褥瘡予防のため仰臥位を避け、左右の側臥位に体位変換していたら大転子部に発赤ができた!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、患者さんの褥瘡予防のため仰臥位を避け、左右の側臥位に体位変換していたら、大転子部に発赤ができた場合について解説します。
日本赤十字社 長浜赤十字病院 看護部
集中ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
発赤を見つけたときは、それが褥瘡なのか反応性充血なのかを判断することが大切です。
褥瘡であれば急性期なので経過を観察します。
そして褥瘡の発生原因を探り、適切な治療・ケアを行います。
何よりもこれ以上の悪化や再発を予防することが重要です。
- 発赤の見極めは、「指押し法」か「ガラス板圧診法」で行います。
褥瘡は治療よりも、褥瘡を作らないこと、すなわち予防が何よりも大切です。
褥瘡リスクアセスメントを行い、リスクに応じた予防ケアを行う必要があります。
起こった状況
症例
患者Aさん、90歳代。おむつ内失禁、痩せ型で仙骨部に骨突出があり、褥瘡治癒の痕がありました。
そのため仰臥位のポジショニングを避けて左右の側臥位でのポジショニングを行っていました。
清拭の際に皮膚の観察を行っていると、左右の大転子部の皮膚に押しても消えない発赤ができているのを発見しました。

どうしてそうなった?
発赤を見つけたときは、それが褥瘡なのか反応性充血なのかを判断することが大切です。
その見極めは、指押し法かガラス板圧迫法で行います。
白く消退しない発赤であれば褥瘡と判断できます。
具体的な方法は次の「どう切り抜ける?」で解説します。
褥瘡は、皮膚の一定の場所に継続して圧迫(外力)が加わり、組織内の血流が止まることが原因で発生します。
圧迫には「圧縮応力」だけでなく、「引っ張り応力」「せん断応力」があり、それらによって「ずれ力」がはたらいて組織障害が助長されます(図1)。
図1褥瘡発生のメカニズム

どう切り抜ける?
1 褥瘡になる発赤かどうかを見極める
発赤が見られたら、褥瘡になる「持続性の発赤」なのか、「一時的な発赤」(反応性充血)なのかを見極める必要があります。
「持続性の発赤」は、血管の破綻によって赤血球が漏出したもので、これは褥瘡になります。
褥瘡は不可逆的に阻血性障害に陥った状態ですから、発生初期には「発赤」となって現れることが多いのです。
一方、「一時的な発赤」は、真皮深層の微小血管の拡張による「反応性充血」で、褥瘡ではありません。
見分ける方法として「指押し法」があります(図2)。
図2指押し法で「反応性充血」と判断された発赤

見つかった発赤→3秒間指を押し当てる→指の当たった部分の発赤が白く消退しているため「反応性充血」と判断される
2 褥瘡発生の要因をアセスメントする
褥瘡を発生させる要因には、大きく分けて、「個体要因」と「環境・ケア要因」があり、両方の要因に共通する要因が「外力」「湿潤」「栄養」「自立」の4つです。
さらに、褥瘡が発生しやすい状況をまとめると、表1のような要素が挙げられます。
表1褥瘡発生のさまざまな要因

上出良一:褥瘡発生の要因.褥瘡治療・ケアトータルガイド.照林社,東京,2009:24.より引用
それらをアセスメントするために、ブレーデンスケールやOHスケール、K式スケールなどを使います。
3 予防・ケアのための適切なスキンケアとポジショニング
1)スキンケア
褥瘡ケアは「予防ケア」「発生後ケア」の2つに分けられます。
発生後ケアは、予防ケアに褥瘡やその周囲に対するケアが加えられものなので、予防的スキンケアは続けていく必要があります。
スキンケアの基本は、洗浄・保護・保湿で、図3の手順で行います。
図3スキンケアの手順

皮膚が乾燥したり、ふやけたり(浸軟)していると、皮膚の耐久性が衰え、摩擦やずれによるダメージが大きくなり、褥瘡が生じやすくなります。
皮膚が乾燥していたら、保湿剤を塗って、水分を蒸発させないようにし、浸軟には撥水性のスキンケア用品や皮膚被膜剤を用い排泄物の付着を防ぎ、皮膚を保護します。
創を治癒させるためには、創面を適切な湿潤環境に整える必要があります。
ドレッシング材の選択や軟膏については、皮膚・排泄ケア認定看護師や褥瘡対策チームに相談しましょう。
2)ポジショニング
体圧を分散させて安楽な姿勢をとることが必要です。
そのためには体の下にクッションを入れて、体を支える面積を広くします。
それにより、1か所にかかる圧力が分散でき、体の緊張もとれ楽な姿勢になります。
対象者に応じて適切な体圧分散マットレスを使用しましょう。
『褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)』では、褥瘡を予防するために有効な体位変換の間隔として、体圧分散マットレスを使う場合は「4時間以内」としています。
そのため、体位変換の間隔はルーチンで決めず、個々の症例や夜間の入眠状況をアセスメントして行うことが必要です。
3)その他
褥瘡ケアにおいては、皮膚・排泄ケア認定看護師や褥瘡対策チームに積極的に相談しましょう。
また、褥瘡のある人の大半は低栄養状態であるため、NST(栄養サポートチーム)に相談して栄養状態の管理・改善につとめることが望ましいです。
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1) 日本褥瘡学会編:褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版.照林社,東京,2022.
2) 田中マキ子:新 まるわかり褥瘡ケア─最新ガイドライン DESIGN-RⓇ2020に基づく.照林社,東京,2022.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



