2019/03/02 のクイズ

Aさん(28歳)は、妊娠40週0日で3,000gの女児を経腟分娩しました。母乳育児を希望し、3時間ごとに両方の乳房から5分ずつ、直接授乳を行っています。産褥3日目、児の哺乳力は良好で、体重減少率は生理的範囲内です。
Aさんの乳房は左右ともにIII型で、乳頭に傷はありません。両乳房全体が温かく重たい感じがありますが、肘窩で熱を測ったところ、36.2℃であり、部分的な硬結や発赤はありません。Aさんは、「おっぱいが痛くて授乳がつらいです」と話しています。今のAさんに行う看護援助で不適切なものは、次のうちどれでしょうか?
  1. 1. Aさんが授乳に対してネガティブなイメージを持たないよう授乳を中止して、児には人工乳を哺乳させる。
  2. 2. 「痛みがつらい」ということを表出させるように、Aさんの話を傾聴する。
  3. 3. 授乳時に付き添い、適切に児が吸着・吸啜できているか確認する。
  4. 4. 児が欲しがるタイミングでいつでも授乳できるように支援する。

挑戦者3995人 正解率48%

産後24~72時間に乳房の張りを感じることは普通のことです。急激に乳汁産生が増えてくるため、リンパ管や血管系がうっ滞し、乳腺組織間質の浮腫によって乳房緊満感が生じます。

1. Aさんが授乳に対してネガティブなイメージを持たないよう授乳を中止して、児には人工乳を哺乳させる。
正解

産褥3日目のこの時期は、乳汁生成第1期から2期へ移行する時期です。この時期に、授乳そのものを中止すると、乳房から乳汁が排出されません。そうすると、組織内間質の浮腫、血液、リンパ液の増加、乳房内圧の上昇によってさらに乳汁がうっ滞して過度の乳房緊満を引き起こし、乳房の緊満が続くと乳腺炎へと移行することもあります。よって、この選択肢の対応は間違いです。

2. 「痛みがつらい」ということを表出させるように、Aさんの話を傾聴する。
不正解

乳房緊満感が出現した時に適切な対処ができなければ、さらに症状が増悪し病的緊満に至ってしまいます。そうなってしまうと、母親は、授乳をやめたくなるほど苦痛を感じます。乳房緊満感が出現した場合は、軽減できるような支援と同時に、母親のつらさを傾聴するなど、温かなエモーショナルサポートが大切であると言われています。よって、この選択肢の対応は正しいです。
母親の中には、この緊満や痛みが授乳中はずっと続くと思ってしまい、授乳をやめてしまいたくなる方もいます。そのため、この状態は一過性であり、適切に対処すれば緊満はすぐに軽減していくこと、またその対処法を伝えることで、母親に安心感を持ってもらうことが大切です。

3. 授乳時に付き添い、適切に児が吸着・吸啜できているか確認する。
不正解

授乳時は、安楽な授乳姿勢を取り、効果的な吸着と吸啜ができることで乳汁が十分に排出され、病的緊満を予防することができます。そのため、母親の授乳時に付き添い、児の抱き方やポジショニング、ラッチオン※1を一緒に行い、適切に児が吸着・吸啜できているか否かを確認します。
また、乳房緊満が出現すると、乳輪まで浮腫が生じて、乳頭が引き伸ばされて扁平で硬くなる場合があります。そうすると、児が乳頭・乳輪を口に含みにくくなり、今までうまくできていた授乳が思うようにできなくなることも覚えておきましょう。
※1 ラッチオン:授乳の際、児に乳頭・乳輪を吸着させる方法のこと。

4. 児が欲しがるタイミングでいつでも授乳できるように支援する。
不正解

Aさんは、3時間ごとに時間を決めて授乳しており、授乳間隔が長いことで過度な乳房緊満が出現していると考えられます。そのようなときには、自律授乳※2を行い、児が欲しがるタイミングで母乳を与えることを勧め、児の空腹のサインを一緒に確認しましょう。
産褥数日間は児が吸啜していた時間が長いほど、緊満に伴う痛みは少なくなります。また、1回の授乳時間を制限し授乳時間が短くなると、十分に乳房内の乳汁を排出できないため、緊満の増強を認めることがあります。
※2 自律授乳:児が欲しがるときに欲しがるだけ飲ませる授乳法のこと。

引用参考文献など

1)井村真澄.NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会編.直接授乳を支援する.母乳育児支援スタンダード.第2版,医学書院,2015,163-174.
2)水井雅子.NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会編.産褥早期の乳房の変化.母乳育児支援スタンダード.第2版,医学書院,2015,200-205.

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