きっかけはおばあちゃんの「カムサハムニダ」|患者さまは外国人~インターナショナルナースのドタバタ日誌

「インターナショナルクリニック」の看護師で「エスコートナース」でもある山本ルミが患者さまとのドタバタな日常をお届けします!


 

私の出身は大分県中津市。中学生の時に看護師の叔母が働く老人ホームで、雑用や食事介助のボランティアを始めました。

 

これが私のナース人生の原点です。

最初の目当てはおやつでしたが、そのうち患者さんに会うのが楽しみになりました。

 

今でもそうですが、人とのコミュニケーション(当時はただのおしゃべり?)が大好きで、寝たきりのお年寄りのそばでいろいろとお話ししたのを覚えています。

 

その経験と「これからは女も一人で生きていけるように資格を取った方がいい」という母の勧めから、高校から看護科に進みました(おかげで今も一人で強く生きています…)。

 

最前列右側が私。人生の転機(!?)留学先のカナダで

 

転機は3年目。英語を学べば世界が広がる!?

高校卒業後は看護学校に進み、大学病院に就職。

留学を具体的に考えたのは、2年間内科を経験して小児科に移動になった頃でした。

 

看護学生の時、夏休みにアメリカのロサンゼルスでホームステイを経験して以来、「英語を学べば絶対に世界が広がる!」と思い、ずっと計画していたのです。

 

ある日、婦長さんに留学のために退職したいと話すと

「これからはいろんな勉強をした、経験豊かで人間性の高い看護婦が必要。今回は休職にしてあげるから6カ月行って帰って来なさい!」

とのありがたいお言葉。

 

留学先のカナダで一番心に残ったのは、英語がド下手な私に対して、みんなが耳を傾けていつでもヘルプしてくれたこと。英語の習得はイマイチでしたが、異文化の中で生活することで、たくさんの学びがありました。

 

帰国してから、「私も日本にいる外国人のために何かできないかな?」と考え始めました。

そして「自分にできるのは看護…それなら看護師として困っている外国人を助けたい!」と思い、転職したのが外国人専用の「インターナショナルクリニック」です。

 

ドクターも患者さんも外国人、日本の病院とは言葉から何から全て違って驚きの連続!

 

患者さんを母国まで送る。それだけ。だけど奥深い

クリニックで働き始めて3、4年後。

ドクターから「患者さんを韓国まで送ってくれない?」と頼まれました。けがや病気によっては、医療者の付き添いがないと飛行機に乗れないことがあるんです。

 

「タダで韓国に行けるってこと!? ヤッター! キムチにあかすり!!」

心の中でガッツポーズ! 大喜びで引き受けました。

 

そして当日、ふと気付きました。

「あれ? そういえば大腿骨骨折で動けないという以外、患者さんの情報がない!?」

 

マニュアルもなく、それどころかどこの病院に連れて行くのかもわからない!

 

患者さんは韓国語しか話せないし、私は機内で一人パニック状態。旅気分でOKしたことを後悔しながら、何かしなきゃという気持ちだけで、1時間おきに熱を測ったり血圧を計ったり。

 

空港に着くと救急隊員が待ち構えていて、連れ去られるように救急車に乗せられました。隊員たちも韓国語しか話せず、行き先も聞けないまま1時間後に病院に到着。

 

エスコートナースの必需品、アンビューバッグや尿道カテーテルなどが入ったナースバッグ

 

「どうしよう、私、役立たずだ…」

申し訳ない気持ちで車を降りると、先に降りた患者さんはストレッチャーに乗せられ、家族に囲まれていました。

 

すると、患者さんのおばあちゃんでしょうか、その中の年配の女性が私の方へ歩いてきたんです。私の手を握り、「カムサハムニダ、カムサハムニダ(韓国語でありがとう)」と何度も頭を下げてくれました。

 

緊張と落ち込んでいた気分がすっと晴れ、やっと「患者さんが無事帰れてよかった」と安心できました。同時に「なんていい仕事なんだろう!」って思ったんです。次の機会があったら、プロとしてしっかり仕事したいと心から思いました。

 

それから何度かクリニックの患者さんを搬送しているうちに、フランスのアシスタンス会社に日本人として初めて登録。クリニックで働きつつ、要請があればエスコートナースとして飛び回る日々が始まりました。

 

あのおばあちゃんの言葉がなかったら、エスコートナースとしての私は誕生していなかったかもしれません。

 

仕事も人生も愛してる!

2007年にはそんなドタバタな話を本にまとめる機会にも恵まれ(「空飛ぶナース」)、今年はコミックエッセイ「患者さまは外国人」の原案に関わることができました。

 

外国人だらけの職場、語学の勉強、海外での仕事、執筆活動…。

私にとっては全てがチャレンジ!

 

大変なことも多かったけど、今でも続けられているのはトラブルも含めて仕事を、人生を楽しんでいるからでしょうか。

これからも、履歴書に書き切れない経験を積んで、成長していきたいと思ってます!


【山本ルミ】看護師・エスコートナース

大分県出身。93年より六本木のインターナショナルクリニックに勤務。98年よりエスコートナースとしても活躍している。著書に『患者さまは外国人』(山本ルミ・原案 世鳥アスカ・漫画)など。

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