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2017年11月28日

脳卒中【ケア編】|気をつけておきたい季節の疾患【20】

来院された患者さんの疾患を見て季節を感じる…なんて経験ありませんか?
本連載では、その時期・季節特有の疾患について、治療法や必要な検査、注意点などを解説します。また、ナースであれば知っておいてほしいポイントや、その疾患の患者さんについて注意しておくべき点などについても合わせて解説していきます。

→脳卒中【疾患解説編】はこちら

脳卒中

 

脳卒中の診断_脳卒中の主訴

 

駿田晶子
日本赤十字社和歌山医療センター看護係長(脳卒中リハビリテーション看護認定看護師)

 

 

〈目次〉

 

1意識レベル、瞳孔、神経症状、バイタルサインの変化に注意

急性期では、脳梗塞の拡大や再出血、脳浮腫、脳血管攣縮などにより、症状の進行や変化が見られる可能性が高くなります。

救命が困難になる場合もあるため、早期に患者さんの変化に気付くことが大切です。患者さんの変化を予測し、経時的に全身状態を管理しましょう。

 

2共通スケールの使用

脳卒中は、多職種がチームとなりかかわることになります。そのため、意識レベルであれば「Japan Coma Scale(JCS)」(図1)、「Glasgow Coma Scale(GCS)」(図2)、四肢の運動麻痺の観察には「Manual Muscle Test(MMT)」(図3)、「Brunnstrom Recovery Stage(BRS)」(図4)などのように、共通の尺度を使用・記録することにより、情報の共有を可能にして、チームで円滑にコミュニケーションを図ります。

 

図1Japan Coma Scale(JCS)

Japan Coma Scale_JCS

 

図2Glasgow Coma Scale(GCS)

Glasgow Coma Scale_GCS

 

図3Manual Muscle Test(MMT)

Manual Muscle Test_MMT

 

図4Brunnstrom Recovery Stage(BRS)

Brunnstrom Recovery Stage_BRS

 

3早期離床、廃用症候群の予防

脳卒中急性期の患者さんは、安静のために活動が制限されることがあります。しかし、過度の安静は廃用症候群を引き起こし、さらに活動が制限される悪循環となります。そのため、入院当日からの急性期リハビリテーションは重要です。

ただし、症状が進行する可能性があることから、循環動態が不安定な脳卒中急性期の患者さんにおいては、厳重なリスク管理を行うことが重要です。
リスク管理には、高度な意識障害時の気道確保、脳圧亢進時の30度頭部挙上、誤嚥性肺炎予防のためのポジショニング(30度頭部挙上+頸部前屈)や口腔ケア、深部静脈血栓症予防のための早期離床、間欠的空気圧迫法(ハイリスク症例の場合)、NST介入による栄養・水分管理などがあります。

 

ナースの視点

1Walk inで来院の場合

「目がかすむ」「頭が痛い」「吐き気がする」「手足に力が入らない」「言葉が出にくい」などの異変に気付き、外来を受診したり、救急外来に独歩で来られる患者さんもいます。

脳卒中は時間との戦いです。脳損傷を最小限にとどめ後遺症を軽減していくためには、脳卒中初期治療の迅速性が求められます。そのため、脳卒中以外との鑑別表1)を行い、治療することが大切です。

 

表1脳卒中と間違えられやすい疾患

脳卒中と間違えられやすい疾患

脳卒中が疑われた場合、発症時刻や経過時刻によって治療方法が変わってきます。そのため、最終健常時刻もしくは発症時刻を聞くことが大切です。

 

2救急搬送の場合

救急隊からの事前情報で疾患の予測と検査準備を行っておきます。具体的には、脳卒中が疑われた場合、あらかじめ以下のことを行っていると、スムーズに検査に移行できます。

・放射線科にCT検査室の準備の依頼
・検査室へ迅速な検査の依頼
・集中治療室への入室の調整
・血管造影検査室への事前の情報提供

患者さんが病院に到着して初療室に入室するまでに、呼吸、循環、意識の異常がないかを短時間で評価します。初療室に入室後は、脳卒中初期診療(ISLS)アルゴリズムに沿って、気道・呼吸・循環を確認し、その後意識レベルの評価、NIHSS評価(脳卒中重症度評価スケール)、原因検索についての検査を適切に行います。

脳梗塞患者では発症時刻を確認し、4.5時間以内であれば血栓溶解療法(t-PA療法)の適応の可能性を念頭に置きましょう。血栓溶解療法の治療適応と判断すれば、無駄な時間を費やすことなく直ちに治療が開始することが予後の改善に影響します。

患者さんの意識が低下していたり、消失していたりする場合には、患者さんに適切な処置を施しながら、家族や同僚などの関係者から発症時の状況や経過などを聞いていきます表2)。

 

表2脳卒中患者(疑い含む)の問診時のポイント

脳卒中患者の問診時のポイント

 

3看護師だから行えること、行うこと

看護師は、医療や生活の視点からそれぞれの専門職の役割を理解した上で医療チームメンバーに必要な情報を伝達します。また、チームが有効に機能するように患者さんを中心とした職種間の連携・協働・調整を行うキーパーソンの役割を担っています。
特に、脳卒中急性期では、4.5時間以内であれば、血栓溶解療法の適応となるこことを考え、その役割を果たしていかなくてはなりません。

 

医師との連携

患者さんの受け入れ準備から情報共有を行い、準備物品の確認をしておきます。来院までの短時間、他職種への連絡も医師と協力して行うことで、スムーズに調整が図れます。
意識レベルやNIHSSなどの評価では、医師と共通言語を用いてコミュニケーションをとると、よりスムーズに行えます。

 

放射線科(放射線技師)との連携

脳卒中患者さん(疑い含む)が搬送されるという情報が入った時点でスムーズに検査ができるよう、「脳卒中(疑い)の患者さんが○分後に来ます。CTの準備と、MRI検査も行うかもしれないので、準備お願いします」と連絡しておきます。また、血管造影検査の実施の可能性についても、情報提供しておきましょう。

 

検査部との連携

脳梗塞の場合、血栓溶解療法の適応を検討する上で、凝固機能異常や血糖異常などの血液所見が必要となります。検査結果の報告を速やかにするために、検査提出時に「脳卒中で血栓溶解術の可能性があります」と一言伝えることが大切です。

 

血管造影検査室との連携

血栓溶解療法後、救急医と脳神経外科医、神経内科医とが連携した上で、患者さんの状況によっては血栓吸引術(血管内治療)を行うことがあります救急搬送時に血管造影検査室のスタッフに早めに情報提供しておくことで、速やかな治療が行われます。

 

SCU、ICU看護師との連携

脳卒中の場合、重篤化のモニタリングや合併症予防が必要なため、SCU、ICU看護師との連携が必要になります。

脳梗塞で血栓溶解療法を行う場合、速やかな集中管理が望ましく、定期的な血圧管理と神経学的評価を行い、脳梗塞の悪化の徴候を早期に発見する必要があります。そのため、ベッド調整や人員調整が必要となり、事前の情報提供が安全、かつ迅速な治療につながります

 

その他

脳卒中患者さんが来院した場合、速やかに治療が行えるよう同意書の作成が必要なため、ご家族の連絡先の確認や来院しているご家族の確認を行い、事務担当者と協力して対応します。
また、ご家族の不安は大きいため、もしご家族に何か変化があればすぐに看護師に知らせてもらうようにしておきましょう。

 

最後に看護師として忘れてはいけないこと

看護師として忘れてはいけないことは、患者さんやご家族の心理的ケアです。 救急搬送される患者さんは治療が優先されるため、ご家族は処置が落ち着くまで待合で待たされます。待ち時間が長ければ長いほど不安は大きくなるため、ご家族への声かけはできるだけ早く行い、心理状態を把握し、家族看護につなげていきましょう

そのためにも、今後の治療や予測される状態を把握しておき、病状説明の際は、ご家族の理解度を確認し、補足説明や再度、医師に説明を依頼することも必要になります。

 


[引用・参考文献]

  • (1)荒木信夫ほか.脳卒中の診察の進め方.脳卒中ビジュアルテキスト第3版.東京,医学書院,2009,32.
  • (2)吉次育子.多職種連携のポイント.Emergency care.29(5).2016,424-31.
  • (3)日本救急医学会ほか監.脳卒中初期診療のアルゴリズム.ISLSガイドブック2013.東京,へるす出版,2013,22.
  • (4)松本由美.脳卒中医療チームにおける看護のあり方.BRAIN.1(2).2011,136-41.
  • (5)小池伸享.多様な前駆症状を示す脳卒中とその評価・治療の標準化.救急看護&トリアージ.2(5),2013,9-13.

[監 修]
辻本登志英
日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部長 救急部副部長

芝田里花
日本赤十字社和歌山医療センター 副看護部長 救命救急センター看護師長


[Design]
高瀬羽衣子

著作権について

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