血糖高値であったためインスリン投与したが、同姓の異なる患者さんに投与してしまった!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、血糖高値であったため患者さんにインスリン投与したが、同姓の異なる患者さんに投与してしまった場合について解説します。
広島市立北部医療センター安佐市民病院看護部
糖尿病看護認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
患者間違いを防ぐためには、患者確認を怠らないことが鉄則です。
どの薬剤においても患者誤認は絶対に避けなければいけませんが、インスリンの誤投与は低血糖という危険な状況になる可能性があるので、使用する際は特に注意しましょう。
- 患者誤認対策として患者確認は特に重要です。
部署内に同姓者がいる場合は特に注意深く確認しなければいけません。 - 間違って投与してしまった場合は、低血糖症状の出現に十分に注意します。
起こった状況
症例
糖尿病のある患者Aさん。誤嚥性肺炎で入院し、絶食・点滴管理となっていました。
1日3回簡易血糖測定し、スライディングスケールで対応するように指示が出ていました。
昼食時に担当看護師が測定した際の血糖値が280mg/dLであり、スライディングスケールに沿ってヒューマリンⓇRを4単位準備しました。
担当看護師が他の患者対応していたため、同じチームの看護師が準備してあったヒューマリンⓇRを患者さんに皮下注射しました。
後ほど担当看護師に注射したことを伝えたところ、同姓の異なる患者さんに投与してしまったことが判明しました。
どうしてそうなった?
さまざまな状況が絡み合ったアクシデントではあると思いますが、一番の原因は投与した看護師が患者確認を怠ったことです。
本来インスリンを注射すべき患者さんへ注射ができていないことも問題ではありますが、インスリンが不要な患者さんに注射してしまったことは、低血糖を引き起こすことになりかねず、患者さんが非常に危険な状況になる可能性があります。
どう切り抜ける?
1 血糖測定を行う
まずは、間違えて注射した患者さんの血糖値を測ります。
個人差がありますが、一般的にインスリン1単位で血糖値が50mg/dL下がるといわれています。
そのため、不要な患者さんにインスリンを投与した場合は低血糖を引き起こす可能性があり、最悪な場合は重症低血糖となり死に至ることもあります。
速やかに血糖値を測定し、低血糖を起こしている場合は、ブドウ糖を投与するなど低血糖対応をしましょう。
2 低血糖症状の確認
現時点で低血糖を起こしていない場合でも、インスリンの作用が持続することで、その後、低血糖を起こすことがあります。
そのため、低血糖症状には十分注意していく必要があります。
低血糖とは一般的に血糖値が70mg/dL未満になった状態のことを言います。
70mg/dL未満になると冷汗や動悸などの交感神経症状が出現し、50mg/dL未満になると頭痛や眼のかすみなどの中枢神経症状が出ます。
30mg/dL以下になると昏睡に至ることがあります(図1)。
図1低血糖症状

自律神経障害がある場合や高齢者の場合、低血糖の症状が出にくいことがありますので、特に注意が必要です。
3 低血糖を起こさないように管理する
インスリンの作用持続時間は種類によって異なります。
ヒューマリンⓇRは速効型インスリンになりますので、作用持続時間は5〜8時間となります。
そのため、インスリンの作用が続いている間は低血糖に注意する必要があります。
この場合、ブドウ糖液を持続点滴する、もしくは米飯、パン、クラッカーといったものを補食することで、低血糖を予防していく必要があります(図2)。
図2補食の例と摂取量の目安

医師に報告し指示を仰ぐことが必要になります。
4 本来投与すべきAさんへインスリンを投与する
忘れてはいけないのが、本来打つべきAさんにインスリンを投与することです。
高血糖のまま放置することは患者さんにとって不利益になります。
事実がわかるまでに時間を要した場合には、再度血糖測定を行い、医師に状況を報告するととともに必要なインスリン量を投与します。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



