血液製剤によって保存温度や保存期間が異なるのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は血液製剤に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

血液製剤によって保存温度や保存期間が異なるのはなぜ?

 

保存する血液の成分によって、生体内における寿命や保存による劣化があり、機能を維持するための最適な温度が異なるためです。

 

〈目次〉

 

現在の血液製剤は

輸血は以前、新鮮血輸血を行っていましたが、現在では自己血輸血の新鮮血以外は成分輸血が大部分です。

 

赤血球製剤の保存方法は

赤血球製剤は温度が上昇することによって、赤血球の代謝が活発となり、酵素活性の上昇に伴ってATPの消費が増加し、赤血球の変形を来たします。

 

反対に低温(2~6℃)下では赤血球の代謝率の低下やブドウ糖やATPの消費減少などがみられ長期保存が可能となります。さらに保存液中にマンニトール、ブドウ糖、アデニンなどが入った赤血球濃厚液-LR製剤では、ATPや2,3-DPGの低下を最小限に押さえ、赤血球機能をより長く維持する効果があります。ただし2~6℃より低く凍結状態にすると使用時に溶血してしまうため、凍結しない程度の低温保存が最適となっています。

 

また、血小板製剤では反対に低温保存すると活性化が進み、(生体内寿命)が短くなり、さらに止血効果の低下を示すため、室温(20~24℃)で振とうを加えて保存します。

 

血漿は凍結(-20℃以下)で長期間(1年)の保存が可能となっています。

 

血小板製剤の保存期間

血小板は赤血球に比べ生体内における寿命が短く(約10日間)、また保存によって劣化が早いため、血小板製剤の保存期間は採血後4日以内と短くなっています。

 

保存温度や保存方法も前述したように他の血液製剤と異なり、20~24℃振とうした状態で保存しますが、低温保存では血小板の活性化が進み形態的変化を起こし、生体内での生存能力(生体内寿命)の短縮がみられ、さらに低温下長時間保存では止血効果の低下が認められます。

 

また、振とうを加えず、静止状態での保存ではpHの低下に伴って凝集能の低下がみられます(静置状態での保存でも6時間程度までは変化は少ないと考えられています)。

 

このため血小板製剤は供給後速やかな使用が推奨され、さらに使用における適応も厳格となっています。

 

memo
  • 新鮮血:採血後72時間以内のものを新鮮血といいます。血小板や各凝固因子は補給可能ですが、感染症不規則抗体に対する検査が不十分と危険性があります。
  • 保存血:採血後2~6℃で保存され、4日以降21日が使用期限と決められています。梅毒、肝炎、マラリアなどの感染症の検査は行われていますが、血小板は消失し、凝固因子などは減少します。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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