点滴を外そうとしたら、閉鎖式コネクタごと外してしまい、逆血し出血させてしまった!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、点滴を外そうとしたら、閉鎖式コネクタごと外してしまい、逆血し出血させてしまった場合について解説します。
尾道市立総合医療センター 尾道市立市民病院看護部
集中ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
出血に伴う急変時の対応では、出血の原因が明確ならば止血対応と同時に、ショック状態に陥っていないかを観察することが必要です。
早急にアセスメントするためには、ABCDEアプローチとともに、ショックの5P徴候の有無の観察が重要です。
- 中心静脈カテーテルルートは原則接続部を外さず看護ケアを実施しますが、やむを得ず外す場合には、クランプを止め、閉鎖式コネクタと輸液セットの接続部分を外すという正しい手順を遵守することが大切です。
起こった状況
症例
腎盂腎炎から敗血症を発症した患者Aさん。
入院時に、右内頸静脈に中心静脈カテーテルを留置されました。
看護師は、持続点滴されていない1つのルートから抗菌薬を投与し、投与終了後にヘパリンロックを行って退室しました。
Aさんのモニタに頻脈アラームが鳴ったため、訪室すると中心静脈カテーテルから逆血し出血していました。
どうしてそうなった?
中心静脈カテーテルでは、細菌や空気の混入を防いで患者さんを感染の危険から守ることや血液の逆流を防ぐために、閉鎖式コネクタをルーメンのハブに接続して管理します。
輸液を接続するときには、閉鎖式コネクタに輸液セットを接続し、輸液の投与を行います。
輸液の投与が終了すると、本来は閉鎖コネクタと輸液セットを外し、ヘパリンロックを行い中心静脈カテーテルのクレンメを止めます。
しかし、看護師が誤って輸液セットと一緒に閉鎖式コネクタを外し、中心静脈カテーテルのクレンメを止め忘れてしまいました。
そのため、カテーテルの閉鎖性が維持できず、血液が逆流し、出血させてしまいました。
どう切り抜ける?
1 出血を止める
この場合、中心静脈カテーテルから逆血しているため、まずは出血を止めることが必要です。
中心静脈カテーテルにクレンメが付属されているときには、クレンメでロックして出血を止めます。
クレンメが付属されていないときには、徒手的にカテーテルを把持して止血するとともに、他の看護師に応援の要請を行い、閉鎖式コネクタまたは鉗子を持って来てもらって止血を行います。
2 ABCDEアプローチとショックの5P徴候を観察する
止血の対応を行うと同時に、出血に伴うAさんの全身状態をフィジカルアセスメントします。
生命の危機的状態にあるか否かを迅速に観察するときには、ABCDEアプローチを用いると迅速かつ正確に観察できます(表1)。
表1ABCDEアプローチにおける観察項目

また、ABCDEアプローチとともに、ショックの5P徴候(図1)の有無を観察し、ショックに陥っているかをアセスメントします。
図1ショックの5P徴候

ショックの5Pがすべて観察されるときには、重篤なショック状態と考えられます。
1つでも観察できるときは、ショックの可能性が高いとアセスメントします。
3 ショック指数から出血量とショックの重症度を把握する
ショック指数は、出血性ショックの初期評価に用いる指標です。
心拍数と収縮期血圧の値で測定できるため、バイタルサイン測定後に算出し、出血量とショックの重症度を把握します。
計算方法
ショック指数=心拍数÷収縮期血圧
表2ショック指数表

4 医師への報告
出血性ショックでは、血液循環を保つための治療が必要不可欠です。
そのため、ABCDEアプローチとショックの5P徴候の観察を行い、医師に状態を報告し、輸液や血液製剤の輸血などの指示を受けます。
必要に応じて、新たに静脈ルートの確保も必要です。
同時に、酸素投与を開始し、呼吸状態によっては気管挿管や人工呼吸管理を必要とする場合があるため、すぐに対応できるように、救急カートを要請します。
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1) 神谷健司:出血性ショック.道又元裕編著,重症患者のアセスメントとベストプラクティス.日総研出版.名古屋,2019:153-158.
2) 尾野敏明:循環器のアセスメント.佐藤憲明著編,急変対応のすべてがわかるQ&A,照林社,東京,2011:65.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



