最終更新日 2018/10/29

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症とは・・・

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう、palmoplantaris pustulosis)とは、手掌や足底に膿疱が左右対称に繰り返しできる慢性皮膚疾患である。

【症状】
手掌や土踏まず、踵などに、掻痒感を伴う発赤の後に、水疱ができ、膿疱となり、しばらくすると褐色の痂疲を形成し、角層が剥がれ落ちる。そして再び新規の膿疱が別部位に形成されることを繰り返し、上記の皮疹が混じった状態になる。
また、肘や膝に発赤を認める場合(掌蹠外皮疹)や、の変形を認める場合もある。10~30%の患者に関節症状を認め、鎖骨から前胸部に疼痛を伴い腫脹すること(胸肋鎖骨間骨化症)や、頸部痛、腰痛を自覚することもある。

【原因】
膿疱は、一種のアレルギー反応により白血球が集まったと考えられ、細菌は存在せず、体の他部位や他人にうつすことはない。

【治療】
病巣感染や金属アレルギーなど、悪化させる要因の除去を行う。増悪因子がない場合は、外用療法として、副腎皮質ホルモン軟膏や活性型ビタミンD3軟膏の塗布が行われる。治療困難例では、PUVA、ナローバンドUVB、エキシマライトなどの光線療法や、抗生物質、ビタミンA誘導体、ビタミンHなどの内服薬を、症状に合わせて組み合わせて治療する。ほとんどの症例が3~7年で改善する。
扁桃腺炎やう、歯周炎などに慢性炎症があり(病巣感染)、扁桃摘出や歯科治療により、皮疹が劇的に改善する例もある。また、喫煙(8割が喫煙者)や歯科金属のアレルギーの関与も指摘され、禁煙や歯科金属除去が効果的なこともある。しかし、原因不明な例も多い。

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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