沐浴

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は沐浴について解説します。

 

香取洋子
北里大学看護学部教授

 

 

沐浴とは

目的・意義

皮膚を清潔にし、感染を予防する。
血液循環を促進し、新陳代謝を促す。
・全身観察の機会とし、異常を早期に発見する。
・児とのスキンシップおよび対話をはかり、母子関係を育む。

 

 

沐浴の方法

フェイス・アウト法:浴槽に入れる前に顔を拭き、残りの部分は浴槽内で洗う。
オール・イン法:身体のすべてを浴槽内で洗う。
フェイス&ヘッド・アウト法:浴槽の外で顔と頭を洗い、残りの部分は浴槽内で洗う。
オール・アウト法:浴槽の外で全身に石けんを塗布してから、浴槽に入れ、石けん分を洗い流す。

 

 

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沐浴の実際

1観察項目

出生時:在胎週数、出生体重、アプガースコア、母体感染症の有無
生後1日以降バイタルサイン、体重減少率、黄疸の進行度、活気、哺乳力、皮膚所見

 

沐浴を避ける時間

哺乳力低下、嘔吐を避けるため、授乳前後30分以内は避ける。

 

沐浴の禁忌事項

・体温が37.5℃以上、36.5℃以下。
・哺乳力が弱く、活気がない。
嘔吐が頻回にみられる。
湿疹発疹が多発している。

 

2環境調整

室温:24~26℃
湿度:50~60%
環境:風が入らないようドアなどを閉める。

 

沐浴の注意点

・湯温は湯温計だけではなく、必ず肘の内側で確認する。
・体力の消耗を少なくするため、浴槽内は5~7分以内に留める。

 

家庭用ベビーバスの場合

湯量は、児を入れたときにあふれないよう、浴槽の深さの7~8割にする。

 

3必要物品

沐浴槽、湯温計、38~40℃の湯(必ず肘〈ひじ〉の内側で温度を確認する)、泡タイプのベビー用ボディソープ、小ボールまたは洗面器(顔清拭、およびかけ湯兼用)、清拭用ガーゼハンカチ(摩擦を避けるためガーゼを使用しない施設もある)、沐浴布(フェイスタオルで代用可)、バスタオル、着替え(図1・長着、短着、おむつカバー、布おむつ)、おしり拭きあるいは拭き綿、臍ケア用品(消毒液、綿棒、臍粉)、小綿棒(清拭用)、ブラシ。

 

図1 着替えの準備

着替えの準備

下から衣類、バスタオル、沐浴布の順に重ねて広げておくと、狭いスペースを効率よく使うことができる。衣類はすべて袖を通しておく。

 

沐浴布の必要性

児の保温と安静を保つ目的で用いる。とくに、早期新生児期は易刺激性がみられるため、沐浴布を使うと湯の中で濡れて身体に張りつき、モロー反射を抑制することができる。

 

ガーゼを用いない方法

オール・イン法で顔も浴槽内で洗う。皮膚に対する摩擦刺激を最小限にするため、ガーゼを使用しない施設も増えている。前述のガーゼを用いる部分をすべて手に置き換える。

 

臍ケア

以前はアルコール(イソプロパノール)消毒が主流であったが、現在は実施しない施設も増えている。

 

 

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4手順(フェイス・アウト法)

顔面清拭

1着衣のまま、ガーゼを用いて目を拭く。涙腺の感染予防のため、涙の流れる方向に沿って、目尻から目頭へ、片方ずつガーゼの面を変えながら拭く。

 

涙の役割

涙は上眼瞼外側の涙腺でつくられ、目に入ったごみやほこりを洗い流し感染を防ぐ役割をもつ。

 

2左手で軽く児の顔を固定しながら、右手で額、頬、口周囲をS字状と逆S字状(または数字の3と逆3)を描くように拭く。鼻と耳介のまわりも拭く(図2)。

 

図2 顔面清拭

顔面清拭

 

脱衣・浴槽に入れる

1児の衣類を脱がせるときは、四肢の自然な姿勢(WM型)に逆らわないようにする。この時点で排泄物があるときは、浴槽内の汚染を防ぐため、おしり拭きで拭く。

 

衣類の脱がせ方

衣類の前を開き、肩を少し脱がせてから、肘関節を軽く支えて袖口を抜くとよい。

 

2児の上半身を沐浴布で包む。ショールのように肩からしっかり包む。または、身体の上からかける。

3頭部~後頸部を左手掌で支え、母指と中指で両耳のうしろを支える(耳は無理に押さえなくてもよい)(図3)。

 

図3 頭部の支え方

頭部の支え方

 

4右手の母指を鼡径(そけい)部に置き、ほかの4指で殿部を支え、しっかり股間を把持し、足元から静かに湯に入れる(図4)。

 

図4 浴槽に入れる

 

洗髪

1ガーゼを用いて頭髪を濡らす。手掌で石けんを泡立てて、指の腹で円を描くように頭を洗う(図5)。

2再びガーゼを用いて石けんを洗い流す。

3最後にガーゼを固く絞(しぼ)って水分を拭き取る。

 

図5 洗髪

 

躯幹

1身体の上から下、末梢から中心に向かって洗っていく。

2頸部→上肢→胸部・腹部の順に、洗う部分のみ沐浴布をはずす(図6)。

 

図6 腹部を洗う

腹部を洗う

 

洗うポイント

頸部のしわ、腋窩(えきか) 、手掌は皮膚が重なり、汚れがたまりやすいのでよく洗う。

 

下肢

下肢は無理に外に出さず、湯の中で洗う。

 

背部・殿部

1沐浴布をはずし、右手の母指を肩の上に、ほかの4指を腋窩に入れ、肩をつかむ(図7-1)。

2右前腕部に児の胸部が乗るようにゆっくりと児を傾ける(図7-2)。このとき、児の顔が湯面につかないよう、気をつける。

3後頸部、背部、殿部を洗う。

 

外陰部・肛門

1再び左手で児の後頸部を支え、ゆっくりもとの姿勢に戻し、沐浴布を上からかけて児を落ち着かせる(図7-3)。

2最後に陰部・肛門を洗う。女児は陰唇を開いて洗い、男児は陰茎の後ろ、睾丸のしわなどに入り込んだ汚れを洗う。

 

図7-1 ひっくり返し方(腋窩を支える)

ひっくり返し方(腋窩を支える)

図7-2 ひっくり返し方(右前腕に胸を乗せる)

ひっくり返し方(右前腕に胸を乗せる)

図7-3 ひっくり返し方(頸部を支え、もとの姿勢に戻す)

ひっくり返し方(頸部を支え、もとの姿勢に戻す)

 

浴槽から上げる(必要時かけ湯)

洗い終えたら、10秒ほど湯につからせ、沐浴布をはずし、ゆっくり湯から上げる。石けん成分を流すため小ボール(洗面器)またはシャワーでかけ湯を行う。

 

 

浴槽から上げるときの注意

介助者がいる場合は、かけ湯を児が驚かないよう足元から胸に向かってかけてもらう。手が滑(すべ)って落とす可能性があるため、浴槽から上げるときに児の身体を振らないこと。

 

身体を拭く、保湿ケア、着衣

1全身をバスタオルで包み、皮膚はこすらず、押さえ拭きをする(図8)。とくに髪はよく乾かす。

 

図8 身体を拭く

身体を拭く

 

2新生児は角質層が薄く、肌のバリア機能・保湿機能が弱いため、全身にベビーローション、クリームなどの保湿剤を塗布する。

3バスタオルを取り除き、迎え袖で衣類の袖を通す。

4臍ケアを行う場合、胸元は締めずに軽く合わせ、おむつも軽くあてておく。

 

臍ケア、鼻耳の清拭

1臍を消毒または乾いた綿棒で根元の水分を拭き取る

2児の衣類を整え、必要時小綿棒で鼻腔・耳孔の入り口周囲を清拭する。深く入れるとかえって耳垢を奥へ押し込めることになる。

3最後に頭髪をブラシで整える。

 

顔面の石けん清拭(退院後)

日齢が経つにつれて、皮脂の分泌が盛んになり、脂漏性(しろうせい)湿疹ができやすくなる。その場合は、額や頬に泡立てた石けんを塗ってから清拭する。すすいだガーゼで石けんが残らないように拭き取る。

 

児が泣いたときの対応

児を湯に入れると、急な動作や温度差に驚いて、泣く場合もある。あせらずに殿部を支えていた右手を離し、児の胸や腕の上に手をあてて軽く抑制しながら、声をかけてなだめる。湯の中は子宮内の環境に近いため、ゆっくりと身体を湯に漂(ただよ)わせると次第に落ち着く。

 

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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