関連図の書き方【見本付き】看護学生の病態関連図・全体関連図がゼロから書ける!

もくじ
著者:若月佐知子(北海道看護専門学校 教務部長)
執筆協力:白石弓夏(看護師・ライター)
※関連図にはさまざまな書き方があります。本記事はその一例です。指導者から指示がある場合はそちらに従ってください。

STEP(1)「実習記録」「カルテ」「アセスメントシート」などから【キーワード】を拾う
まずは宝探し感覚で、手元の記録からキーワードを集めるステップです。

【手順】
1)資料を準備する
・「実習記録」「カルテ」「アセスメントシート」などを手元に用意する
2) 4つの視点でキーワードを拾う
・以下の4種類を意識しながら、関連図に使えそうな言葉をピックアップする。
- ①病気・診断名(例:細菌性肺炎、高血圧)
- ②症状・検査値・現病歴・既往歴(例:発熱、咳嗽、SpO2 92〜93%)
⇒ 検査値は、異常値を拾う - ③生活・仕事・環境(例:IT企業勤務、睡眠5時間、妻と同居)
- ④気持ち・感情(例:申し訳なさ、不安)
・キーワードは四角で囲むか、付箋・別紙などに書き出す。
【ポイント】
1)迷ったら全部拾う
不要なものは後で外せるよ。
2)「難しい医療用語だけ拾わないと!」は誤解
「仕事が忙しい」「妻に申し訳ない」「サウナに行けなくて気分転換できない」のように、生活や気持ちの言葉もそのまま拾ってOK!
患者さんとの会話を記したメモ帳も活用しよう!
3)紙に書くのが苦手な人は…
「関連図作成アプリ」や「スマホ・タブレットのメモアプリ」を使ってキーワードを並べてもOK!
4)「アセスメントシート」があれば、そこからキーワードを拾うのがベスト
アセスメントがまだの場合は、「実習記録」「医師の記録(カルテ)」「看護師の入院時情報シート」「看護記録」からキーワードを拾ってOK!
STEP(2)紙を横置きに。「何をどこに書くか」イメージしよう
いきなり書き始めると、スペースが足りなくなってゴチャつく原因に。まずは「配置のレイアウト」をイメージします。

【手順】
1) A3の紙を横向きに置く
2) 紙を4つのエリアに分けて、何をどこに書くかイメージする
- 中央やや上:患者さんの基本情報
- 左上:社会面
- 右上:心理面
- 下半分:身体面(病態)
【ポイント】
・STEP(1)で拾ったキーワードは、それぞれ下記のエリアに配置していくよ(STEP3以降で詳しく解説)。
- 【病態エリア】①病気・診断名(例:細菌性肺炎、高血圧)
- 【病態エリア】②症状・検査値・現病歴・既往歴(例:発熱、SpO2 92〜93%、ふらつき)
- 【社会エリア】③生活・仕事・環境(例:仕事多忙、睡眠5時間、妻と同居)
- 【心理・社会エリア】④気持ち・感情(例:不安、申し訳なさ)
STEP(3) 関連図の「骨組み」を書く
ここでは、関連図の軸となる「骨組み」を完成させます。

【手順】
1)疾患名を書く
まず、患者さんの病気の名前(疾患名)を病態エリアの真ん中あたりに書く。
- 例:「細菌性肺炎」
2)「なぜこの病気が発症するのか」を書く
- 例:「感染」「抵抗力・免疫力低下」
STEP(1)で拾ったキーワードの中から、あてはまりそうなものを探してみよう。
3)2)はなぜ起こったのか、を書く
「なぜ、抵抗力や免疫力が低下して感染したのか」を考え、STEP(1)で拾ったキーワードの中から、あてはまりそうなものを探してみよう。
- 例:「IT企業に勤務」「仕事が多忙」⇒社会面のキーワードなので上に矢印を伸ばす
【ポイント】
1)骨組みの時点で、個別性を出しておくとラク!(詳しくはココをタップ)
「A氏50歳男性」から「いきなり細菌性肺炎」へつなぐのではなく、以下のように書くのがポイント。
IT企業に勤務
→ 仕事が多忙
→ 睡眠時間5時間
→ 成人の必要睡眠時間7~8時間
→ 朝、疲れがとれていない
→ 抵抗力・免疫力低下
→ 感染
→ 細菌性肺炎
「A氏 → 細菌性肺炎」と直接つなぐのもバツではないよ。
ただ、このように書くことで、「この人独自の発症までのストーリー」が個別性をもって先生にも伝わり、評価がグッと上がる!
▼より詳しく個別性を出すなら▼
たとえば「風邪をひいた状態でも、働き続けて悪化した」というストーリーが患者さんにあった場合。
このように書くと、より個別性を出すことができます。
IT企業に勤務
→ 仕事が多忙
→ 睡眠時間5時間
→ 成人の必要睡眠時間7~8時間
→ 朝、疲れがとれていない(疲労蓄積)
→ 抵抗力・免疫力低下
→ 上気道感染
→ 上気道の炎症・バリア機能低下
→ 下気道(肺)への侵入
→ 細菌性肺炎
2)矢印は必ず「原因 ➔ 結果」の向きに
3)余白は「広すぎるかな?」と思うくらいとる
4)最初はシャーペンか付箋がおすすめ
STEP(4) 「病態エリア」の肉付けをする
【手順①】
・一般的なメカニズムを一本道でつなぐ

その病気から、今出ている症状までの「一般的なメカニズム」を、まっすぐ1本の矢印でつないでいきます。
ピックアップしたキーワードから書くか、教科書やWebサイトで調べてみましょう。
【手順②】
1)【病態の肉付け】拾ったキーワードを配置する
・1つずつマスを見ながら、「この症状が出たら、次は何が起きるかな?」と自分に問いかけ、拾ったキーワードの中からマスを書き足す。

2)「今」と「これから」で線を使い分ける
- ①今、実際に起きていることは実線
- ②これから起こりうることは破線(点線)
3)治療やケア(看護援助)を書き込む
治療薬や看護ケアの言葉を四角で囲み、それがターゲットとしている問題(マス)に向けて 矢印(③太い矢印)を引く。
【ポイント】
・治療の矢印は「アプローチする対象」に向ける
たとえば、「アセリオ(解熱剤)」という治療のマスを作ったら、矢印は「発熱」のマスに向けます。
「酸素投与」なら「低酸素血症」のマスに向けて矢印を引っ張ろう。
【迷ったときのアドバイス】
・もし余裕があれば、専門用語に言い換えられるとベスト。
難しければ、無理せずカンタンな言葉のままでもOK!
STEP(5)社会面・心理面を書き足し、つなげる
いよいよ、社会面(左上)と、心理面(右上)のエリアに、患者さん個人のキャラクターを書き込みます。

【手順】
1)拾ったキーワードを配置する
STEP(1)で集めた生活背景や気持ちのキーワードを、それぞれのエリアに置いていきます。
2)社会・心理面のエリアの中で派生させていく。「だからどうなる?」で矢印をつなぐ
- 矢印は、「〇〇だから ➔ △△になった」という方向で統一。
- それぞれのマスに「だからどうなる?」とツッコミを入れながら、マスを増やし、矢印を伸ばしていこう。
3)全体を見て、病態エリアとつなぐ
下半分の病態エリアを見ながら、「ここから生活や気持ちに影響しているところはないかな?」 と探し、つなぎます。
【ポイント】
1)合言葉は「だからどうなる?」
・社会面・心理面のマスが「ポツンと置いてあるだけ(行き止まり)」になってないかな?
以下のように、気持ちの変化までストーリーをつなげるのがポイント。
- 入院した ➔ だからどうなる? ➔ 仕事に穴があく ➔ だからどうなる? ➔ 職場に申し訳ない・不安
・STEP(1)で拾ったキーワードを使いつつ、自分で新たに考えたことも追記していくよ。
「だからどうなる?」と考えてわからなかったりするときは、患者さんに追加で質問するのもアリ。
2)ここは「患者さんの個別性」が一番光る場所!
・患者さんが話してくれた言葉や生活背景をそのまま使えるよ。「この人が今入院して、どんな気持ちだろう?」と想像をふくらませてみよう。
STEP(6) 全体を見直し、看護問題(#)を決める
最後の仕上げです。全体を見渡して、私たちがケアすべき「看護問題」を見つけ出します。

【手順】
1)矢印のパトロールをする
図全体の矢印を1本ずつ指でたどってみて、向きがおかしいところや、行き止まりになって浮いているマスがないかチェック・修正します。
2)矢印が集まる場所 = 看護問題
「いろんな原因が重なって、最終的にここで大問題が起きている!」というマスが看護問題になります。もし看護問題(#)に向かう矢印が1本しかない場合は、アセスメントや関連づけがまだ少し足りないサインかもしれません。
- 例:「申し訳なさ」「ストレス」「清潔が保てない」の3つのマスから矢印が集まって ➔ 【#4自立度低下により、不安やストレスが生じる可能性になる】 になる。
3)優先順位は「マズローの欲求段階」で考える
基本的には、生死に直結する問題から、優先順位をつけていきます。
(参考:マズローの欲求段階 )
【ポイント】
- 1)看護問題(二重線のマス)に、色んなところから矢印が集まってる?
- 2) 命に直結する問題が「#1」になってる?
- 3)問題の数は多すぎず少なすぎず、3〜6個に収まってる?

関連図とは「患者さんの病気、心の状態、生活背景が、お互いにどう影響し合っているかを1枚にまとめた地図」です。
◆ 病態関連図と全体関連図、どう違う?
| 病態関連図 | 全体関連図 | |
|---|---|---|
| 書く内容 | 病気が発症する仕組みやメカニズムのみを記載。患者さん個人の情報はほぼ入らない | 全体関連図とは病態+その人の生活背景・心理面・社会面まで含めた全体像 |
| 実習での扱い | 授業の導入で使うことも。標準的な病気のメカニズムを学ぶのに向いている | 実習中は全体関連図を書く課題が多い。この記事もこちらを解説しています |

(1) 実線・点線・矢印・看護問題の書き分け(凡例)
関連図で使う線の種類や記号・矢印には、共通ルールと言えるものがあります。
| 種類 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| ━━実線 | 顕在的な問題 (今、リアリアルタイムで起きていること) | 「ふらつきがある」 「便秘」 |
| ---点線 | 潜在的な問題 (このままだと今後起こりそうなリスク) | 「このまま水分が摂れないと 脱水になる可能性がある」 |
| #番号付き枠 | 看護問題(看護診断) (矢印が一番集まっているところ) | 「#1 呼吸困難感などの苦痛がある」 |
| →矢印 | 原因から結果への流れ | 「発熱 → 発汗 → 清潔が保てない」 |
・「将来こんなことが起きるかも…」という点線ばかりを書きすぎると、「今すぐ目の前で必要なケア」がぼやけてしまうよ。
・まずは、今実際に起きていることをしっかり押さえよう!
(2) 看護問題(#)の数と優先順位
マズローの欲求段階をベースに、以下の順番で優先度を高くします。
- 1第1位: 生命に直接関わるもの(息が苦しい、心臓・循環の異常など)
- 2第2位: 痛み、吐き気、強い不安など、患者さんが今まさに苦痛を感じているもの
- 3第3位: 今後の日常生活や、退院後の生活に悪影響が出そうなもの

【Q1】マスとマスのつなげ方や、枝分かれ(派生)のさせ方がわかりません
まずは、関連しそうなキーワードを、マスの周りにポンポン置いてみよう
1つのマス(たとえば「便秘」)に注目して、「これの原因ってなんだろう?」「これが起きるとどうなるだろう?」と連想ゲームをします。
「便秘」の原因なら、水分不足、食事量が少ない、動いていない、入院のストレス…といくつか思い浮かぶかもしれません。
STEP(1)でピックアップしたキーワードから探してみるのもいいでしょう。
それを周りに書いて「原因⇒ 結果」に矢印を引っ張る、これが「派生」です。
【Q2】先生や指導者から「根拠が足りない」と指摘されてしまいました
マスとマスの「間」にもう1ステップ挟んでみよう
- 【お悩み例1】
- ❌ 水分摂取不足 ➔ 脱水 (これだと「根拠が足りない」と言われやすい)
- ⭕ 水分摂取不足 ➔ 体内水分量の減少 ➔ 脱水 (間に1つ挟むだけで納得感が出る)
※さらに「脱水」をより詳細に「水欠乏性脱水」と書けるとベスト
- 【お悩み例2】
- ❌ 仕事が多忙 ➔ 免疫力低下
- ⭕ 仕事が多忙 ➔ 疲労の蓄積・睡眠不足 ➔ ストレス増大 ➔ 免疫力低下
💡 おすすめの調べ方:
▶看護roo!などで「〇〇 原因」や「〇〇 治療」と検索すると、書籍ベースの正確なメカニズムが載っています。
間に入れる言葉に迷ったら、ぜひ検索してそのまま活用(必要に応じて出典を明記)してみましょう。
【看護roo!を使った根拠の調べ方】
▶看護roo!で「〇〇 原因」「〇〇 治療」などと検索し、見つけた根拠をマスとマスの間に追加します。
書籍の転載情報なので出典として明記できます。
【出典の書き方例】
a)看護roo!「(記事タイトル)」より
b)(書籍名)(著者名・出版社・ページ数)より引用
【Q3】矢印が渋滞してぐちゃぐちゃになってしまいます
エリア分けを意識するだけで、スッキリします
図がぐちゃぐちゃになる最大の原因は、社会面のエリアから病態のエリアへ、また心理面のエリアへと、矢印が縦横無尽に横断してしまうから。
「左上は社会面、右上は心理面、下は病態」という縄張りを意識し、同じエリア内で処理できるものは、その中でつなぎましょう。
遠くに伸ばす矢印は、エリアをまたぐ時の「ここぞ」という1本に絞ると、見やすい関連図になります。
とはいえ、最初はぐちゃぐちゃでも書くことが大事!まずは書くことに慣れて、少しずつスッキリした関連図を目指そう!
【Q4】社会面・心理面が書けなくて、病態に偏ってしまいます
「だからどうなるの?」と問いかけてみよう
STEP①で拾ったキーワードから、患者さんの「普段の生活」をキッカケとして書き出してみます。
そこからスタートして「だからどうなる?」を考えて書き足してみましょう。
すると、心理面や病態のマスにつながります。
| きっかけ | だからどうなるの? | つながる先 |
|---|---|---|
| 趣味がある | 入院中はできない→気分転換できない | ストレス増加 |
| 仕事がある | 入院で穴が開く→職場への申し訳なさ | 不安・ストレス |
| 家事を担っている | 入院中は家族に任せるしかない→申し訳なさ | 役割喪失感 |
| 同居家族がいる | 家事・介護の負担が増える | 心配・申し訳なさ |
【Q5】どのマスを看護問題にしたらいいかわかりません
看護記録や医師のカルテを見ると、ヒントが見つかることがあります
関連図だけを見て悩んでしまうときは、看護師や医師のカルテ記録を見てみましょう。
カルテには、今、患者さんにとって何が一番の問題なのかや、医療スタッフが特に注意していることが書かれています。
それをヒントにすると、「どの看護問題を優先すればいいか」が見えてくることがあります。
関連図だけで答えを出そうとせず、カルテからヒントをもらって方向性を決めるのも大切な考え方です。

初めて関連図を書く人にもわかりやすい事例と見本の関連図です。
【事例の概略】
A氏、50歳・男性、BMI 25(やや肥満)
診断名:細菌性肺炎
既往歴:なし
職業:IT関係(デスクワーク・出張多め)
普段の睡眠:5時間程度
喫煙歴:1日20本・20歳から
飲酒:ビール500mL・週3回程度
家族:妻・長男・長女(妻と同居)
キーパーソン:妻
趣味:サウナ・ゴルフ・食べ歩き
現病歴:仕事多忙・出張後に体調悪化。
発熱38.4〜39.5℃・脈拍98〜100回/分・湿性咳嗽・倦怠感・ふらつき
食欲低下あり(入院時の食事摂取量:数口〜1/2程度)
入院前から便秘傾向あり、出張後から4日以上排便なし
水分摂取が少ない傾向あり
検査値:WBC 16,000・CRP 10.0・SpO2 92〜93% → 細菌性肺炎にて緊急入院
入院前:身長170cm・体重73kg 自覚症状なし
治療:抗生物質点滴・アセリオ(解熱剤)・酸素投与2L/分・吸入(ベネトリン・ビソルボン)
患者の様子:仕事への不安あり。妻への申し訳なさから相談しにくい様子。入院で睡眠不足も継続している。「娘と同じ年の学生にお世話になるのは申し訳ない」と話している。
※細菌性肺炎は症状がわかりやすく看護過程を展開しやすいため、はじめての事例として取り上げています。実習で多い誤嚥性肺炎にもそのまま応用できます。

提出前に、このチェックリストで最終確認!
- 矢印はすべて「原因 → 結果」の向きになっている?(逆向きになってない?)
- 「矢印でつながっていないマス」は残っていない?
- 「A氏50歳男性」からいきなり症状につながっていないか?(背景・原因を経由しているか)
- 病態だけで、社会面・心理面がスカスカになっていないか?
- 社会面・心理面のマスが「書いただけ」で止まっていないか?(「だからどうなる?」がつながっているか)
- 看護問題(#)の番号は優先順位通りに振られているか?(生命に関わるものが#1)
- 1つの看護問題(#)に向かう矢印が1本だけになっていないか?(複数の原因から矢印が集まっているか)
- 実線と点線は使い分けられているか?(今起きていること=実線、なりゆき・予測=点線)
全部チェックできたら提出OK!お疲れ様でした。少しでもゆっくり休めますように。
文献
- 医療情報科学研究所編:看護がみえる vol.4 看護過程の展開.メディックメディア,東京,2020:188.
図表作成:三宮暁子(Highcolor)
編集:坂本綾子(看護roo! 編集部)
デザイン:伊神理咲
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今日の看護クイズ
本日の問題
◆薬剤の問題◆下剤のヨーデルの由来はなんでしょうか?
- 便がよく出るから
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