間質性肺炎の関連図【見本付き】観察項目・看護・看護計画を含めた書き方がゼロからわかる!

【サンプルあり】間質性肺炎の関連図 一発OKをタイパ良くめざせる書き方は?

間質性肺炎の関連図について、観察項目・アセスメント・看護ケア・看護計画のポイントを、慢性期と急性増悪の2パターンで看護学生にわかりやすく解説します!

 

著者:新宮紗英

(看護師・ライター、Medi+プロダクション)

もくじ

 

 

見出し「01 関連図を書く前に 確認しておくとラクなこと」

1)まず「間質性肺炎」の原因を確認!

関連図のスタート地点を決めるため、医師のカルテや看護記録から、間質性肺炎の原因を確認しましょう。

 

【間質性肺炎の主な原因】

①膠原病
(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症など。体を守るはずの免疫が、誤って自身の肺組織を攻撃してしまう)

 

②薬剤性
(抗がん薬や抗リウマチ薬など)

 

③過敏性肺炎
(アレルギー反応によって発症するびまん性肺疾患)

 

④じん肺

 

⑤放射線肺(臓)炎など

 

間質性肺炎では、原因を特定できないケースも多く、これらを「特発性間質性肺炎」(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)と呼びます。

 

【補足】

「特発性間質性肺炎」には代表的なものとして、以下の病型があります。

  • 特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)
  • 特発性非特異性間質性肺炎(idiopathic nonspecific interstitial pneumonia:iNSIP)
  • 特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)

 

 

2)原因・背景を考えるために確認する情報

間質性肺炎の原因は、患者さんの生活歴や職業歴に隠れていることがあります。

 

医師のカルテや看護記録を確認したうえで、不足する情報は患者さんに質問します。

 

表関連図を書く前に確認する情報一覧

確認する情報 具体例
薬剤歴 ・現在の処方薬・抗がん薬・抗リウマチ薬・抗菌薬・抗不整脈薬や、漢方薬・サプリメントの使用歴
膠原病を疑う症状 関節痛、筋力低下、皮疹、皮膚硬化、口腔・眼の乾燥、レイノー現象(※)など
鳥類との接触 鳥類の飼育や接触、羽毛製品の使用
住環境 住宅の湿気やカビの発生状況など
職業・粉じん曝露 ・職業歴・吸入した粉じんの種類(遊離珪酸、アスベストなど)・吸入期間
放射線治療歴 放射線照射部位と治療時期
喫煙・家族歴 喫煙本数・年数、血縁者に間質性肺疾患や膠原病などの既往があるか

(※)レイノー現象:冷えや疲労などが要因となって、手や足の指先の血管が収縮して、血流が悪くなる現象。皮膚の色が白・紫・赤色に変化する。

 

Point

・間質性肺炎の関連図作成では、まず「原因や背景」を確認しよう。
・「特発性」の場合は、「原因を特定できない(原因不明)」と書くよ。

 

 

見出し「02 間質性肺炎の病態生理」

1)そもそも「間質性肺炎」とは?

【ポイント】
  • 間質性肺炎は、肺胞の壁や周囲の組織に炎症や線維化が起こる病気の総称。
  • 肺胞とは、酸素と二酸化炭素を交換する小さな袋。
  • 肺間質とは、肺胞を支える「肺胞の壁と周囲の組織」のこと。
  • 肺間質が線維化して厚く硬くなることで、肺が膨らみにくくなり、酸素を取り入れにくくなると覚えよう。

 

間質性肺炎は、肺胞壁を含む間質に炎症や線維化(肺胞壁が厚く硬くなる)が起こり、酸素の取り込みがうまくできなくなる病気の総称です。

 

図解:間質性肺炎のしくみ。1. 間質の変化:肺胞壁を含む間質に炎症や繊維化が起こり、肺胞壁が厚く硬くなるイラスト。2. 酸素をうまく取り込めない:肺胞がふくらみにくくなり、酸素を取り込みづらくなるしくみを解説。

 

肺の中には、吸い込んだ酸素と血液中の二酸化炭素を交換する「肺胞」という、ブドウの房のような小さな袋があります。

 

肺胞の内側の空間ではなく、肺胞を支える壁やその周囲の組織が「間質」です。

 

図解:肺胞はガスを交換する小さな袋 肺間質は肺胞の壁と周囲の組織。正常な肺胞と、肺胞の壁・血管・その他の組織で構成される肺間質のイラスト。下部には肺動脈からのCO2排出と肺静脈へのO2取り込みによるガス交換のしくみを図示。

 

 

2)基本のメカニズム:炎症・線維化から低酸素血症

 
【ポイント】
  • 原因や病型によって、間質性肺炎の病態の流れは異なるよ。
  • 肺胞壁が厚くなったり硬くなったりすると、拘束性換気障害(肺が硬く膨らみにくくなり、吸い込める空気の量が減る)や拡散障害(酸素を血液へ取り込みにくくなる)につながることがあるよ。

 

図解:肺が膨らみにくくなる流れ。【肺弾性低下】肺が硬くなり弾力を失う > 【肺活量低下】肺に出し入れできる空気の量が減る > 【拘束性換気障害】肺が十分に膨らまず一度に取り込める空気の量が減る > 【頻呼吸】一回の呼吸が浅くなり呼吸数を増やし補う > 【呼吸困難】呼吸に必要な負担が増え息苦しさが現れる。

 

 

(1)炎症・線維化

間質性肺炎は、原因や病型によって肺の傷つき方が異なります。

 

まずは、炎症や損傷につながる代表的な原因を整理しましょう。

 

【肺に炎症や損傷が起こる原因】
  • 膠原病:免疫の異常により、自分の肺組織に炎症や損傷が起こる
  • 薬剤:薬の副作用によって、肺に炎症や損傷が生じる
  • 鳥やカビなどの吸入:原因となる物質への免疫反応によって、肺に炎症が起こる
  • 粉じんの吸入:仕事などで吸い込んだ粉じんによって、肺の組織が傷つくことがある
  • 放射線治療:胸部への放射線照射によって、肺に炎症が起こることがある

 

一方、原因を特定できない間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」と呼びます。

その代表的な病型の1つが、特発性肺線維症です。

 

特発性肺線維症では、肺胞上皮(肺胞の内側を覆う細胞)の損傷と修復の異常が重要です。

 

 

【特発性肺線維症で線維化が進む流れ】
  1. 1肺胞上皮が繰り返し傷つく
  2. 2傷ついた組織を修復する働きに異常が生じる
  3. 3コラーゲンなどの線維成分が過剰に蓄積する
  4. 4肺胞壁を含む間質が厚く硬くなる

 

 

このように、線維成分が蓄積して肺が厚く硬くなる変化を「線維化」と呼びます。

 

線維化した肺は、硬い風船のように膨らみにくい状態です。

その結果、肺に入れられる空気の最大量が減り、「拘束性換気障害」につながります。

 

拘束性換気障害によって起こる呼吸の変化には、次のようなものがあります。

 

  • 頻呼吸:1回の呼吸で取り込む空気の量が減り、それを補うために呼吸回数が増えることがある
  • 呼吸困難:硬い肺を膨らませるために呼吸の負担が増し、息苦しさにつながる

 

 

【関連図に使える流れ!】

①【原因・病型ごとの肺傷害】

なんらかの原因で、肺が傷つきはじめる

⬇

②【肺間質の線維化】

それぞれの病態を経て線維化が進むと、肺胞壁を含む間質が厚く硬くなる

⬇

③【肺弾性低下】

肺が硬くなり、弾力を失う

⬇

④【肺活量低下】

肺に出し入れできる空気の量が減る

⬇

⑤【拘束性換気障害】

肺が十分に膨らまず、一度に取り込める空気の量が減る

⬇

⑥【頻呼吸】

1回の呼吸が浅くなるため、呼吸回数を増やして補おうとする

⬇

⑦【呼吸困難】

呼吸に必要な負担が増え、息苦しさが現れる

 

 

(2)低酸素血症

間質の炎症や損傷によって肺胞壁が厚くなると、酸素が肺胞から血液へ移動しにくくなります。

これが「拡散障害」です。

 

酸素を血液へ十分に取り込めなくなると、低酸素血症につながります。

 

これに拘束性換気障害による負担も加わるため、歩行や排泄などの日常の動作時(労作時)に、SpO2の低下や強い息切れが現れやすくなるのです。

 

 

【関連図に使える流れ!】

①【原因・病型ごとの肺傷害】

原因によって、肺が傷つき始める仕組みが異なる

⬇

②【肺間質の線維化】

それぞれの病態を経て線維化が進むと、肺胞壁を含む間質が厚く硬くなる

⬇

③【肺胞壁肥厚】

肺胞と毛細血管の間が厚くなる
酸素が肺胞から血液へ移動しにくくなる

⬇

④【拡散障害】

酸素を血液へ十分に取り込めなくなる

⬇

⑤【労作時低酸素血症】

動いたときにSpO2が低下する

⬇

⑥【労作時呼吸困難】

歩行や排泄などの動作で息切れする

 

 

3)捻髪音が聴取されるメカニズム

 
【ポイント】
  • 捻髪音は「パリパリ」「バリバリ」と聴こえる細かい音のこと。
  • 吸気の終わりごろに、肺の底部で聴取されやすいよ。
  • 聴診では、捻髪音が聴こえる部位や左右差、前回からの変化などの観察が大切だよ。

 

間質性肺炎では、両肺の下肺野を中心に「パリパリ」「バリバリ」と表現される、捻髪音(ねんぱつおん)が聴こえることがあります。

 

線維化によって硬くなった肺では、閉じていた肺胞が吸気時に開きにくくなります。

 

そのため、吸気の終わりに肺胞が急に開くことで、捻髪音が聴き取れるのです。

 

聴診では、捻髪音が聴こえる部位や左右差、前回からの変化などを確認しましょう。

 

 

▼間質性肺炎の患者さんに行うべき聴診の位置

図解:聴診:捻髪音はどこで聴く。前胸部と背部の聴診位置イラストと、聴こえるタイミング(吸気の終わり頃)、注意点(左右差・前回からの変化)。【捻髪音の聴こえ方】「パリパリ」「バリバリ」硬くなった肺胞が呼吸で急に開くことで発生する音の説明。

 

 

4)慢性低酸素血症と合併症

 
【ポイント】
  • 低酸素状態が続くと、肺の血管が収縮して血液が肺へ流れにくくなるよ。
  • 低酸素状態が肺の広い範囲に及ぶと、多くの肺血管が収縮して肺血管抵抗が上昇。肺高血圧症や右心室への負担につながることがあるよ。

 

肺胞の周囲には、血液が酸素を受け取るための細い毛細血管が網目状に広がっています。

 

間質性肺炎では、拡散障害や換気と血流のバランスの乱れなどによって、血液に十分な酸素を取り込めず、低酸素状態につながることがあるのです。



肺胞内の酸素が少なくなると、その周囲の肺血管が収縮して狭くなり、酸素の少ない部位への血流を減らそうとします。
こうした反応が「低酸素性肺血管攣縮(れんしゅく)」です。

 

図解:なぜ慢性低酸素血症になるのか。元気な肺胞と線維化した肺胞のイラスト。低酸素性肺血管攣縮のしくみ:元気な肺胞へ酸素を効率よく運びたいため、線維化した肺胞へ行く血管が「攣縮」し、次第に肺全体の血管が狭くなって慢性低酸素血症に至る流れを解説。

 

この状態を道路にたとえると、「道が狭くなり、車が集中して渋滞を起こしているような状態」です。


血液の渋滞によって「肺血管抵抗(血液の流れにくさ)」が上がり、肺の血圧が高くなる「肺高血圧症」や、血液を送り出す右心室への負担につながります。

 

図解:肺高血圧症から右心機能低下へ。全身から肺への血流と、肺静脈の圧が高い期間が長期間続くことで、右心室は圧力に逆らい肺に血液を送り続け、右心室に長期間の圧力負荷がかかる流れ。右心機能低下により浮腫や頸動脈怒張が出現するイラスト。

 

 

【関連図に使える流れ!】

①【肺胞内酸素分圧低下】肺胞内の酸素が少なくなる
酸素が肺胞から血液へ移動しにくくなる

⬇

②【低酸素性肺血管攣縮】酸素が少ない肺胞の周囲にある肺血管が収縮する
酸素を十分に受け取れない部位への血流を減らそうとする

⬇

③【肺血流の再分配】酸素が保たれている肺胞へ血液を振り分ける
血液が、より効率よく酸素を受け取れるようにする

 

しかし、低酸素状態が肺全体の広い範囲で続くと……

⬇

④【広範な肺血管収縮】多くの肺血管が収縮する
血液が通れる肺血管が全体的に狭くなる

⬇

⑤【肺血管抵抗上昇】血液が肺を流れにくくなる
狭くなった血管へ血液を流すために、より強い力が必要になる

⬇

⑥【肺動脈圧上昇】肺動脈にかかる圧力が上がる
右心室は、強い圧力に逆らって肺へ血液を送り出す必要がある

⬇

⑦【肺高血圧症】肺動脈の圧力が高い状態が続く
右心室に長期間の圧力負荷がかかる

⬇

⑧【右心室の負荷増大】右心室の負担が増える
さらに進行すると右心室が肺へ血液を送り出す働きが低下して、浮腫や頸静脈怒張などにつながることがある

 

 

5)急性増悪のメカニズム

急性増悪とは、慢性的に経過していた間質性肺炎の患者さんの呼吸状態が、通常1か月未満の短期間で急激に悪化する重篤な病態です。

 

呼吸困難や低酸素血症が強くなり、胸部X線・CT上で新たな両側性のすりガラス影(うっすらと白い影)や浸潤影(白く濃い影)がみられます。

 

急性増悪は原因を特定できない場合もありますが、次のような出来事がきっかけになることもあります。

 

  • 感染症
  • 副腎皮質ステロイドの減量
  • 手術
  • BAL(気管支肺胞洗浄)などの処置
  • 誤嚥
  • 薬剤

 

急性増悪は、命に関わる可能性がある予後不良な病態です。

そのため、呼吸状態の変化を早期に発見し、速やかに治療へつなげることが重要です。

 

 

見出し「03 【間質性肺炎】看護学生の観察項目と情報収集」

1)呼吸状態の観察、急性増悪の兆候

Point

・まずはSpO2を確認!
・SpO2に加えて、呼吸状態や会話、意識レベル、本人の苦しさの自覚をセットで確認しよう。
・患者さんから胸痛や胸部不快感の訴えがあった場合には、すぐに実習担当看護師や教員へ報告!

 

 

(1)呼吸状態の観察項目

  • 呼吸数(成人の安静時呼吸数は、一般的に12〜20回/分が目安。20回/分を超える場合は頻呼吸として、普段の値やほかの症状と合わせて評価する。)
  • 深さ(胸やお腹の動きを見て、普段より呼吸が浅くなったり、過度に深くなったりしていないか)
  • リズム(呼吸の間隔が一定か、不規則になったり、途中で途切れたりしていないか)
  • SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度:血液中のヘモグロビンに、どの程度酸素が結合しているかを示す値。健康成人では一般的に、95~100%程度が目安。)
  • 呼吸困難感の有無・程度
  • 酸素投与デバイス・安静時や労作時の酸素流量(鼻カニューレ・酸素マスクなどの種類、装着ずれや外れ、チューブの折れ・接続外れを確認する。安静時・労作時それぞれの酸素流量が指示どおりか、同じ動作で以前より多くの酸素が必要になっていないかも観察する)
  • 努力呼吸の有無(胸鎖乳突筋や内肋間筋・腹筋などを動かして、努力的に行う呼吸がみられないか)
  • 唇や爪にチアノーゼがないか(紫青色~暗赤色)
  • 息継ぎをせずに、一文をひと息で話しきれるか
  • 捻髪音の部位や左右差、普段と変化がないか

 

 

(2)病態の悪化を見逃さないために、合わせて確認したいポイント

  • 意識状態(名前・場所・日時を答えられるか、呼びかけへの反応が鈍くないか、会話中に眠り込まないかなど、普段との違いを確認する)
  • 発熱の有無
  • 咳の増加がないか
  • 痰の量・性状(間質性肺炎では乾いた咳が多いものの、痰を伴う場合もある。普段と比べて新たに痰が出始めたり、量が増えたりしていないかを確認。黄色や緑色などへの色の変化や、血の混じりにも注意する)
  • 胸痛や胸部不快感の有無、発症時刻
  • 体重の増減
  • 浮腫の有無、浮腫を生じている部位や左右差、圧痕の程度(数秒間押した後のへこみの深さと、元に戻るまでの時間を確認する)
  • トイレ歩行や清潔動作など、普段できていた動作ができるか

 

 

(3)実習で使える呼吸困難の評価スケール

患者さんの息苦しさの程度を評価するスケールの1つに「修正Borg(ボルグ)スケール」があります。1)

修正Borgスケールは、息苦しさを「0=全く感じない」から「10=最大に強い」で表す評価尺度です。

 

ケアや歩行の前後で比較すると、動作による息苦しさの変化を捉えやすくなるでしょう。

 

表修正Borg(ボルグ)スケール

段階 呼吸困難の程度
0 全く感じない
0.5 ごくごく軽い(やや感じる程度)
1 ごく軽い
2 少し
3 中等度
4 やや強い
5 強い
6 とても強い
7 とても強い
8 とても強い
9 非常に強い(ほぼ最大)
10 最大に強い

※医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.4 呼吸器 第4版.メディックメディア,2026:p.42 を参考に編集部作成

 

【ポイント】
  • 呼吸困難は患者さんの主観的な症状であり、SpO2の値と一致しないこともあるよ。数値だけでなく「本人がどのくらい苦しいと感じているか」も確認すると◎!
  • 修正Borgスケールのほかに、「修正MRCスケール」「Hugh-Jones(ヒュージョーンズ)の分類」「NRS(Numerical Rating Scale)」などのスケールを使って息苦しさを評価することもできるよ。

 

 

2)検査データの確認

Point

・カルテに書かれた所見を確認し、患者さんの症状や前回の結果と照らし合わせよう。

 

【カルテで確認する検査ごとのポイント】
検査項目 確認事項・注意点
胸部X線・CT
画像診断レポートの所見確認(急性増悪の有無含む)
「網状影」「すりガラス影」「蜂巣肺(ほうそうはい)」などの所見があるか
急性増悪疑い時:新たに両側性陰影が指摘されていないか
呼吸機能検査
換気障害および酸素取り込み能力の確認(過去との比較)
%VC(%肺活量):80%未満(拘束性換気障害を示唆)
%DLCO(肺拡散能):80%未満(血液への酸素取り込み低下)
以前の検査値からの低下傾向
酸素化・歩行試験
安静時・運動時の酸素状態および運動耐能の確認
安静時 PaO2:80Torr 未満
6分間歩行時 最低SpO2:90% 未満
歩行試験時の酸素投与の有無・流量、歩行距離、息切れの程度
血液検査
関連マーカーおよび炎症・感染指標の推移確認
間質性肺炎関連:KL-6、SP-A、SP-D、LDH
炎症・感染関連:CRP、赤沈、白血球数
各値の数値および経時的な推移を確認

 

 

3)治療内容と副作用の確認

Point

・薬は、「何のために使っているか」「生活を妨げる副作用はないか」を確認できると◎!

 

 

(1)抗線維化薬

病型や病状に応じて、抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)が用いられます。

それぞれの主な副作用症状を表に示しました。

 

内服中は副作用の兆候を早く捉えるため、便回数や性状・食事量・体重変化・皮膚状態・肝機能数値を含めた採血データなどを確認しましょう。

 

表抗線維化薬の主な副作用症状

ピルフェニドン ニンテダニブ
・光線過敏症
・食欲不振
・悪心
・肝機能障害など
・下痢
・悪心
・食欲低下
・体重減少
・肝機能障害
・出血など

 

 

(2)ステロイド薬・免疫抑制薬

ステロイド薬や免疫抑制薬は、原因や病型、急性増悪などに応じて使用されます。

一般的に免疫抑制薬は、以下のようなケースで使用が検討されます。

  1. 1ステロイドに反応しない場合
  2. 2ステロイドによる重篤な副作用が出現した場合
  3. 3ステロイドによる副作用が出現するリスクが高い場合

 

ステロイド薬を使用している場合には、以下のような副作用症状が出現していないかも観察・確認しましょう。

 

【ステロイド薬の主な副作用と観察ポイント】
  • 感染徴候:発熱、咳・痰の増加、倦怠感など
  • 高血糖:検査結果から血糖値を確認
  • 消化器症状:胃痛、胸やけ、吐き気、食欲低下、黒色便(タール便)の有無
  • 精神症状:不眠や不安の表出がないか
  • 筋力低下:立ち上がりや歩行状態に変化があるか

 

 

(3)酸素療法

酸素療法中は、使用している酸素投与器具(酸素カニューレや酸素マスクなど)、安静時・労作時の指示流量、目標SpO2、正しく装着できているかなどを確認します。

 

鼻・耳・頬などのチューブやマスクやが当たる部位では、圧迫や摩擦による発赤や傷、痛みがないかも観察しましょう。

実習担当看護師や教員と相談しながら、固定位置の調整や緩衝材の使用を検討すると、皮膚トラブルを予防しやすくなるでしょう。

 

移動時は、酸素チューブの絡まりや折れ、接続外れがないかを確認します。

 

チューブが足に引っかからないよう、必要な長さを保ちながら安全な位置へ整えることも大切です。

 

 

4)日常生活と心理・社会面

食事・排泄・清潔・移動・睡眠など、日常生活のどの場面で息切れが起こるかを具体的に確認します。

息切れが落ち着くまでの時間や休息方法、動作の速さも観察しましょう。

 

患者さんが無理なく行える動作と、必要な休息時間を考える手がかりになります。

 

退院後を見据え、調理や買い物を誰が行うのか、自宅内に移動の負担となる段差や階段がないかも確認します。

さらに、在宅酸素療法(HOT)への抵抗感や不安、仕事・家庭内での役割、家族の負担、経済面、利用中の社会資源を把握し、患者さんが大切にしたい生活を考えましょう。

 

 

見出し「04 【間質性肺炎】アセスメントの流れ」

以下、3つのSTEPでアセスメントするとスムーズです◎。

 

 

【STEP①】症状が改善しても、肺の病変がすべて元に戻ったとは限らない、と理解する

間質性肺炎では、一度硬くなった(線維化した)肺組織は基本的に元に戻りません(不可逆)。

 

そのため、治療によってSpO2や息切れが改善しても、肺の病変がすべて治ったとは判断できないことに注意が必要です。

 

現在の呼吸機能でどこまで動けるか、どの動作に休息や酸素が必要かを考え、安全に生活できる方法につなげましょう。

 

【ポイント】
  • 間質性肺炎では、線維化した肺組織は元に戻らいないよ。
  • 薬剤性肺炎や非線維性の過敏性肺炎などでは、原因となる薬剤や抗原を避け、適切な治療をすることで、炎症性の病変が改善する場合もあるよ。

 

 

【STEP②】カルテと経過から「現在の状態」を確認する

カルテや看護記録から、患者さんが慢性安定期・急性増悪時・治療後の回復過程のどの段階にあるかを確認します。

 

現在の状態によって、検査データの捉え方や治療内容、看護の優先順位は異なります。

医師の診断、入院目的、治療内容に加え、入院時から現在までの呼吸状態や酸素投与量の変化を把握しましょう。

 

 

【STEP③】「入院時と今」を比べてアセスメントする

間質性肺炎では慢性的に進行する病型も多く、「進行を遅らせること」が治療の目標となりやすいです。

呼吸状態が保たれているか、以前より悪化していないかという視点で、患者さんの状態を観察しましょう。

 

 

(1)同じ動作でSpO2が以前より低下し、回復にも時間がかかる

・呼吸機能が低下している可能性

【アセスメント例文】

「以前は休まずに行えていたトイレ歩行でSpO2が低下し、回復にも時間を要している。病状の進行や急激な悪化がないか、呼吸状態や検査結果と合わせて確認する。」

 

 

(2)酸素投与量とSpO2、普段の活動を維持できている

・現在の呼吸状態はおおむね保たれている

【アセスメント例文】

「前日と同じ酸素条件でSpO2を維持できており、呼吸数や息切れ、病棟内での生活動作にも大きな変化はない。現時点で呼吸状態はおおむね安定していると考える。」

 

 

(3)急性増悪後に酸素必要量や呼吸困難が軽減している

・回復傾向にあるサインかも

【アセスメント例文】

「急性増悪での入院時より、酸素必要量と安静時の呼吸困難は軽減しており、急性増悪から回復傾向にある。ただし、増悪前の状態には戻っていないため、労作時の変化を引き続き確認する。」

 

【ポイント】
  • 呼吸状態と合わせて、食事摂取量や体重変化・活動範囲の変化なども比較しよう。
  • SpO2が正常範囲で保たれていても、息切れへの不安が活動量の低下につながる可能性があるよ。
  • 呼吸状態が食事・排泄・移動へどのように影響しているか、本人の思いまでつなげて考えよう。

 

 

見出し「05 看護問題リスト・看護計画(優先順位つき)」

1)【間質性肺炎の場合】看護問題の優先順位

  1. 1呼吸・循環・意識など生命に直結する問題
  2. 2排痰、水分・栄養、活動、睡眠など苦痛・日常生活に関わる問題
  3. 3治療継続、感染予防、誤嚥再発予防など退院後に関わる問題

 

 

2)【間質性肺炎の場合の例】看護問題リスト

看護問題 具体的なサイン・症状
ガス交換障害 ・歩行や着替えでSpO2が低下する
・呼吸が浅く速い
・会話の途中で息継ぎが必要になる
安楽障害 ・安静時でも息苦しい
・咳や息苦しさで眠れない
・食事中も苦しく、何度も休む
活動耐容能低下 ・少し動いただけで息切れして、移動に休憩が必要
・ベッドで休む時間が増える
・着替えや清潔動作に介助が必要になる
栄養摂取量不足のリスク ・食欲がない
・息切れや疲れで食事を残す
・吐き気・胃痛・下痢がある
不安 ・「また苦しくなるのが怖い」と話す
・病状や退院後の生活を繰り返し心配する
・息切れを恐れて動くことをためらう
健康自己管理不良のリスク状態 ・薬の飲み方や飲む時間が分からない
・副作用がつらく、薬をやめたいと話す
・酸素の指示流量の確認や酸素投与器具の操作に迷う
皮膚統合性障害のリスク ・鼻や耳など、チューブやマスクが当たる部位に圧迫痕や痛みがある
・自分で寝返りを打つことが難しい
・同じ姿勢で過ごす時間が長い
介護者役割緊張リスク状態 ・家族が「介護を続けられるか心配」と話す
・家族に疲れや睡眠不足がみられる
・家事・通院の付き添い・見守りが家族1人に集中している

 

 

見出し「06 【間質性肺炎】看護学生が行うケアの例と根拠」

1)生命に直結する問題への看護(最優先)

 

(1)全身状態・呼吸状態の経時的観察と悪化の早期発見

【ケア】
  • 呼吸数、呼吸の深さ・リズム、SpO2、意識状態、会話の様子、呼吸音を経時的に観察する。
  • 入院時・前日・動作前後の状態を比較し、本人が感じる息苦しさの程度も確認する。
  • 酸素療法中は、指示流量・器具の装着状態・チューブの外れや折れを確認する。
  • 急な息苦しさの増強、意識の変化、指示された目標SpO2を下回る状態などがみられたら、速やかに担当看護師・実習指導者へ報告する。

 

【根拠】
  • 間質性肺炎では、安静時のSpO2が保たれていても、労作時に低下することがある。
  • SpO2に加えて酸素必要量・呼吸困難感・会話や意識の変化を追うことで、呼吸状態の悪化を捉えやすくなる。
  • 酸素機器の外れや折れは、必要な酸素が届かない原因になる。

 

 

(2)呼吸負荷を軽減する体位調整

【ケア】
  • 歩行や生活動作の途中で息苦しくなった場合は、いったん動作を止める。
  • 椅子に座って上体を軽く前へ傾け、肘や前腕を膝・机に置くなど、上肢を支えられる姿勢で休んでもらう。
  • 椅子がない場合は、転倒に注意し、安定した台や壁で身体を支える。

 

【根拠】
  • 上肢を支えた前傾姿勢では、身体が安定して肩や腕の力を抜きやすくなり、呼吸の負担軽減につながることがある。
  • 楽に感じる姿勢には個人差があるため、体位調整後も呼吸状態や本人が感じる息苦しさを確認する必要がある。

 

 

2)苦痛・日常生活に関わる問題への看護

(1)活動と休息の調整

【ケア】
  • 安静度(医師が指示する「動いていい範囲」)の指示を確認し、動作をゆっくり行う・座位で行う・途中に休息を入れる方法を取り入れる。
  • 息を止めず、動作に合わせて呼吸できるよう声をかける。
  • 動作前後のSpO2・脈拍・血圧・息苦しさと、呼吸が落ち着くまでの時間を確認する。
  • 呼吸状態や体調に合わせ、無理なく行える活動の範囲を実習指導者や看護師と考える。

 

【根拠】
  • 休息を取らずに動作を続けると、息苦しさが強くなることがある。
  • 安静が続くと筋力や体力が低下し、さらに動きにくくなる。

 

 

(2)呼吸困難に配慮した排泄・清潔ケア

【ケア】
  • 呼吸困難の程度を確認し、患者さん・担当看護師と相談してケア方法を選ぶ。
  • トイレまでの歩行で息切れが強まったり、SpO2が低下したりする場合は、車椅子での移動やポータブルトイレの使用を検討する。
  • 清潔ケアは部分清拭に変更するなど、呼吸への負担が少ない方法を取り入れる。
  • 呼吸状態が落ち着いている時間に実施し、動作を短く分けて途中に休息を入れる。

 

【根拠】
  • 移動や立ち上がりでは、安静時より身体が必要とする酸素量が増える。
  • 間質性肺炎では酸素を血液へ取り込みにくいため、動作に伴ってSpO2低下や息切れが起こりやすい。
  • 排便時はいきんで息を止めやすく、入浴時は移動・着脱・洗身などの動作が続くため、呼吸への負担が増えやすい。
  • 移動・ケア方法を調整して休息を入れることが、SpO2低下や息切れを抑えることにつながる。

 

 

(3)食事・栄養状態への支援

【ケア】
  • 食事摂取量や体重の変化に加え、食事中のSpO2・息苦しさ・疲労感・食欲低下の有無を確認する。
  • 吐き気・胃痛など、食事量に影響する消化器症状が出現していないか確認する。
  • 摂取量が少ない場合は、息切れ・疲労・副作用など、食べられない原因を確認する。
  • 食前に休息する、少量頻回食にする、一口量や食事形態を調整するなど、患者さんに合う方法を担当看護師や管理栄養士と検討する。

 

【根拠】
  • 食事中は咀嚼や嚥下に合わせた呼吸の調整が必要で、息切れや疲労によって食事量が低下することがある。
  • 抗線維化薬やステロイド薬の副作用による消化器症状も、食欲や食事摂取量の低下につながる。
  • エネルギー不足が続いて呼吸筋・四肢の筋肉量が減ると、呼吸や活動に必要な力が弱まり、さらに息切れしやすくなる。

 

 

(4)安静・活動量低下に伴う褥瘡発生の予防

【ケア】
  • 安静が続く患者さんでは、仙骨部・踵・肘など、骨が突出して圧力のかかりやすい部位の発赤や傷、痛みの有無を確認する。
  • 呼吸状態に配慮しながら、体位変換や除圧を行う。
  • 自力で体位を変えられる場合は、無理のない範囲で姿勢を変えるよう声をかける。
  • 活動量の低下や骨突出などの褥瘡(じょくそう)発生リスクの程度に応じて、褥瘡予防マット(体圧分散寝具)の使用を看護師と検討する。

 

【根拠】
  • 呼吸困難で活動量が低下すると、同じ姿勢で過ごす時間が長くなり、身体の一部に圧力が集中する。
  • 圧迫部位の血流が悪くなると褥瘡が生じやすいため、体位調整と除圧が必要になる。

 

 

(5)不安・呼吸困難感への心理的支援

【ケア】
  • 「動くとまた苦しくなりそう」などの不安を否定せずに聴く。
  • 苦しくなった動作と、休息によってどのように回復したかを一緒に振り返る。
  • 安全に行えた動作や改善した点を具体的に伝える。

 

【根拠】
  • 強い呼吸困難を経験すると、再び苦しくなることを恐れて活動を避ける場合がある。
  • 対処できた経験を振り返ることが、息切れへの対処方法の理解や、活動への自信を取り戻す支援になる。

 

 

3)今後の生活・退院後に関わる問題への看護

退院支援に関わる看護問題では、患者さんの普段の方法や困りごとを確認し、気づいたことを担当看護師や実習指導者へ共有することから始めましょう。

 

 

(1)退院後も内服を続けられる方法を考える

【ケア】
  • 自宅での服薬管理方法と、副作用による困りごとがないかを確認する。
  • 患者さんの生活に合う服薬方法を考え、看護師へ共有する。
  • 副作用が現れたときに、自己判断で中止・減量せず相談できるよう、相談先を確認する。

 

【根拠】
  • 抗線維化薬やステロイド薬による消化器症状は、服薬継続を難しくすることがある。
  • ステロイド薬を継続して使用した後に急に中止すると、倦怠感・吐き気・頭痛・血圧低下などの離脱症状や、病状の悪化を起こすおそれがある。
  • 困ったときの相談先を明確にしておくことが、安全に治療を続けるために大切。

 

 

(2)酸素機器を安全に使えるか確認する

【ケア】
  • 指導者の見守りのもと、患者さんが指示流量を確認し、カニューレやチューブを扱う様子を観察する。
  • 火気管理・酸素ボンベ残量の確認方法・停電や災害時の連絡先について、理解状況を確認する。
  • 理解が不十分な点や操作で困っている点を、担当看護師へ共有する。

 

【根拠】
  • 酸素流量が指示より少ない場合やチューブが外れた場合は、必要な酸素が届かず低酸素につながるおそれがある。
  • 酸素は物が燃えるのを助けるため、酸素使用中の火気は火災の危険性を高める。
  • 安全な使用方法と緊急時の対応を理解することが、在宅療養を続けるために大切。

 

 

(3)感染予防と症状悪化時の対応を確認する

【ケア】
  • 普段の息切れや咳の程度を確認する。
  • 息切れ・咳の増加、発熱、痰の変化、いつもの動作ができないなど、悪化のサインを患者さん・家族と整理する。
  • 受診・相談の目安と連絡先を、担当看護師の指導内容に沿って確認する。
  • 手洗い・うがい、状況に応じたマスク着用、人混みを避けるなど、生活の中で続けられる感染予防策を一緒に考える。

 

【根拠】
  • 間質性肺炎では、感染症をきっかけに呼吸状態が急激に悪化することがある。
  • 日頃の感染予防に加え、普段との違いを早く見つけて治療につなげることが重要。
  • 受診の目安と連絡先が具体的であれば、悪化時に速やかに病院へ相談しやすくなる。

 

 

(4)家族の支援力と負担を確認する

【ケア】
  • 患者さんが退院後に続けたいこと、本人ができること、家族へ頼みたいことを確認する。
  • 家族の健康状態・支援できる範囲・負担に感じていることを確認する。
  • 退院後の通院方法と、利用中のサービスを確認する。
  • 患者さん・家族の困りごとを担当看護師や多職種と共有する。

 

【根拠】
  • 息切れや酸素機器の使用により、移動に付き添いや介助が必要になる場合がある。家事・通院支援・見守りを家族1人が担うと、負担が集中しやすい。
  • 家族が実際にできることと負担を分けて把握することが、無理のない役割分担や必要な社会資源を考える手がかりになる。

 

 

見出し「07 【質問例あり】関連図に個別性を出すポイント」

1)活動量・家庭での役割

【個別性を引き出せる質問例】

・普段はどのように1日を過ごしていますか?
・家事や移動など、どの動作で息切れしますか?
・息切れしたときは、休んだり誰かに手伝ってもらったりしていますか?
・これからも続けたい活動や役割はありますか?

 

【質問のポイント】
  • 間質性肺炎では、歩行や家事などの動作で息切れやSpO2低下が起こり、普段の生活に支障が出ることがある。
  • 活動量だけでなく、「どの動作で苦しくなるか」「途中で休めるか」「援助を求められるか」まで具体的に確認する。
  • 「自分のことは自分でしたい」「家族に負担をかけたくない」という思いから、息切れを我慢する患者さんもいる。
  • 本人が大切にしている活動や役割を把握し、安全に続けられる方法を一緒に考えることが大切。

 

【関連図に活かす例】

「自分のことは自分でしたい」という思い

⬇

息切れを我慢して、援助を求めずにトイレまで歩く

⬇

労作時呼吸困難・SpO2低下

⬇

転倒・呼吸状態悪化のリスク

 

 

2)食事・栄養状態

【個別性を引き出せる質問例】

・食事中に咳や息切れはありませんか?
・食事の量は、以前と比べて変わりましたか?
・最近、体重が減っていませんか?
・買い物や食事の準備は誰がしていますか?
・薬を飲み始めてから、下痢や食欲低下はありませんか?

 

【質問のポイント】
  • 食事中の咳や息切れ、疲労によって、十分に食べられなくなることがある。
  • 抗線維化薬の副作用による下痢や吐き気、食欲低下などが、食事量や体重に影響していないかも確認する。
  • 退院後の食生活を考えるため、買い物や調理を担う人と、継続して受けられる支援についても尋ねる。

 

【関連図に活かす例】

① 呼吸の負担が増える流れ

① 呼吸の負担が増える流れ

咳嗽・呼吸困難

⬇

呼吸仕事量(呼吸に必要な身体の働き)の増加

⬇

エネルギー消費量の増加

 

② 食事量が減る流れ

食事中の咳・息切れや、抗線維化薬による吐き気・食欲低下

⬇

食事摂取量の低下

 

【③ ①と②が重なる場合】

エネルギー摂取量が消費量を下回る状態が続く

⬇

体重減少・低栄養

⬇

呼吸筋・骨格筋量の減少

⬇

呼吸機能・活動耐容能の低下

⬇

呼吸困難感の増強

 

 

3)職業上の曝露・生活環境

【個別性を引き出せる質問例】

・これまで、粉じんや化学物質を扱う仕事をしていましたか?
・その仕事は、どのくらいの期間続けていましたか?
・これまでに鳥を飼っていたことはありますか? また、羽毛布団などの羽毛製品を使用していますか?
・自宅の壁や浴室などに、カビが生えている場所はありませんか?

 

【質問のポイント】
  • 粉じんを吸い込む仕事の経験はじん肺、鳥やカビとの接触は過敏性肺炎の原因を考える手がかりになる。
  • 現在の環境だけでなく、過去の仕事内容や、原因となり得る物質との接触期間・頻度も具体的に確認する。
  • 問診で得た情報だけで原因を断定せず、医師の診断や検査結果と照合することが重要。
  • 原因との関係が確認されていない情報は、「原因・背景の可能性」として、確定した情報と区別して記載する。

 

【関連図に活かす例】

鳥との接触歴があり、診断でも鳥との関連が確認されている場合は、次のようにつなげます。

鳥の飼育

⬇

鳥由来の抗原への反復曝露

⬇

免疫反応

⬇

肺胞・細気管支とその周囲の炎症

⬇

鳥関連過敏性肺炎

 

 

4)家族・サポート体制

【個別性を引き出せる質問例】

・一緒に暮らしている方はいますか?
・通院や家事を手伝ってくれる方はいますか?
・ご家族に、持病や身体の不調はありますか?
・ご家族は、どのような手助けなら続けられそうですか?
・酸素療法や自宅での生活で困ったときは、誰に相談しますか?
・現在、訪問看護や介護サービスなどを利用していますか?

 

【質問のポイント】
  • 家族がいても、十分な支援を受けられるとは限らない。
  • 同居者や主な支援側に加え、「何を手伝ってもらえるか」「どのくらいの頻度で支援を受けられるか」を確認する。
  • 家族自身の健康状態や生活にも目を向け、家事・通院の付き添い・見守りなどの負担が集中していないかを把握することが大切。
  • 家族による支援と負担を分けて整理し、利用しているサービスや相談先も関連図に加える。

 

【関連図に活かす例】

① 家族の支援が生活を支える流れ

妻による家事・通院の支援

⬇

患者さんの生活上の負担軽減・通院の継続

⬇

在宅療養を支える家族の支援力

 

② 家族に負担が集中する流れ

妻は変形性膝関節症で治療中・子どもは遠方に居住

⬇

妻が担える支援や、子どもが日常的な支援に限りがある

⬇

家事・通院支援・見守りの負担が妻に集中する可能性

⬇

家族の介護負担増大のリスク

 

 

見出し「08 【関連図の見本】間質性肺炎の事例」

▶「関連図の書き方」を詳しく知りたい人はコチラも見てね!

 

1)慢性期の関節リウマチに伴う間質性肺疾患

\関連図の見本を見る/

 

(1)事例概要【A氏、72歳、男性】

・A氏: 72歳・男性。身長168cm、平常時体重60kg、BMI 21.3(普通)

 

・診断名: 関節リウマチに伴う間質性肺疾患(Rheumatoid Arthritis-associated Interstitial Lung Disease:RA-ILD)

 

・既往歴: 関節リウマチ、高血圧症

 

・職業: 元市役所職員(事務職)。65歳で定年退職し、現在は無職。

 

・喫煙歴: 20歳から60歳まで1日10本を喫煙。12年前に関節リウマチと診断されたことをきっかけに禁煙。

 

・飲酒: ビール350mLを週に2〜3回程度

 

・家族・キーパーソン: 70歳の妻と2人暮らし。妻は高血圧症で治療中だがADLは自立している。長女は車で約30分の場所に住み、月2〜3回訪問。

 

・家庭での役割: 家事は主に妻が担い、通院にも付き添っている。A氏は自分でできる身の回りのことは続けたいと考えている。

 

・趣味・嗜好: 囲碁が趣味で定期的に地域の囲碁教室に出席していた。最近は息切れのため、以前よりも外出機会が減っている。

 

 

(2)現病歴・入院時

  • 現病歴:12年前に関節リウマチと診断された。3年前に乾性咳嗽と労作時呼吸困難をきっかけに「関節リウマチに伴う間質性肺疾患」(RA-ILD)と診断された。線維化の進行に対して1年前から抗線維化薬を使用している。3か月前から歩行時の息切れが強まり、労作時のSpO2低下を認めた。そのため、病状評価と在宅酸素療法導入の検討目的で入院した。食欲低下と軟便があり、6か月で約3kg減少している。

 

  • 入院時バイタル・身体所見:体温36.5℃、呼吸数22回/分、SpO2 94%(安静時・ルームエア:酸素投与をしていない状態)。血圧132/76mmHg、脈拍88回/分。トイレ歩行後はSpO2 87%まで低下する。乾性咳嗽があり、両側背下部に捻髪音を聴取。体重57kg、BMI 20.2。両手指に軽度の関節痛と朝のこわばりがあり、手先を使う細かな作業に時間がかかる。

 

  • 画像検査:HRCT(高分解能CT:通常のCTよりも肺の細かい構造まで観察できる)で下肺野優位の網状影(網の目状の影)と牽引性気管支拡張(線維化によって気管支が引っ張られて広がった所見)を認める。

 

  • 呼吸機能検査:%VC 68%(%VC低下から拘束性換気障害が示唆される)。%DLCO 55%(肺から酸素がどれだけ効率よく血液中に取り込まれているかを調べる検査。%DLCO低下から肺拡散能の低下が示唆される)

 

  • 6分間歩行試験:歩行距離300m、最低SpO2 87%(最低SpO2 87%まで低下しており、労作時の酸素化低下を認める)

 

  • 血液検査:KL-6 1,320U/mL、RF 180IU/mL、抗CCP抗体150U/mL、CRP 0.4mg/dL、白血球6,800/µL

 

  • 治療:関節リウマチに対して、メトトレキサート(抗リウマチ薬)、間質性肺疾患の線維化の進行を抑える目的で、ニンテダニブ(抗線維化薬)を内服中である。医師の指示により、労作時は鼻カニューレで酸素2L/分を投与してSpO2と自覚症状を評価する。呼吸リハビリテーションと栄養指導を実施し、在宅酸素療法導入に向けて本人・家族への説明を進めている。

 

 

(3)患者さんの様子・価値観

A氏は「酸素を使うと、もう外へ出られないのでは」と不安を感じています。

「妻に負担をかけたくない」「自分のことは自分でしたい」と息切れを我慢して1人で動くことがあり、最近は囲碁への参加も減っています。

手指の関節痛やこわばりによってカニューレや酸素チューブを扱いにくい場面もあります。食事中にも咳と息切れがあり、摂取量は以前の7割程度です。

 

妻は「1人にするのが心配」と外出を控え、家事や見守りの負担が増えています。「私1人で対応できるか不安」と話しています。

 

 

2)特発性肺線維症の急性増悪後

\関連図の見本を見る/

 

(1)事例概要【B氏、74歳、男性】

・B氏: 74歳・男性、身長166cm、入院時体重58kg、BMI 21.0(普通)

 

・診断名: 特発性肺線維症の急性増悪

 

・治療歴:4年前に乾性咳嗽と坂道を歩いたときの息切れをきっかけに受診し、特発性肺線維症と診断。診断後からピルフェニドン(抗線維化薬)を内服している。1年前から労作時の低酸素血症が強くなり、在宅酸素療法を導入した。普段の酸素流量は安静時1L/分、労作時2L/分。

 

・急性増悪前の呼吸機能検査:2か月前の外来検査では、%VC 65%(80%未満で拘束性換気障害)。%DLCOは42%(80%以上が正常)と明らかに低下しており、肺胞から血液へ酸素を取り込む力が低下している。

 

・職業歴: 元銀行員(事務職)。65歳で定年退職し、現在は無職。

 

・喫煙歴: 25歳から65歳まで1日20本を喫煙。定年退職を機に禁煙。

 

・飲酒: 日本酒1合程度を週に2回飲んでいたが、在宅酸素療法の導入後はほとんど飲んでいない。

 

・家族・生活状況:72歳の妻と2人暮らしで、キーパーソンは妻。妻は変形性膝関節症で通院中であり、ADLは自立しているが、長距離の歩行や重い荷物を持つことには負担を感じている。48歳の長男と45歳の長女は、いずれも県外でB氏の自宅から片道3時間ほどかかる場所に住んでいる。電話で定期的に連絡を取っているが、仕事や子育てがあるため、日常的な付き添いや家事の援助を受けることは難しい。普段のB氏は、妻の見守りで身の回りのことを行っていた。

 

・趣味・嗜好:ベランダでメダカを飼育し、毎朝餌を与えることを日課にしている。水槽の水換えは妻と一緒に行っていたが、息切れが強くなってからは妻に任せることが増えている。

 

 

(2)現病歴・入院時

  • 現病歴:1週間前から鼻汁や咽頭痛、37.6℃前後の微熱などの感冒様症状が出現した。その後、息切れと乾性咳嗽が急激に増強し、処方された酸素を使用しても改善しなかった。呼吸困難が強くなったため救急搬送され、救急外来で特発性肺線維症の急性増悪が疑われた。呼吸器感染症が誘因となった可能性も含め、精査・治療を行うため緊急入院となった。

 

  • 入院時の呼吸状態:入院時は呼吸数30回/分で、浅く速い呼吸がみられた。SpO2 89%(酸素3L/分)。会話は途中で息継ぎを必要とする。

 

  • 画像所見:HRCTで既存の線維化に加えて、新たな両側性すりガラス影を認める。

 

  • 治療経過:酸素投与量の増加とステロイドパルス療法が開始。現在は入院10日目で、呼吸状態は入院時より安定している。特発性肺線維症の急性増悪の要因として感染症が疑われることから、入院1日目より抗菌薬投与。

 

  • 受け持ち時の状態:体温36.8℃、呼吸数22回/分、SpO2 94%(酸素2L/分)。安静時は会話できるが、トイレ歩行時は医師の指示により酸素3L/分を使用してもSpO2が89%まで低下し、息切れがみられる。

 

  • 日常生活:食事はベッドサイドで座位をとり、自分で摂取できる。入院当初は呼吸困難が強く、排泄には尿器やトイレまで車椅子を使用していた。現在は医師の安静度指示に基づき、酸素3L/分を使用して看護師の付き添いのもとトイレまで歩行できる。しかし、入院時の強い呼吸困難を思い出し、呼吸状態が安定していても「今日は車椅子で行きたい」と歩行をためらうことがある。清潔ケアは呼吸状態に合わせて部分介助を受けている。

 

 

(3)患者さんの様子・価値観

B氏は「動くとまた息が苦しくなるのが怖い」「できれば自分で顔を洗ったり、トイレへ行ったりしたい」と話している。

妻は「入院したときは話すのも苦しそうで驚きました。今は少し落ち着いているようですが、また急に悪くならないか心配です」と不安を訴えている。

 

 

<おわりに>

関連図作成は最初こそ難しくても、病態や生活状況、患者さんの思いを順番に整理すれば大丈夫。患者さんらしさが伝わる関連図を作ってみよう!

 

 

引用文献

1)医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.4 呼吸器 第4版.メディックメディア,2026:p.42

 

参考文献

1)看護roo!:捻髪音(2026年8月2日アクセス)

2)看護roo!:努力呼吸(2026年8月5日アクセス)

3)看護roo!:浮腫(ふしゅ)に関するQ&A(2026年8月5日アクセス)

4)看護roo!:酸素療法(2026年8月5日アクセス)

5)医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.4 呼吸器 第4版.メディックメディア,2026:p.29,p.30,p.45,p.132,p.138,p.180,p.196,p200,p201,p202,p203,p204,p205,p.206,p.207,p.208,p269,p.348

6)Kishaba T.:Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Medicina. 2019;55(3):70.(2026年8月2日アクセス)

7)独立行政法人国立病院機構 福岡病院:呼吸リハビリテーション(2026年8月5日アクセス)

8)一般社団法人 日本褥瘡学会:褥瘡の予防について(2026年8月5日アクセス)

9)一般社団法人 日本褥瘡学会:褥瘡について(2026年8月5日アクセス)

10)日本呼吸器学会:5)びまん性肺疾患に関するQ&A(2026年8月5日アクセス)

11)日本呼吸器学会:過敏性肺炎(2026年8月6日アクセス)

12)日本呼吸器学会:膠原病肺(2026年8月6日アクセス)

13)医療情報科学研究所 編:病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症 第2版.メディックメディア,2018:p.68

14)日本呼吸器学会:Q29. 在宅酸素療法が必要と言われました。(2026年8月2日アクセス)

15)大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学:免疫疾患の解説(2026年8月7日アクセス)

 

関連図PDF作成:菊池信悟(ロケットデザイン)

イラスト:松堂純子(保健師・看護師、Medi+プロダクション)

編集:坂本綾子(看護roo! 編集部)

デザイン:伊神理咲

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