別の疾患のために転院してきたリウマチ患者に、持参薬のメトトレキサートを連日投与した!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、別の疾患のために転院してきたリウマチの患者さんに、持参薬のメトトレキサートを連日投与した場合について解説します。
河北総合病院薬剤科
副科長

ピンチを切り抜ける鉄則
最大のポイントは、速やかに多職種と情報共有し、適切な処置を開始することです。
特に薬剤の過量投与については、患者さんを注意深くモニタリングし、必要に応じて拮抗薬を投与します。
また、これから出現すると想定される副作用に対する事前の準備も必要となります。
- 薬剤の誤投与は、たびたび発生しています。
特に、メトトレキサートの過量投与に関するアクシデントは、日本医療機能評価機構から医療安全情報として注意喚起がされています。
起こった状況
症例
週末の夜間に救急外来を受診し、緊急入院となった80歳代の男性患者Aさん。
リウマチの既往があり、他院でメトトレキサートが処方されていました。
当直医師から、持参薬はすべて継続と指示があり、看護師が持参薬を管理することになりました。
週明けに薬剤師が持参薬鑑別と薬歴確認をしたところ、他院から処方されていたメトトレキサートは週1回投与の指示でしたが、4日間連続で投与されてしまったことに気づきました。
どうしてそうなった?
当直医師が持参薬継続の指示を出す際に、「週1回投与」と記載するのを忘れてしまいました。
次に、持参されたメトトレキサート製剤に服用日時の記載がなく(図1)、配薬した看護師は休薬期間が必要な薬であるということを把握できていませんでした。
図1メトトレキサート製剤の特徴

そして、夜間の緊急入院かつ週末というタイミングが重なり、薬剤師による持参薬鑑別がされていませんでした(図2)。
図2過量投与した状況

どう切り抜ける?
1 速やかに患者さんのモニタリングを開始し、医師と薬剤師に情報共有する
今回、過量投与したメトトレキサートは、診療報酬上の「特に安全管理が必要な医薬品」としてハイリスク薬に該当します1。
治療は、薬剤の種類や総投与量、患者さんの状態によって対応が異なるため、直ちに患者さんのモニタリングを開始するとともに、医師や薬剤師に速やかに情報共有する必要があります。
また、患者さんの状態によっては、リアルタイムのモニタ管理と濃厚観察が可能な集中治療系の病床に移す必要があります。
そして、自覚症状(表1)を見逃さないようモニタリングし、状態変化にすぐ対応できる体制をとることが必要です。
表1自覚症状と可能性のある副作用

2 特に注意すべき症状とその対応を確認する
①骨髄抑制が出たら直ちに投与中止
メトトレキサートの過量投与時に注意すべき症状として、まずは「骨髄抑制」があります。
過量投与については、海外では週間総用量が20mgを超えると重篤な副作用、特に骨髄抑制の発生率が有意に上昇し、致命的な経過をたどった症例が報告されています2。
そのため、骨髄抑制が出現した場合には、直ちにメトトレキサートの投与を中止することが重要です。
骨髄抑制が軽症の場合には、経過観察のみで十分な場合も多いですが、頻回に血液検査を行い、骨髄抑制の有無を確認する必要があります。
重症の指標としては、ヘモグロビン<8g/dL、白血球数<1,500/mm3、血小板数<50,000/mm3があります。
これらでは、活性型葉酸であるロイコボリンⓇレスキュー(ロイコボリンⓇ救済療法)を行います。
ロイコボリンⓇレスキューとは、ロイコボリンⓇ錠10mgを6時間ごとに経口投与、あるいはロイコボリンⓇ注6〜12mgを6時間ごとに筋肉内(やむを得ない場合は静脈内)に投与するものです。
また、メトトレキサートの排泄を促進するために十分な補液と尿のアルカリ化を行う場合があります。
②好中球減少症の場合
また、好中球減少症では、顆粒球コロニー形成刺激因子(Granulocyte Colony Stimulating Factor:G-CSF)製剤の投与を行います。
血小板減少症では、高度で出血傾向が認められるときには血小板輸血を行います。
好中球減少に伴う二次的な感染症にも留意し、必要に応じて抗菌薬、抗真菌薬の投与を行うこともあります。
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1) 日本病院薬剤会:ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver.2.2) 平成28年6月4日.(2024/3/18アクセス)
2) ファイザー株式会社:リウマトレックスⓇカプセル2mg 添付文書 2024年2月改訂(第3版).(2024/3/18アクセス)
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



