2018/01/07 のクイズ

80歳男性のAさん。広範囲の脳梗塞により意識障害、嚥下機能に異常を認めています。1週間絶食が続いており、経管栄養を開始することになりました。以下の中で、経管栄養開始時のケアで、間違っているものはどれでしょうか?
  1. 1. グルタミン製剤を投与した。
  2. 2. 経管栄養の初回投与時はゆっくりとした速度で投与を行い、嘔吐に注意して観察を行う。
  3. 3. 座位がとれないため、30度のヘッドアップを行い経管栄養を投与した。
  4. 4. 経管栄養投与後は便秘を認めることが多いため、観察を行う。

挑戦者4730人 正解率56%

1. グルタミン製剤を投与した。
不正解

Aさんは一週間絶食であったということから、腸管を使用していませんでした。長い間腸管を使用しないと腸管のバリア機能が破綻し、腸粘膜(小腸絨毛)が萎縮し、消化機能の低下や腸管免疫能の低下によってバクテリアトランスロケーション(BT)が発生します。BTを発生させないためには、早期から経管栄養を開始し、腸管を動かすことによって腸管のバリア機能を保つことが重要です。腸粘膜(小腸絨毛)の萎縮は3~4日の絶食で始まるため、経管栄養剤の投与が困難な場合には、グルタミン製剤(GFO®など)を投与することで、腸管免疫能を高めて腸管バリア機能の維持に働き、BT予防に有効とされています。
※BT:使用されない腸管の粘膜が薄くなり、腸内の細菌が腸管壁を通過し体内に侵入すること。

2. 経管栄養の初回投与時はゆっくりとした速度で投与を行い、嘔吐に注意して観察を行う。
不正解

胃チューブを留置すると、食道括約筋の機能障害や胃の幽門部の閉鎖不全が起こるため、胃の内容物が逆流し嘔吐を起こしやすくなります。経管栄養の初回投与時はゆっくりと1食あたりの投与時間を長くします。重症患者さんの場合には24時間の持続投与を行い、経腸栄養ポンプを用いて20~30mL/時間くらいのゆっくりとした速度から始めるという選択肢もあります。

3. 座位がとれないため、30度のヘッドアップを行い経管栄養を投与した。
不正解

経管栄養の投与中は誤嚥を予防するためにヘッドアップを行い、悪心や嘔吐がないか観察します。Aさんのように、意識障害のため座位が保持できない患者さんの場合には30度のヘッドアップを行い、枕などで頭部を前屈し、体位を調整します。そうすることで、気管より食道が下方に位置することになり、唾液が分泌されたときに唾液などが食道に入りやすくなり、誤嚥のリスクが少なくなります。

4. 経管栄養投与後は便秘を認めることが多いため、観察を行う。
正解

Aさんのように、一週間絶食している状態で、急に高い浸透圧の栄養が消化管に投与されると、水分移動のバランスが崩れ、水分が腸管へ移動し、腸蠕動の亢進などから下痢を引き起こしやすくなります。経管栄養開始時の栄養剤の選択には、浸透圧の差による下痢を避けるため、より血症浸透圧に近い栄養剤の選択配慮が必要です。また経管栄養の初回投与時は1食あたりの投与時間を長くします。重症患者の場合には経腸栄養ポンプを用いて24時間の持続投与を行う選択もあります。

引用参考文献など

1)日本呼吸療法医学会 栄養管理ガイドライン作成委員会.急性呼吸不全による人工呼吸患者の栄養管理ガイドライン2011年版.人工呼吸.29(1),2012、75-120.
2)内田真弓.栄養評価をせずに早期経腸栄養を開始してよい?.気づきの感性が高まるフィジカルアセスメント.重症集中ケア.13(2),2014,83-87.
3)亀井有子.道又元裕編著.クリティカルな患者の栄養障害のアセスメントとベストプラクティス.重症患者の全身管理:生体侵襲から病態と看護ケアが見える.日総研出版,2009,35-42.

このクイズに関連する記事

経管栄養で流動物注入中、上体を少し上げたほうがよいのはなぜ?

挿入時に患者の腰部から下肢を上げた体位を取るのはなぜ?|中心静脈栄養法

主に、鎖骨下静脈や内・外頚静脈に挿入するのはなぜ?|中心静脈栄養法

抜管後、哺乳開始時の注意点は?|小児の人工呼吸管理

挿入部位の周囲を広く消毒するのはなぜ?|中心静脈栄養法

看護クイズトップへ

いま読まれている記事

ICLSコースとは?看護師が受けるメリットや難しいと言われる理由を紹介

レンジで5分!麻辣湯|マンガ・看護師 桃井ゆまのふんばりごはん日誌【95】

ん~、やっぱ看護師でよかった♡(わ~ん)|看護師つらハピかるた【10】

看護師が取りたい資格図鑑|目次

マンガ・踊る!ツナ看劇場。【全記事まとめ】

レタスでポムドン風ビビンパ|マンガ・看護師 桃井ゆまのふんばりごはん日誌【96】

看護師1年目のサポートBOOK『新人ナース覚え書』応募者全員にプレゼント!

看護研究の文献検索・文献検討の方法~先行研究をチェックしよう!|看護研究「攻略」マニュアル(3)

「フットマッサージ」で足の疲れを解消! | アロマナース直伝!アロマセラピー入門【4】

ヨーグルトきゅうりパスタ|マンガ・看護師 桃井ゆまのふんばりごはん日誌【97】

20秒でできるお手軽お団子ヘア | 看護師のまとめ髪テク【vol.2】

診療看護師(NP)とは?なるための方法やできること、特定看護師との違いを解説

茹でさんま ザクザクだいこんソース|マンガ・看護師 桃井ゆまのふんばりごはん日誌【85】

トランス脂肪酸はなぜアメリカで禁止に?―日本人が注意すべき食事リスク

簡単・崩れないお団子ヘアの作り方★美容師直伝 | 看護師のまとめ髪テク【番外編3】

掲示板でいま話題

他の話題を見る

今日の看護クイズ

本日の問題

◆周術期・麻酔の問題◆術後の早期離床の主な目的はどれでしょうか?

  1. 創部感染の予防
  2. 血栓形成のリスク低減
  3. ドレーンの早期抜去
  4. 術後出血の予防

4073人が挑戦!

解答してポイントをGET

ナースの給料明細

9115人の年収・手当公開中!

給料明細を検索