最終更新日 2018/07/10

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは・・・

糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょがい)とは、長期間の高血糖が持続することによって、末梢神経や自律神経の機能が障害されることである。
糖尿病神経障害は糖尿病網膜症、糖尿病腎症とともに糖尿病の3大合併症の一つである。高血糖が持続すると神経そのものが浮腫や変性に至ること、神経を栄養する細血管が閉塞してしまうことが原因と考えられている。
糖尿病神経障害は(1)多発性神経障害、(2)自律神経障害、(3)単一性神経障害の3つに細かく分類される。

【多発性神経障害】
多発性神経障害は感覚神経や運動神経の障害によって起こる。障害部位は四肢末端部位を起点として生じることから「手袋靴下型」の神経障害と呼ばれることもある。主な症状としては痛みやしびれ、感覚の違和感といったものが挙げられる。

【自律神経障害】
自律神経障害は自律神経が支配する内臓の障害である。具体的には血圧および脈拍などの循環器系、便通などの消化器系、発汗機能、排尿機能、勃起機能といったものが挙げられ、それぞれの機能が障害されると、立ちくらみ、不整脈、便秘および下痢、無汗、神経因性膀胱、勃起障害といった問題が起きる。

【単一性神経障害】
単一性神経障害は神経の栄養血管の閉塞に伴い、単一神経のみが障害され引き起こされる局所の神経障害である。具体例として、顔面神経が障害されると顔面筋の麻痺を生じ、片側の表情筋が障害されたりすることがある。

【治療】
神経障害の分類にかかわらず、治療は血糖コントロールが重要である。なおも症状が強い場合や改善がない場合はビタミン製剤やアルドース還元酵素阻害薬といった薬物療法が行われることもある。

執筆: 石野田悠暉

防衛医科大学校病院 腎臓内分泌内科

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