脈拍測定から何がわかるの?

 

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は脈拍測定の意義について解説します。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

〈目次〉

 

脈拍測定の意義

脈拍とは、血液心臓から大動脈に送り出される際(駆出)に生じる拍動で、その拍動が大動脈の弾性(弾性エネルギー)によって、全身の動脈に伝わり触知されます。

 

脈拍を測定することで、①脈拍の回数(多い、少ない)、②脈拍のリズム〔整(規則的)、不整(不規則)の有無〕、③脈拍の性状(末梢血管抵抗の大きさ、立ち上がりの速さ)、④脈拍の左右差などが確認で き、心臓を中心とした循環器系の異常を早期に発見できます。

 

脈拍測定時には、同時に患者の全身状態(意識状態や呼吸皮膚の温度など)を観察したり、動脈の硬さや蛇行、脈拍の左右差をみていきます。

 

脈拍とは

脈拍とは、心臓(左心室)から動脈に血液が送り込まれるときに生じる波動です。脈拍を測定することで、心臓から送られた血液が脈拍触知の部位まで送られているかどうかがわかります。

 

成人の場合、脈拍数が60回/分以下を徐脈、100回/分以上を頻脈といいますが、さらに40回/分以下、120回/分以上となっている場合や脈の触れが弱い場合では、心臓のポンプ機能を果たしていない、あるいは全身への血液供給が不十分になっている可能性があり、ただちに治療・処置が必要となります。

 

橈骨動脈で脈が触れない場合は、上腕動脈を確認してみましょう。それでも触れない場合は大腿動脈や頚動脈での拍動を確認してみます。収縮期血圧の予測(橈骨動脈触知可能であれば80mmHg以上、大腿動脈触知可能であれば70mmHg以上、頚動脈触知可能であれば60mmHg以上)ができます。

 

心臓の刺激伝道系に異常がある場合は、不整脈として触知されます。

 

脈拍に異常がある場合は、意識や血圧めまい・立ちくらみ・動悸などの随伴症状を合わせて観察し、標準12誘導心電図やモニター心電図を装着し、詳しくアセスメントしていく必要があります。

 

脈拍測定によって組織に必要な循環が保たれているかどうかが予測されるため、もし異常があれば速やかに医師に報告し治療・処置が行われることが大切です。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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