臨床輸血看護師になるには?どんな資格?メリットや試験問題を解説

看護師が取りたい資格図鑑の「臨床輸血看護師」資格の解説記事のMV

臨床輸血看護師とは、輸血において専門的な知識やスキルを持つプロフェッショナルで、年々取得者が増えている資格です。

 

この記事では、臨床輸血看護師の役割やメリット、試験について解説します。

 

 

 

臨床輸血看護師とは?

臨床輸血看護師は、安全な輸血を行える専門的な知識とスキルを持つ看護師を育成するため、日本輸血・細胞治療学会が2010年から導入した資格です。

 

さまざまな副作用や合併症のリスクがある輸血治療では、患者さんに最も近い看護師が、医師や臨床検査技師と連携しながら、的確な判断を行うことが求められます。

 

「輸血のスキルをもっと磨きたい
「輸血治療が必要な患者さんに、もっと自信を持って対応できるようになりたい
「輸血治療についてより専門的な立場から後輩指導がしたい

 

などと考えている看護師にはおすすめの資格です。

 

輸血の準備をしている臨床輸血看護師のイラスト

 

臨床輸血看護師の役割

臨床輸血看護師には、安全な輸血の実施や管理患者の状態モニタリングなど、実践の場で高度なスキルを発揮することが期待されます。

 

さらに、輸血マニュアルの作成・改訂や各病棟・部署のラウンドなど、院内の輸血治療の安全性を高める取り組みを行ったり、他病院・他職種とも連携した地域全体での研修・情報共有をしたりといった役割が求められます。

 

中でも輸血治療が行われる頻度の高い、救急部や手術室、血液疾患等の内科病棟、産婦人科、小児科などで、臨床輸血看護師の資格を生かすことができます。

 

臨床輸血看護師の資格取得者は年々増えており、近年では毎年200名を超える合格者が出ています。2023年4月1日現在で臨床輸血看護師の数は約1,600名です。

 

 

臨床輸血看護師を取得するメリット

ここでは、臨床輸血看護師の資格を取得するメリットを詳しく説明します。

 

臨床輸血看護師を取得するメリットを記載した図版

 

1臨床輸血のエキスパートになれる

これまでの実務経験に加えて、専門的な勉強や講習を受けることで、臨床輸血のエキスパートとしてのスキルを高めることができます

 

具体的には、

 

  • 輸血の手技・ケアのポイントやリスクマネジメント
  • 各診療科の輸血療法、危機的出血が生じた場合の対応
  • 血液製剤の取り扱い方や管理方法
  • 輸血に関する倫理

 

などといった輸血に関する専門知識が身につきます。輸血のエキスパートとして現場での実践に役立つほか、院内全体の輸血治療の要として活躍できるでしょう。

 

 

2臨床輸血の知識がアップデートできる

資格取得後は5年ごとの更新が必要であり、更新に向けての学会参加や研究発表の機会が提供されるので、最新の臨床輸血に関する知識を継続的に学ぶことができます

 

他病院や他職種との交流の機会にもなり、自分の知識がアップデートされるのはもちろん、自施設や他施設の輸血看護の質を高めることにつながります

 

 

臨床輸血看護師になるには?

臨床輸血看護師になるには、必要な条件を満たした上で認定試験に合格する必要があります。試験の概要や、合格発表までのスケジュール、受験費用について説明します。

 

 

臨床輸血看護師の受験資格

資格取得のためには以下の条件を全て満たしている必要があります

 

  • 看護師(准看護師は対象外)
  • 看護師として3年以上の臨床経験
  • 輸血治療(在宅輸血を含む)を行っている施設の看護師
  • 看護部長と輸血責任医師の推薦が得られている

 

このほか、関連学会や日本看護協会などの講演会・研修会などに参加していることが「望ましい」とされています。

 

 

臨床輸血看護師の試験の流れ

試験の流れは以下の通りです。

 

臨床輸血看護師になるまでの流れを解説した図版

出典:日本輸血・細胞治療学会「学会認定・臨床輸血看護師について

 

申し込み

臨床輸血看護師試験を申し込む際には、受験申請書などのほかに以下の書類も提出が必要です。

 

  • 業績目録(論文や研究、学会参加など)
  • 所属長(看護部長など)と輸血責任医師からの推薦書

 

それぞれの様式は日本輸血・細胞治療学会の公式サイトから ダウンロードできます。

 

 

講習会・筆記試験

筆記試験の受験には、原則として、試験前日に行われる講習会への参加が必須になります。

 

講習内容は筆記試験の出題範囲にもなっているので、講習会で知識を再確認して試験に臨むことができます。

 

 

合格発表・研修

試験から約1ヵ月後、筆記試験合格者へ指定施設での研修案内が届きます

 

合格者は、協議会が認定した医療機関のうち自分が勤務する以外の施設で、研修に1日参加します。研修施設は、国内各地に116ヵ所あります(2024年3月現在)。

 

研修では講義の受講、輸血療法の見学、症例検討、総合討論が行われます。

 

 

合否審査、認定証発送

学会認定・臨床輸血看護師 制度協議会から認定を受けた合格者には、認定証が発送されます。

 

 

受験費用

初回は、申請料(10,000円)受験料(10,000円)研修料(10,000円)計30,000円です。

 

資格審査で不合格となった場合は、受験料(10,000円)、研修料(10,000円)の計20,000円は返却されます。資格審査合格者が研修や試験を辞退した場合は、返却されません。

 

このほか、合格後の登録料(5,000円)が必要となります。

 

 

臨床輸血看護師試験の試験問題は?勉強方法はどうする?

臨床輸血看護師試験の内容や勉強方法について紹介します。

 

 

試験問題の特徴と合格率

筆記試験は多肢選択式問題40題(80点)記述式問題2題(20点)の計100点満点です。

 

筆記試験の時間は2時間になります。筆記試験の合格率は90%台と高めです。

 

内容としては、学会認定・臨床輸血看護師制度カリキュラムや講習会の内容が中心に出題されます。

 

カリキュラムは、日本輸血・細胞治療学会の公式サイトで公開されています。

 

臨床輸血看護師の基本カリキュラム

出典:日本輸血・細胞治療学会「学会認定・臨床輸血看護師制度 カリキュラム」

 

 

試験対策の参考書・過去問は?

臨床輸血看護師試験には、「看護師のための臨床輸血 第3版」が必読とされています。講習会でも使用されるため、事前に準備しておきましょう。

 

他の参考テキストとしては、

 

  • 輸血療法の実施に関する指針 (厚生労働省血液対策課)
  • 血液製剤の使用指針 (厚生労働省血液対策課)
  • 血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン (日本赤十字社)
  • 輸血用血液製剤取り扱いマニュアル (日本赤十字社)

 

が挙げられます。

 

 

まとめ

患者さんの最も近くにいる看護師が輸血の専門知識・スキルを持つことは、院内の輸血医療の質の向上のほか、患者さんからの信頼感にもつながります。

 

輸血についてもっと深く学びたいといった思いのある方は、ぜひ受験を考えてみてはいかがでしょうか?
 

執筆:看護roo!編集部

 

 

 

 

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