点滴の刺入部の痛みを訴えたため確認すると、血管の走行に沿って発赤していた!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、患者さんが点滴の刺入部の痛みを訴えたため確認すると、血管の走行に沿って発赤していた場合について解説します。
日本赤十字社 長浜赤十字病院 看護部
集中ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
刺入部に痛みがあるときは「点滴液の血管外漏出」の恐れがあります。
血管外漏出が起こったときは原因を追及し、即座に最適な対処法をとります。
血管外漏出を早期発見するには、患者さん自身の症状を訴える力も重要です。
「何かあれば教えてください」だけでなく、「皮膚が赤くなる」「点滴周囲が痛くなる」といったポイントを具体的に伝えて患者さん自身に訴えていただきます。
- 血管外漏出が起きてしまったとき、皮膚障害の程度は薬剤の種類・濃度・漏出量などによって症状や状態が異なります。
時に痛みを伴う皮下硬結や、難治性の皮膚潰瘍の原因になります。
薬剤の血管外漏出に対する対処法は確立されておらず、血管外漏出を起こさないことが最善の策になります。
起こった状況
症例
90歳代の患者Aさん。数週間前から食事が摂れず入院されました。
血管が細く脆く、やっと手背に静脈ルートを確保することができました。
ビーフリードⓇを輸液ポンプを使って投与していると、Aさんが点滴刺入部の痛みを訴えられました。
確認すると血管の走行に沿って発赤し手背は腫れていました。
どうしてそうなった?
血管外漏出の主なリスク要因としては、表1のようなものが挙げられます。
表1血管外漏出の主なリスク要因

血管の選択部位、患者さんの年齢や背景疾患、輸液ポンプを使用しているかなども影響するため、知識としてもっておきましょう。
今回の症例では高齢者であることからさまざまな原因が考えられます。
どう切り抜ける?
血管外漏出があった際には、投与中の点滴を止めて、患者さんの静脈を注意深く観察し、原因を特定します。
血管外漏出時の皮膚障害の程度は薬剤の種類・濃度・漏出量などで異なります。
漏れると危険な輸液を考えるうえでは以下の4つのポイントがあります。
①高浸透圧の薬剤かどうか、②強いアルカリ性の薬剤かどうか、③血管収縮作用のある薬剤かどうか、④電解質補正の薬剤かどうか
また、ガベキサートメシル酸塩は、濃度依存性に血管内皮細胞を傷害し、血管形成や血管壊死を生じさせると言われています。
ガベキサートメシル酸塩を高濃度で投与した場合、明らかな血管外漏出がなくても血管破壊を生じ、二次的に漏出を招く可能性があるので注意が必要です。
これらの薬剤を使用するときには漏れると危険な輸液を取り扱っているという認識をもち、漏出を起こさせない対策とともに、丁寧な観察と問診が必要になります。
一般的に、血管内投与のみで皮下注射の適応がない薬剤は注意が必要です。
血管外漏出に注意すべき薬剤(表2)が漏出した場合、当院では皮膚科の医師の診察を受けるようにしています。
表2血管外漏出に注意すべき薬剤(抗がん剤は含まない)

血管外漏出を予防するために、血流のよい太い静脈を使用し、静脈確保が困難な場合は医師に相談し、中心静脈カテーテルや末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)、ポート造設などを考慮しましょう。
輸液ポンプを使用すると、血管外漏出があっても、ポンプで圧をかけ押されるため、挿入部位の観察を確実に行い、血管外漏出を早期に発見することが必要です。
目次に戻る
1) 浅野耕太:静脈投与✕トラブルシューティング.がん看護 2023;28(5):410-414.
2) 日本赤十字社和歌山医療センター看護部編:先輩ナースのかきこみが全部のってる!コツぶっくす 輸液.メディカ出版,大阪,2021:6.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



