強化インスリン療法 |いまさら聞けない!ナースの常識【29】

毎日の業務の中で触れているけど、『いまさら聞けない』ことってありませんか?

 

知ってるつもりで実は説明できない基礎知識や、ちょっと気になるけど調べるほどでもないな、なんてこと。

そんな看護師の素朴な疑問を、元看護師ライターがこっそり教えます。

 


 

Vol.29 強化インスリン療法

 

糖尿病の薬物療法の1つに、「インスリン療法」がある。

 

かつてはインスリン注射と言えば1型糖尿病患者や、2型糖尿病患者のうちでも、かなり血糖コントロールが難しい症例で行われ、離脱(=インスリン注射療法をやめること)はほぼ不可能であることが多かった。

 

しかし、現在は早期から「強化インスリン療法」を行うことで、離脱可能な患者も増えている。

今回は、近年注目されている「強化インスリン療法」についてみていこう。

 

【目次】

強化インスリン療法とは

強化インスリン療法の適応対象

体内へのインスリン導入方法

強化インスリン療法のメリットとデメリット

インスリンから離脱できる3つの可能性

ここだけは押さえたい!ケアのポイント3つ

 

強化インスリン療法とは

強化インスリン療法とは、糖尿病患者の血糖を正確にコントロールすることができる、インスリン治療法の1つである。

 

毎食前に、即効性インスリンを注射することで、健康者と同じ血糖値パターンに近づけることができる

 

強化インスリン療法のポイントは、可能な限り正常なインスリンの分泌パターンに近づけることである。そのためには、血糖自己測定や頻回なインスリン注射が不可欠であるが、血糖自己測定器や、携帯可能なキット製剤、超速効型などのインスリン製剤が開発されたことで、これらは可能となった。

 

また、従来のインスリン療法よりもHbA1c(グリコヘモグロビン)のコントロールが可能だ。

 

強化インスリン療法を用いることで、合併症の発症や進行を有意に減少させたというアメリカの研究結果もあり、今後も広まっていくものと考えられている。

 

強化インスリン療法の適応対象

主に、以下4つが、強化インスリン療法の適応対象である。

 

(1)1型糖尿病患者

(2)膵臓摘出などにより膵臓機能自体が悪い患者

(3)妊娠中や妊娠を希望する患者

(4)2型糖尿病で膵臓を休ませる必要がある症例

など。

 

体内へのインスリンの導入方法

3回の食事前+就寝前の1回=計4回自己注射を行う。

基礎分泌がある程度コントロールできていれば、食事前に3回のみのケースもある。

 

さらに、注射の直前に血糖自己測定を行い、その結果によって実際のインスリン量を調整しながらより厳密に血糖をコントロールするケースもある。

 

強化インスリン療法のメリットとデメリット

【メリット】

従来のインスリン療法よりも、実際に体内で分泌されるインスリンよりも食後血糖の管理がしやすい点にある。

 

例えば、インスリン療法では、食前30分に注射しなければならなかったが、強化インスリン療法では、食事の直前に注射できるようになった。

 

その結果、間違って2回注射してしまうことによる低血糖を減らすことにつながったとされている。

 

【デメリット】

強化インスリン療法は食直前に一定量の超速効型インスリンを自分で注射するため注射方法や食事内容によっては低血糖を招くリスクもある。

 

インスリンから離脱できる3つの可能性

強化インスリン療法を続けることで、疲弊した膵臓が復活し、血糖コントロールが良好になれば強化インスリン療法から離脱することも可能となる。

 

以下、3つのケースにおける、インスリンからの離脱の可能性をみてみよう。

 

【1】糖尿病の発症直後の場合

⇒ 疲弊した膵臓の復活が期待され、インスリン分泌能の復活が望める

 

【2】SU薬(インスリン分泌促進剤)の服用が短期間の場合

⇒ 長期間服用するとインスリン自体が枯渇している可能性があるが、短期間であればインスリン分泌能の復活が望める

 

【3】持続型あるいは二相性を使用していない場合

⇒ この場合は、基礎分泌まで補っているため、すでにインスリンが枯渇している可能性がある

 

【まとめ】

いずれの場合でも、強化インスリン療法で責任インスリンを注射している場合は、発症早期であれば膵臓の復活(インスリン分泌能の復活)が望める。

 

そのため、近年は比較的早期から強化インスリン療法を開始し、食事療法・運動療法や内服薬との併用も含め、良好な血糖コントロールが出来るようになれば、インスリンから離脱できる患者も増えてきた。

 

ここだけは押さえたい!ケアのポイント3つ

看護師としては、まず、強化インスリン療法について患者に十分理解をしてもらう必要がある。

 

そして、血糖自己測定も併せて患者が自己管理できるよう、適切な指導を行うことが重要となる。自己管理においては、例えば、以下のようなことに注意したい。

 

【1】自己注射器の"冷やし過ぎ"に注意

インスリンの自己注射器は患者自身(あるいは家族など)が自分で薬液を注射器にセットするものである。

 

しかし、冷所保存のため冷やし過ぎ(凍結することもある)などで使えなくなる場合もあり、その場合は早めに受診して新しいものと交換する必要がある。

 

【2】インスリンの量・単位数に注意

インスリンの量・単位数も自分でセットするため、単位数の変更後などは、間違いが起きやすい。

 

【3】注射"針"の管理に注意

血糖測定用・自己注射用と2種類の針も自己管理である。

 

使用済みのものは、ペットボトルなどにまとめて受診の際に病院へ持参するが、特にB型肝炎などの感染症がある場合は家族への針刺し事故防止策なども必要となる。

 

【まとめ】

看護師は、単に「この単位数を食事前に打って下さい」と告げるだけでなく、上記のような細かい点までしっかりと指導する必要がある。

 

 

【岡部美由紀】

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