最終更新日 2023/11/28

前立腺

前立腺とは・・・

前立腺(ぜんりつせん、prostate)とは、膀胱の底部に位置する、硬いクルミ状の大きさをしている男性のみにある生殖器である。

 

【どのような機能があるか】
前立腺は、精液の一部となる、乳白色の前立腺液を分泌する。前立腺液は、精子を活発化させる働きがある。また、前立腺は射精時に収縮することで、精液を尿道へと押し出す補助をする。

 

前立腺管から乳白色の前立腺液が前立腺洞に開口し、精管・精嚢からの分泌物(精子)と合わさって精液となり、尿道前立腺部へ送り出される。

 

前立腺の収縮と分泌は、腰髄に由来する交感神経線維によって刺激され、射精を引き起こしている。このようにして、精子の運搬と供給をなしている。ちなみに、仙髄由来の副交感神経線維の働きは不明であるが、前立腺を通る神経線維が海綿体神経を形成して勃起を引き起こす。

 

【どのような構造か】
前立腺は膀胱と密接している。前立腺は尿道を取り囲んでおり、尿道の周りの「内腺」、被膜付近にある「外腺」に分けられるが、最近は「移行領域(transitional zone;TZ)」「中心領域(central zone;CZ)」「辺縁領域(peripheral zone;PZ)」と大きく3部位に分ける場合が多い。

 

なお、尿道は前立腺の中で射精管と合流している。

 

神経血管束が前立腺の背側を走行しており、前立腺動脈は内腸骨動脈からの枝である下膀胱動脈と中直腸動脈から栄養されている。


【代表的な疾患】
前立腺の代表的な疾患は、前立腺肥大症と前立腺がんである。
前立腺肥大症の好発部位は内腺(移行領域)で、そこが肥大することで尿道が圧迫され、尿が出にくくなったり、排尿の回数が増えたりするなどの症状が見られる。
前立腺がんの好発部位は、外腺(辺縁領域)のため、早期には自覚症状は見られない。がんが進行した場合は、排尿痛血尿などの症状が見られる。

 

また、慢性前立腺炎や、尿路感染症およびその合併症として急性細菌性前立腺炎・前立腺膿瘍などが生じることもある。

 

 

【引用・参考文献】
1)Brian M Benway,et al.Prostate biopsy.UpToDate.
2)山下康行.ジェネラリストを目指す人のための 画像診断パワフルガイド.第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2022,p880.
3)佐藤達夫ほか 監訳.臨床のための解剖学.第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2016,p 2016.

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