徴があります。

 

新生児は全身の骨髄で造血を行っていますが、成人を過ぎると造血の場所は椎骨、胸骨、肋骨などに限られるようになります。

 

赤色骨髄には、血液細胞の元になる幹細胞(造血幹細胞)があります。造血幹細胞は赤血球白血球血小板リンパ球など、すべての血球に分化できる能力を持つ細胞です。造血幹細胞は何段階かのプロセスを経て、様々な血球へと変化していきます。

 

骨髄には類洞(るいどう)血管というやや太い毛細血管が走り、骨髄中心部の静脈を経て骨の外の血管につながっています。類洞血管壁にはたくさんの穴が空いており、作られたばかりの血球はこの穴を通って血液中に入り込みます。

 

骨髄の造血能力が何らかの原因で低下した場合、肝臓脾臓で代償的に造血が行われます。これを髄外造血(ずいがいぞうけつ)といいます。骨髄の幹細胞に異常が起きると、再生不良性貧血白血病メモ12)などが引き起こされます。

 

メモ1再生不良性貧血

赤血球、白血球、血小板などの産生が減少する疾患。赤血球産生のために貧血が起きたり、白血球数減少のために感染しやすくなったり、血小板数減少によって出血が止まりにくくなります。

 

メモ2白血病

骨髄の幹細胞に異常が起こり、未成熟な白血球などが無制限に作られる疾患。血液の癌ともいわれます。骨髄性白血病とリンパ性白血病などがあり、それぞれ急性、慢性があります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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