最終更新日 2018/05/15

顕微鏡的多発血管炎

顕微鏡的多発血管炎とは・・・

顕微鏡的多発血管炎(けんびきょうてきたはつけっかんえん、micorscopic polyangiitis〈MPA〉)とは、小血管を主体とした血管炎の一つである。

【概要】
血管壁に炎症を起こす疾患を血管炎といい、侵される血管の太さにより大型血管炎・中型血管炎・小型血管炎の3種類に分類される。小型血管炎は細動静脈や毛細血管が侵される血管炎であり、免疫複合体が関与する免疫複合体性血管炎と抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody〈ANCA〉)が関与するANCA関連血管炎に分類される。このANCA関連血管炎の中で、肉芽腫性病変の見られないものが顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis〈MPA〉)である。ANCA関連血管炎には肉芽腫性病変を認めるものとして多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis〈GPA〉)と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis〈EGPA)がある。

【症状・検査所見】
顕微鏡的多発血管炎は高齢者に多く、発熱・体重減少・易疲労感・関節痛などの全身症状とともに臓器での出血虚血・梗塞による徴候が出現する。壊死性糸球体腎炎の頻度が最も高く、進行は早く数週間から数カ月で急速に腎不全に移行する。検査所見ではP-ANCA(MPO-ANCA)の上昇を認め、疾患特異抗体であるため診断に有用であるとともに疾患活動性の指標にもなる。

【治療】
治療は迅速に寛解導入療法を開始することが長期的予後を改善するために重要である。ステロイドや免疫抑制剤を使用するが、最重症例では血漿交換療法を併用することもある。

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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