スタバのフラペチーノは砂糖何g?知らないと怖い砂糖消費の現状

「甘さ控えめ」の日本人でも砂糖とりすぎ―Are our diets becoming sweeter?

無糖・微糖・低糖など日本が「甘味離れ」にある中、世界の砂糖消費量は右肩上がりで加速している、という研究結果が有力医学誌「Lancet」で発表されました。

「スターバックスのフラペチーノとマフィン」で摂る砂糖の量を、あなたは知っていますか?

 

【INDEX】

砂糖を取り巻く世界の動向

砂糖消費量ランキングトップ3と日本の順位

砂糖消費国トップを走るアメリカの砂糖事情

「スタバのフラペチーノとマフィン」で推奨値の4倍

日本とアメリカ ―甘さの味覚はケタ違い―

単なる甘党?本当は怖い砂糖の依存症

Key Word : be getting – er  (-になる)

 

 

砂糖を取り巻く世界の動向

砂糖の取り過ぎは、塩分の取り過ぎよりも肥満・心臓病・糖尿病ばかりでなく、高血圧脳卒中のリスクも高めることが、最近の研究で証明されています。

 

砂糖の過剰摂取による健康被害が明らかとなる一方、新しい甘味料が次々と開発され市場に蔓延している状況に、多くの研究者たちが警鐘を鳴らしています。特に、甘味料が多量に含まれる清涼飲料水の消費は、世界中で上昇の一途をたどっており、もっとも懸念すべき課題です。

 

今回の研究でも、清涼飲料水は健康被害の元凶であり、各国政府がこの課題に真剣に取り組むべき、と提言しています。
すでに、メキシコ・フィンランド・ハンガリー・フランスでは、アルコールやタバコ同様に清涼飲料水に税金を課し、その消費を抑える対策を実施、国民健康の効果的な改善策となるか注目されています。

 

砂糖消費量ランキングトップ3と日本の順位

世界保健機関(WHO)は、1日の砂糖摂取量1日25g、小さじ6杯、と推奨しています。

 

日本は「甘さ控えめ」だから大丈夫!と思うかもしれませんが、日本人の1日あたりの砂糖消費量は、WHO推奨値の2倍以上という結果が報告されています。

 

2015年2月「Washington Post」に掲載された 世界56か国の砂糖消費量データによると、一人あたりの砂糖消費国Top3は

1位 アメリカ 126.4g (小さじ32杯)

2位 ドイツ 103.9g (小さじ26杯)

3位 オランダ 102.5g (小さじ25杯)

・・・

26位 日本 56.7g  (小さじ14杯)

 

ちなみに、砂糖消費量が最も少ない国はインドの5.1g(約小さじ1杯)という結果でした。

 

砂糖消費国トップを走るアメリカの砂糖事情

ダントツTopを走るアメリカの一人あたりの年間砂糖消費量は実に約73kg。1800年代の砂糖消費量と比較すると733%も上昇しています。

 

それもそのはず、アメリカ人の2人に1人が毎日飲んでいるコーラなどの炭酸飲料水1本あたりに含まれる砂糖は小さじ約10杯。カップケーキ1個に含まれる砂糖は約小さじ12杯など、3食の食事以外で口にする食べ物・飲み物だけで、WHOの推奨する1日の砂糖摂取量小さじ6杯をゆうに超えてしまうのです。

 

「スタバのフラペチーノとマフィン」で推奨値の4倍

日本でも人気のスターバックス・コーヒーやハンバーガーショップなどのファストフードもアメリカの砂糖消費量を押し上げています。

ここで、アメリカ人の典型的な軽食の一例と砂糖摂取量を紹介しましょう。

 

●Starbucksで抹茶フラペチーノ(グランデ)とチョコレートマフィンを注文した場合の砂糖摂取量は?

抹茶フラペチーノ 65g(小さじ16杯)

チョコレートマフィン 35g(小さじ9杯)

合計 100g (WHOの推奨値の約4倍)

 

●カリフォルニアで一番人気のハンバーガーチェーン 『In-N-Out Burger』でチーズバーガーとバニラシェイクを注文した場合の砂糖摂取量は?

チーズバーガー 10g(小さじ2.5杯)

バニラシェイク 57g(小さじ14杯)

合計 67g (WHOの推奨値の約3倍)

 

日本とアメリカ ―甘さの味覚はケタ違い―

私がアメリカで暮らす中でも、スイーツ1つを取っても砂糖に対する文化の違いやちょうどいい甘さの違いを感じます。

アメリカで出会ったスイーツの多くは、私の「甘い」という感覚をはるかに超える激甘なもので、砂糖の塊をジャリジャリ食べているような感覚に襲われ、ほとんど受けつけませんでした。

 

例えば、スーパーで売られているカップケーキ。6個入りで約400円など手ごろな値段のカップケーキは、差し入れの定番としてよく使われます。季節のイベントごとにトッピングの生クリームが変わり、見た目はとても魅力的です。

しかし、生クリームは食べた途端「ジャリ」という不快な砂糖の歯ごたえ、ケーキは持つだけでギュッと染み出る糖分と油分に驚愕したことが何度もあります。もちろん、これらのカップケーキは、小麦粉よりも砂糖の方が多く使われています。

 

単なる甘党?本当は怖い砂糖の依存症

異様なほど砂糖が使われ、甘ければ甘いほど売れるアメリカの傾向は、もはや「sweet tooth(甘党)」ではなく「sugar addiction(砂糖依存症)」であることが最近の研究で指摘されています。

 

精製された砂糖、いわゆる「白砂糖」は、幸福感を引き起こす大量のドーパミンセロトニンを分泌し、コカイン・ヘロインなどの薬物と同じような作用があり、強力な依存症を引き起こします。

「甘いものがないと落ち着かない」は、砂糖依存症サインの1つです。

 

残念ながら、市場は砂糖依存が増えれば増えるほどもうかるシステムのため、砂糖の健康被害に積極的なアプローチをする姿勢は今後もみられないでしょう。私たち消費者自身が、砂糖の取り過ぎによる弊害を認識し、意識して砂糖の摂取を減らしていくことが健康を維持する近道なのかもしれません。

 

本日のKey Word: 「be getting -er」(―になる・―になっている)

「be getting -er」は、時間的な経過にともなう変化を表現したいときに使います。

特に「is betting better」(-がよくなっている)や「is getting worse」(-が悪くなっている)は、医療現場でほぼ毎日使うフレーズです。

 

例えば、嘔気を訴えた患者さんに制吐剤を投与。30分後に薬効を確認する際、「(嘔気は)よくなってきましたか?」と声をかけます。まさに、このフレーズが「Are you getting better?」です。

また、炎症や浮腫などで両足が大きくなっているときには「your legs are getting bigger」などを使います。

 

今回紹介したニュース原文で、「be getting -er」を含むsentenceを紹介しましょう。

The Lancet looks at the global diet and concludes that, overall, it is getting sweeter, posing health risks.

(医学誌「Lancet」は、世界の食事に注目し、「世界全体の食事はどんどん甘くなっており、健康リスクを引き起こしている」と結論付けています。)

 

【Sources】

Are our diets becoming sweeter?(MNT)

Where people around the world eat the most sugar and fat(The Washington Post)

Sugar: America's Addiction, feeling sick? Symptoms of Sugar Intoxication(DesignInfographics)

 


【筆者】佐藤まりこ

2001年旭川医科大学医学部看護科を卒業。2010年California RN Licenseを取得後、LAでRN(Registered Nurse)として活躍中。

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