2020/03/23 のクイズ

◆医療安全の問題◆78歳女性。誤嚥性肺炎で入院となりました。転倒予防ケアとして適切なものはどれでしょうか?今回、患者さんのデータは以下の通りです。
  1. 1. 高齢者は環境の変化でせん妄になるリスクがあるため、睡眠薬の処方を提案する。
  2. 2. 転倒によるけがを予防するために、抑制帯を使用する。
  3. 3. 転倒は深夜帯に起きることが多いため、夜間にトイレへ向かうときの転倒防止策について患者さんや家族と一緒に考える。
  4. 4. 患者さんの家族に、履きなれたスリッパを準備するように説明した。

挑戦者7265人 正解率88%

1. 高齢者は環境の変化でせん妄になるリスクがあるため、睡眠薬の処方を提案する。
不正解

この患者さんの場合、必要に応じて睡眠薬投与を検討してもよいですが、誤嚥性肺炎があるため慎重に検討することが望ましいです。睡眠薬を投与することで、嚥下機能が低下し、眠っている間に誤嚥を起こす可能性があるためです。よって、この選択肢は不正解です。睡眠薬投与を検討する前に、睡眠のリズムを整えるための環境を提供する、患者さんの苦痛を除去する、不必要なラインを取り除く、不安を取り除くなどの対応を行います。
高齢者は、環境の変化に適応できず、せん妄状態になる場合があります。入院による心理的ストレス、感覚遮断または感覚過剰、ベッド上安静のために動かずにいることなどがせん妄を進行させると考えられています。せん妄は転倒を引き起こす要因となるため、せん妄とならないケアが必要です。

2. 転倒によるけがを予防するために、抑制帯を使用する。
不正解

この患者さんは、「意識障害や興奮がある」「行動制限以外に安全を確保する方法がない」といった状態ではないので、身体拘束の要件を満たしているとは考えにくく、転倒防止ケアとして身体拘束を行うことは適切ではありません。
身体の拘束は、3つの要件である「切迫性(意識障害や興奮など、行動制限を行わないと患者さんが危険にさらされる可能性が高い)」、「非代替性(行動制限以外に安全を確保する方法がない)」、「一時性(行動制限は一時的であること)」をすべて満たした際に、慎重に検討を重ねた上で行われる必要があります。

3. 転倒は深夜帯に起きることが多いため、夜間にトイレへ向かうときの転倒防止策について患者さんや家族と一緒に考える。
正解

転倒の発生は、夜間帯で多くなります。夜間はトイレに向かうために患者さんがベッドを離れるタイミングであり、スタッフや面会者のフォローも日中に比べると少なくなるため、転倒は起きやすいです。夜間の排泄方法や離床時の行動については、患者さんや家族と一緒に話し合いながら検討することが有効です。
また、夜間は転倒予防のアセスメントが難しいため、日頃から患者さんの状態をアセスメントし、夜間の転倒の防止策を患者さんと一緒に考えることも重要です。

4. 患者さんの家族に、履きなれたスリッパを準備するように説明した。
不正解

いくら自宅で履きなれたスリッパを使っても、いつもの生活環境と異なること、体に装着しているライン類などで動きにくくなっています。そのため、足元が安定している、かかとが覆われた靴タイプの履物を準備してもらうように説明をしましょう。

引用参考文献など

1)日本看護倫理学会 臨床倫理ガイドライン検討委員会.身体拘束予防ガイドライン.日本看護倫理学会.2015.19.
2)野﨑園子ほか.薬剤による摂食嚥下障害の実態調査と危険因子の分析.Journal of Sugiura Foundation for Development of Community Care.3,2014.30-33.
3)平野牧人.パーキンソン病診療Q&A .Frontiers in Parkinson Disease.10(4),2017,46-50.
4)杉山良子.転倒・転落防止パーフェクトマニュアル.学研メディカル秀潤社,2012,p145.
5)武藤芳照編著.日本転倒予防学会監.日本転倒予防学会認定 転倒予防指導士公式テキストQ&A.新興医学出版社,2017,p144.

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