2017/10/22 のクイズ

Aさんは、精神療養病棟(開放病棟)に任意入院で入院中の50代の男性です。病名は統合失調症で、入院して8年が経過しています。現在、目立った症状はなく落ち着いています。最近、雑誌に付いているハガキや電話などで通信販売業者に頻繁に注文を繰り返しています。しかし、所持金が少ないため、商品が届いても支払いができず、その都度返品を繰り返しています。Aさんは家族や親族とは疎遠で、面会や連絡はここ数年、全くない状態です。Aさんに対し、看護師としてのかかわりで最も望ましいものは次のうちどれでしょうか?
  1. 1. テレホンカードや筆記用具などをナースステーション管理とし、患者の申し出に応じて渡す。
  2. 2. 精神保健指定医の診察により、電話や郵便のやり取りは当面全て禁止とする指示を受ける。
  3. 3. 公衆電話機の設置していない閉鎖病棟へAさんを移動させ、入院形態を医療保護入院に変更する。
  4. 4. Aさんに欲しいものを聞き、疎遠となっている家族に面会で持ってきてもらうように依頼する。

挑戦者4104人 正解率32%

1. テレホンカードや筆記用具などをナースステーション管理とし、患者の申し出に応じて渡す。
不正解

手紙や電話などにより、入院中の患者さんが外部と連絡を取ることは、任意入院や医療保護入院などの入院形態を問わず、原則自由であることが精神保健福祉法の中でも保障されています。Aさんの場合は、度重なる通信販売への注文などの対応で、病棟の看護職員に対応の手間がかかってしまい、大変ではありますが、それだけの理由では通信手段を制限し得る理由にはなりません。また、筆記用具をナーステーションの管理とすることは、信書の発受(ハガキや手紙のやり取り)の制限にもなりかねず、適切な対処とはいえません。

2. 精神保健指定医の診察により、電話や郵便のやり取りは当面全て禁止とする指示を受ける。
不正解

例えば一日に何十回も電話をかけることや、家族との面会により、家族に無理やり入院させられたと興奮することで、病状が悪化したり、治療上望ましくない影響があると医師が判断した場合は、通信や面会を最小限の程度で制限する場合があります。しかし、それはあくまで治療上、必要最小限の程度であることが原則です。Aさんのような所持金がないのに繰り返し通信販売を利用する行為は日常生活上での困りごとではありますが、これを精神症状の悪化ととらえるのではなく、その行動の背景までアセスメントすることが必要です。看護者はそのうえで解決方法をAさんと一緒に考えることが望ましいでしょう。よって、この選択肢は適切な対処とはいえません。

3. 公衆電話機の設置していない閉鎖病棟へAさんを移動させ、入院形態を医療保護入院に変更する。
不正解

精神保健福祉法第37条第1項の規定に基づき出された告示(昭和63年厚生省告示第130号)の中に、「電話機は、患者が自由に利用できるような場所に設置される必要があり、閉鎖病棟内にも公衆電話等を設置するものとする」とあり、たとえ閉鎖病棟であっても、必ず病棟内に患者さんが自由に使える公衆電話を設置することが義務付けられています。よって公衆電話がない、もしくは使えないのは不適切ということになります。また電話や通信が多いという理由だけでは医療保護入院の要件にも該当しないと思われます。

4. Aさんに欲しいものを聞き、疎遠となっている家族に面会で持ってきてもらうように依頼する。
正解

通信の制限をするか否かを判断するにあたり、なぜ患者さんがそのような行動をとっているのか、患者さんにその行動の理由を聞くのが最優先となります。Aさんのように家族と疎遠になっている患者さんは、その寂しさや満たされない気持ちを埋めるために、物に執着したり、通信が過度になってしまったりすることがあります。看護者は患者さんのこのような行動を単に問題行動、迷惑行動として捉えるのではなく、そのような患者さんの心情も察しながら看護を行うことが必要です。家族のかかわりや面会が増えることにより、問題行動が減少する場合もあります。特に長期入院の患者の場合、家族のかかわりが減る傾向があるので家族へのかかわりにも看護職は留意する必要があります。

引用参考文献など

1)春日里江.一般社団法人日本精神科看護協会監.権利擁護.新・看護者のための精神保健福祉法Q&A.平成27年度版.中央法規,2015,234-235.
2)精神科医療情報総合サイト「e‐らぽーる」精神科医療関連制度基礎テキスト:精神保健福祉法 第3章「入院患者の行動制限」(2017年9月閲覧)

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