看護師国試の頻出カテゴリー☆ベスト5|第112回看護師国家試験・直前対策

【看護師国試 頻出カテゴリー5(第111回看護師国家試験の出題内容を分類し、ランキング)】1位は社会保障・法律・統計(47問、全体の2割)、2位は疾患・治療の知識(31問)、3位は解剖・生理学の知識(29問)、4位は看護技術(25問)、5位は状態変化への対応(21問)

 

第111回看護師国家試験の問題を、出題内容別に分類してみました。

 

そのうち、出題数が多かったカテゴリー5つを紹介するとともに、それぞれのカテゴリーの出題傾向を解説します!

 

※分類は独自に行っています。また、記事内の正答率は「看護roo! 第111回看護師国家試験ライブ合格判定」の参加者の統計データに基づくものです。

 

編集 看護roo!国試対策プロジェクト

 

1位 社会保障・法律・統計

社会保障や法律、統計に関する問題は、第111回では【47問】と最も多く出題されました

 

毎年、「必修問題」はもちろん、「一般問題」や「状況設定問題」でも、たくさん出題されています。

 

 

1「統計値」の要チェック項目

「必修問題」の1問目は、「統計値」の問題となることが多く、第111回でも午前・午後ともに出題されました。

 

第111回 午前問題【1】

労働力調査による労働力人口の令和元年(2019年)平均に最も近いのはどれか。

1.4,800万人
2.5,800万人
3.6,800万人
4.7,800万人

解答:3(正答率:48%)

 

第111回 午後問題【1】

平成29年(2017年)推計による日本の将来推計人口で令和47年(2065年)の将来推計人口に最も近いのはどれか。

1.6,800万人
2.8,800万人
3.1億800万人
4.1億2,800万人

解答:2(正答率:76%)

 

これら問題のように、必修問題では厚生労働省が示す「出題基準」小項目に挙げられたキーワードをテーマにした問題がほとんどです。

 

ちなみに、これらの問題は過去に出題されたことがなかったため、正答率が低下しました。

 

出題された「統計値」は、第111回では令和元年のデータが中心でしたので、第112回では令和2年(2020年)のデータを中心に覚えておきたいところです(データによって出題される年数が異なります)。

 

そのほか、「世帯構造」の統計は、「必修問題」や「一般問題」で、ほぼ毎年出題されていますので、要チェックです。

 

 

2「老年看護学」の要チェック項目

高齢者に関する社会保障制度や統計はよく出題されますので、チェックしておきましょう。

 

●高齢者関連の統計

●高齢者虐待防止法

●介護保険法

●地域包括ケアシステム

●老人福祉法

●成年後見制度  など

 

第111回では、高齢者の虐待に関する問題が出ました。

 

第111回 午後問題【54】

令和元年度(2019年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者虐待に関する説明で正しいのはどれか。

1.夫による虐待が最も多い。
2.被虐待者の9割が女性である。
3.心理的虐待が全体の6割を占めている。
4.被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。

解答:4(正答率:52%)

 

 

3「母性看護学」の要チェック項目

「出産」や「育児」に関する社会保障制度や統計の問題も、よく出題されます。

 

●母子保健統計

●母子保健法

●母体保護法

●DV防止法  など

 

第111回では、DV防止法に関する問題が出ています。

 

第111回 午後問題【63】

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉について正しいのはどれか。

1.配偶者暴力相談支援センターは被害者の保護命令を出すことができる。
2.配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。
3.配偶者からの暴力を発見したときは、保健所へ通報する。
4.加害者の矯正が法の目的に含まれる。

解答:2(正答率:71%)

 

また、新しい「出題基準」の小項目(キーワード)に挙げられた下記項目なども確認しておきましょう。

 

  • 次世代育成支援対策推進法
  • 成育基本法
  • 子育て世代包括支援センター

 

「母子保健法」が令和元年に改正されたこともポイントです。「市町村は出産後1年を経過しない女子及び乳児につき、産後ケア事業を行うよう努めなければならないこと」と定められたことなども押さえておくと◎。

 

 

4「精神看護学」の要チェック項目

精神疾患を持つ患者さんの社会保障制度や自殺に関する問題も、出題されています。

 

●精神保健福祉法

●精神疾患を持つ患者さんの社会復帰支援施策(障害者総合支援法)

●精神病床の動向

●自殺関連統計  など

 

第111回では、社会復帰支援に関する問題が出ました。

 

第111回 午前問題【67】

Aさん(22歳、統合失調症)は父親、母親、妹との4人暮らし。高校卒業後、アルバイトをしていたが、症状の悪化によって初めて精神科病院に入院した。退院後に一般企業で働きたいと希望している。 看護師がAさんに提案するサービスで適切なのはどれか。

1.行動援護
2.就労移行支援
3.自立生活援助
4.地域定着支援

解答:2(正答率:95%)

 

 

5「看護の統合と実践」の要チェック項目

「看護管理」に関する問題が出題されることがよくあります。

 

●看護師等の人材確保の促進に関する法律

●保健師助産師看護師法

●医療法  など

 

第111回では、看護師等の人材確保の促進に関する法律が出題されました。

 

第111回 午前問題【74】

看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている、離職した看護師の復職の支援に関連する制度はどれか。

1.看護師等免許保持者の届出
2.特定行為に係る研修
3.教育訓練給付金
4.業務従事者届

解答:1(正答率:42%)

 

また、「災害看護」の出題基準には、「災害に関する法と制度」の小項目(キーワード)があります。災害対策基本法、災害救助法などの代表的な法規の規定事項を確認しておきましょう。

 

 

2位 疾患・治療の知識

疾患や治療についての問題は、第111回では【31問】出題されました

 

毎年、「必修問題」や「一般問題」で多く出題されますが、正答率が低くなっています。ポイントを押さえて、得点アップにつなげましょう。

 

 

1「カタカナ所見」は要チェック

第111回では、「疾病の成り立ちと回復の促進」から次の急性胆嚢炎の問題が出題されました。

 

第111回 午前問題【87】

急性胆嚢炎の代表的な3症状を示すCharcot〈シャルコー〉3徴に含まれるのはどれか。2つ選べ。

1.黄疸
2.嘔吐
3.下痢
4.発熱
5.意識障害

解答:1、4(正答率:45%)

 

疾患の問題では、この問題のように「カタカナ所見」を持つ疾患が取り上げられることが多くあります。

 

急性胆嚢炎の確定診断に用いられるCharcot〈シャルコー〉3徴は「腹痛」「発熱」「黄疸」の3つの症状のこと。また、シャルコー3徴に「ショック」「意識障害」を加えた5つの症状をReynolds〈レイノルズ〉5徴と言うことを、一緒に覚えておきましょう。

 

 

2「過去問」からの類似問題も

第111回で出題された次の痛風の問題は、第97回で出題された問題を改変したものでした。このように、過去問の類似問題が出題されることがあります。

 

第111回 午後問題【45】

高尿酸血症で正しいのはどれか。

1.痛風結節は疼痛を伴う。
2.痛風発作は飲酒で誘発される。
3.痛風による関節炎の急性期に尿酸降下薬を投与する。
4.血清尿酸値9.0mg/dL以下を目標にコントロールする。

解答:2(正答率:56%)

 

第97回 午前問題【35】

痛風で正しいのはどれか。

1.中年女性に多い。
2.痛風結節は痛みを伴う。
3.発作は飲酒で誘発される。
4.高カルシウム血症が要因である。

解答:3

 

下記の新生児の出血性疾患の問題も、第103回の追試で出た問題の類似問題でした。

 

第111回 午前問題【58】

新生児の出血性疾患で正しいのはどれか。

1.生後48時間以内には発症しない。
2.母乳栄養児は発症のリスクが高い。
3.予防としてカルシウムを内服する。
4.早期に現われる所見に蕁麻疹がある。

解答:2(正答率:76%)

 

第103回追試 午前問題【66】

新生児出血性疾患で正しいのはどれか。

1.人工栄養児はリスクが高い。
2.生後24時間以内には発症しない。
3.早期発見の所見に心雑音がある。
4.予防としてビタミンKを内服する。

解答:4

 

最近の国家試験は過去問が多く用いられています。しかも、過去3〜5年のものだけでなく、これらの問題のように、かなり以前のものからの出題もあります。


各科目、たくさんの疾患や症状に関連した問題があるため、まずは気になるところから「過去問を解く」➡︎「解説をチェック」という流れで学習していきましょう


ひと通り過去問を解いたら、それぞれの疾患や症状の「アセスメント」「生活指導」「検査・処置」「薬物療法」の問題にも対処できるように、参考書や教科書の疾患解説ページで確認していきましょう

 

 

3新しい「出題基準」の注目キーワード

新しい出題基準では、「疾病の成り立ちと回復の促進」で「全身の感染性疾患」「皮膚機能」が大項目として追加されました。

 

特に、感染症が流行している現在の状況を踏まえ、感染症の小項目(キーワード)にある疾患は確認しておきたいところです。

 

ウイルスによる感染症

●インフルエンザ

●流行性耳下腺炎<ムンプス>

●麻疹

●風疹

●エボラ出血熱

●コロナウイルス感染症

●ヒト免疫不全ウイルス <HIV>感染症

 

細菌による感染症

●結核

●コレラ

●破傷風

梅毒

 

敗血症

 

また、各看護学では、「老年看護学」で疾患が明確に示されたのがポイントです。チェックしておきましょう。

 

高齢者の疾患

●脳血管疾患後遺症

●慢性閉塞性肺疾患

●変形性関節症

●骨折

●感染症

前立腺肥大症

●老人性皮膚掻痒症

●気分障害

●脱水症

白内障

●老年期に特有のその他の疾患や症候  など

 

 

3位 解剖・生理学の知識

解剖・生理学の知識を問う問題は、第111回では【29問】出題されました

 

多くは「必修問題」や「一般問題」で、「人体の構造と機能」からの出題です。

 

例年、神経や内分泌、循環器、消化器などからの出題が多い傾向があります。また、「必修問題」の解剖・生理学分野では過去問と同一問題が多く用いられています

 

第111回の内分泌器官の問題は、第105回でも出題されていました。また、第103回追試の「必修問題」では、この問題の類似問題で「外分泌器官はどれか」が出題されています。

 

第111回 午後問題【12】

内分泌器官はどれか。

1.乳腺
2.涙腺
3.甲状腺
4.唾液腺

解答:3(正答率:98%)

 

第105回 午前問題【11】

内分泌器官はどれか。

1.乳腺
2.涙腺
3.甲状腺
4.唾液腺

解答:3

 

また、次の問題のように、選択肢が一部変わる問題もあります。こちらの問題は、第111回は「必修問題」ですが、第103回では「一般問題」でした。

 

第111回 午後問題【13】

呼吸中枢があるのはどれか。

1.間脳
2.小脳
3.大脳
4.脳幹

解答:4(正答率:85%)

 

第103回 午前問題【26】

呼吸中枢の存在する部位はどれか。

1.大脳
2.小脳
3.延髄
4.脊髄

解答:3

 

 

過去問は、正答率の高い「一般問題」の過去問が「必修問題」に、逆に正答率の低い「必修問題」の過去問が「一般問題」に転用されることがあります

 

「過去問」を学習するポイントは、選択肢の正誤を確認し、その上で正解だけでなく不正解の解説もしっかり読み込んでおくことです。

 

 

4位 看護技術

看護技術についての問題は、第111回では【25問】出題されました

 

「必修問題」と「一般問題」で、ほとんどの問題が「基礎看護学」から出題されています。

 

第111回で出題された次の点眼の問題は、これまでにも類似問題が何度か出題されています。

 

第111回 午後問題【38】

点眼薬の投与について正しいのはどれか。

1.点眼時は上眼瞼を上げる。
2.点眼容器の先端は眼瞼結膜に当てる。
3.点眼後は眼球を圧迫する。
4.眼から溢れた薬液は拭き取る。

解答:4(正答率:96%)

 

第101回 午前問題【43】

点眼指導で適切なのはどれか。

1.油性と水性の薬剤を両方使うときは、油性の薬剤を先に点眼する。
2.容器の先端が睫毛に接したら点眼する。
3.点眼後は、乾燥するまでまばたきをしない。
4.点眼後は、ふき綿で涙囊部を軽く圧迫する。

解答:4

 

看護技術の問題は正答率が高いため、苦手意識を持つ人は少ないと思いますが、逆に落としてしまうと点差につながってしまいます。

 

万全を期すためにも、「出題基準」の小項目(キーワード)に挙げられた看護技術の過去問はひと通り解いておきたいところです。

 

新しい「出題基準」では、「必修問題」に「感染経路別予防策」「必要な防護用具(手袋、マスク、ガウン、ゴーグル)の選択・着脱」が追加されているので要チェックです。

 

 

5位 状態変化への対応

変化する状態にどう対応するかを問う問題は、第111回では【21問】出題されました

 

多くが「状況設定問題」です。

 

第111回では、次の気道熱傷に関する問題などが出題されました。

 

状況設定

午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。

 

第111回 午後問題【115】

この時点の看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.被災状況の報告
2.入院患者の避難誘導
3.傷病者の受け入れ準備
4.入院患者の状態の把握
5.使用中の医療機器の作動状況の確認

解答:4、5(正答率:91%)

 

第111回 午後問題【116】

発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右頰部に2cm×2cm、右上肢に5cm×10cmの紅斑と水疱を認める熱傷burnを負っていた。バイタルサインに異常はないが、熱傷部位の疼痛を訴えていた。
トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。

1.A君の既往歴の聴取
2.A君への鎮痛薬の準備
3.Bさんの気道確保の準備
4.Bさんの熱傷部位の冷却

解答:3(正答率:34%)

 

第111回 午後問題【117】

A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。
看護師の対応として適切なのはどれか。

1.「お母さんがしっかりしましょう」
2.「A君が1人になる時間をつくりましょう」
3.「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」
4.「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」

解答:4(正答率:98%)

 

115、116が「変化する状態への対応」を問う問題です。

 

問題を解くポイントは、

1)患者さんの現状とこれまでの経過

2)時や場所

などの情報を整理し、これから考えられることを絞り込んでいくことです。

 

たとえば、116の問題では

1)火災現場付近から救急搬送されたA君は左肘関節付近の腫脹と疼痛の訴え。A君の母親であるBさんは髪の一部と鼻毛の一部が焦げており、右頬部と右上肢に熱傷あり
2)発災から3時間後

でした。

 

情報がたくさんあって混乱しそうになりますが、Bさんの「髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた」「右頬部の熱傷」の2点が気道熱傷を疑う所見で、重要なポイントです。

 

気道熱傷を疑う所見としては、おもに次のようなものがあります。

 

  1. 1顔面熱傷がある
  2. 2まつ毛、眉毛、毛の焼失や焦げがある
  3. 3口腔内の熱傷,腫脹,嗄声がある
  4. 4煤の口腔内・咽頭への付着

 

熱傷による上気道の狭窄は、受傷直後から数時間以内に生じます。気道熱傷が疑われた際には気道確保を目的とした気管挿管が必要となります。したがって、選択肢3の「Bさんの気道確保の準備」が正解となります。


「状況設定問題」が苦手な場合、問題の解説をよく読んで、なぜこの答えが正解になるのかを理解していくことが学習ポイントになります。解説が充実した参考書で学習しましょう。

 

 

 

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