受動喫煙対策がかなりグダグダの気配に…

ここ数日、国が進める受動喫煙防止の強化対策が骨抜きになる?と話題になっています。

 

看護師として押さえておきたい新しい受動喫煙防止対策の焦点を解説します。さらに、気になる「看護師の喫煙率」についても、まとめてみました!

 

医療機関の規制は強化、でも飲食店は…

みなさんの職場には、タバコを吸う同僚はいますか?

禁煙の場所が増えたし、周りでも喫煙者は減ったかな」という方も多いかもしれませんね。

 

タバコによる健康被害への意識の高まりから、受動喫煙を防ごうという社会のムードは次第に強まってきています。

 

特に医療機関は、「敷地内禁煙」や「屋内禁煙」が当たり前のご時世。医療者の喫煙に対する目は厳しいですよね。「そろそろタバコやめなきゃ…」と考えている看護師さんもいるのではないでしょうか。

ところが先日、この流れに逆行するかのような、「国の受動喫煙対策が大きく後退する」というニュースが一斉に報じられました(2017年11月15~16日)。

 

ただし話題の焦点は、医療機関ではなく飲食店。

 

厚生労働省が2020年の完全施行を目指している新たな受動喫煙防止対策では、医療機関は原則として「敷地内禁煙」と厳しく規制される見通しですが、飲食店は「どのくらいの広さの店舗まで喫煙を認めるか」が議論になっているのです。

 

えっ、規制の対象外が一気に5倍に!?

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、「スモークフリー社会の実現を!」と意気込む厚労省。オリンピックをてこに受動喫煙防止対策を強化したいと、健康増進法の改正を目指してきました。

一方、この規制強化に反対する勢力が根強いのが自民党です。厚労省の規制強化案に激しく反発しています。

 

厚労省が2017年3月にまとめていた改正案では、「飲食店は原則として屋内禁煙。喫煙OKなのは床面積約30平方メートルのバーやスナックのみ」とする方針でした。

 

ところが、今回報じられた見直し案によると、この制限が「150平方メートルの飲食店」に緩められるとされています(新規店舗や大手チェーン店舗は除く)。それに対して、「自民党に骨抜きにされた」「規制の意味がない、完全なザル法だ」と批判されているというわけです。 

 

ちなみに、床面積約30平方メートルは、病室で言えば一般的な4床室くらいの広さでしょうか。それが一気に5部屋分の広さに基準が変わるとなっては、確かにあってないような規制と言わざるを得ませんね。

 

医療機関は「敷地内禁煙」、違反したときの罰則は?

さて、それでは新たな受動喫煙防止対策で、医療機関に対する規制はどうなっているのでしょう?

飲食店のように話題にはなっていませんが、あらためて確認します。

 

先にも触れた通り、厚労省の案では、医療機関には「敷地内禁煙」を義務付ける考えです。
老人福祉施設は「屋内禁煙、喫煙専用室の設置も不可」となっています。

 

もしも違反した場合、「まずは都道府県などによる指導や勧告、命令で改善を求め、それでも従わなければ罰則(過料)」と、厚労省は考えているようです。

 

ただ医療機関には、診療報酬上の“縛り”がすでに存在しています。

 

たとえば、「ニコチン依存症管理料」や「総合入院体制加算」などを届け出ている医療機関は、敷地内禁煙や屋内禁煙を守っていることが必須条件です。これらの項目を算定していたにもかかわらず、職員が敷地内で喫煙していたのが発覚して数千万円の診療報酬を返還することになった事例も過去にありました。

 

健康増進法が改正されたとしても、すぐに厳しい罰則が適用されるわけではないようですが、これまでの診療報酬上の施設基準にどう影響するのかも注目したいところです。

 

看護師の喫煙率は下がっている!

最後に、看護師の喫煙率についても見てみましょう。

 

ストレスの多い職種だから、喫煙者が多い」というイメージもある看護師ですが、実は、その喫煙率はこの十数年で劇的に下がっています。

日本看護協会が行った2013年の実態調査によると、看護職の喫煙率は7.9%でした。女性だけに限ると、さらに低く7.2%となり、一般の成人女性の喫煙率8.2%(2013年国民健康・栄養調査)を下回っています。

 

2001年調査では25.7%(女性のみ24.5%)で、一般の成人女性(9.9%)の2倍以上だったこと、そして一般女性の喫煙率はこの10年ほど10%前後で横ばいであることを考えれば、看護師のタバコに対する意識がいかに変わったかがうかがえます。

 

今回話題になった飲食店の規制の後退に、禁煙・受動喫煙防止対策を推進する日本医師会、日本看護協会をはじめとする医療団体は当然、強く反発するでしょう。患者さん・住民の健康を預かる医療者として、受動喫煙対策の動きを見守っていきたいですね。

 

【烏美紀子(看護roo!編集部)】

(参考)

受動喫煙防止の改正案、喫煙可は150平方メートル以下に(産経ニュース)

受動喫煙防止対策の強化について(基本的な考え方の案)(厚生労働省)

2013年「看護職のタバコ実態調査」報告書・PDF日本看護協会

平成25年国民健康・栄養調査結果の概要・PDF(厚生労働省)

ナースの喫煙(看護師の掲示板 ナースカタリーナ)

 

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