化粧でオムツが取れた?注目の代替医療『メイクセラピー』講義潜入レポート

代替医療として注目されている「メイクセラピー」を知っていますか?

 

医療における「メイク」というと、エンゼルメイクを思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろんそれも、メイクセラピーのひとつです。

 

でも『メイク』で『セラピー』って具体的にどういうこと?

このメイクセラピーの授業があると聞いて、日本保健医療大学(埼玉県幸手市)にうかがうことに。

授業は熊坂隆行教授(成人看護学)の『成人看護学演習』最後の講義として、60名強の2年生が受講しました。

 

講師はメイクセラピーを用いたサロンを開業している、看護師でフェイシャルプランナーの豊永純子さん。看護roo!ステキナース研究所では、『ナースのお悩み解決メイク塾』コラムを連載中です。

 

さっそく授業に潜入してみましょう。

 

大学でのメイクセラピー講義|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

化粧によるメンタルケア=メイクセラピー

メイクセラピーとは、心理カウンセリングの技法とメイクを組み合わせた化粧療法のこと。化粧によって気分をリラックスさせたり高揚させたりすることで、メンタルケアの効果をねらうものです。

 

たとえばエンゼルメイクも、メイクセラピーのひとつ。ご家族が悲しみを受け入れ、癒すことで『死を受け入れる』ことの一助になります。

そのほか、手術跡や火傷痕など、皮膚変色をカバーする『カバーメイク』というアプローチも、化粧品メーカーなどの企業や医療施設が協力して実践しています。

 

化粧療法についてはさまざまな研究も行われています。1994年の研究では、徳島で介護施設の利用者さんに対してメイクを行ったところ、「化粧をすることでオムツが取れた、笑顔になりコミュニケーションができるようになった」という報告もあるそうです。

 

 

重度の認知症患者さんが笑顔を取り戻す瞬間

豊永さん自身が行っているプロジェクトも紹介されました。

 

「介護施設の利用者さんにメイクを施し、そのご家族に写真をプレゼントするプロジェクトをしたときの写真です。

この方は、重度の認知症患者さんです。いつもは会話もままならず、笑顔も見られません。」

 

という言葉に、教室からはどよめきが起こりました。

映し出されたのは、活き活きした笑顔の写真だったからです。

 

重度の認知症患者さんに化粧を施すと笑顔が戻り、会話もできるように|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

「そうなんです。私たちが伺う日はお化粧をするということだけはわかるらしく、その日は笑顔になってくれる。お化粧するんだ、と思うだけでも表情が変わるんですね。」

 

遺族のメンタルケアの側面も

メイクアップした写真を、後日患者さんが亡くなった際に遺影として使ったという話もよく聞くそうです。

 

「ご家族の方が、『あの顔を遺せてよかった』『元気な頃のことを思い出せる』などと言ってくださっていたという話を施設の方からお聞きしました。メイクセラピーの効果は、ご本人に喜んでもらえるだけでなく、ご家族への癒しにも大きな意味を持っているんですね。」

 

認知症専門棟でのメイクセラピー|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

自分の顔で効果を実感する

メイクは、患者さんだけではなく看護師自身のメンタルにも効果があります。

講義の後半では、学生さん自身がそれぞれメイクを施してみる、という実習を行いました。

 

『どんな看護師になりたいか?』を考えてみてください。

たとえば『頼りがいのある看護師になりたい』と思うなら、そう見える顔になるためにはどうしたらいいかを考えて、自分でメイクをしてみてください。」

 

講師の豊永さんによれば、なりたい看護師像に近づくために、まずは『自分を装う』ことで、メンタルが変わっていくのだそうです。

 

自分の顔にメイクを施すことで気持ちが変わる|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

デモンストレーションで登場したのは、『優しい看護師さんに見られたい』という学生さん。

明るく親しみやすいメイクとして、肌色を明るくするベースメイク・優しい顔をつくる眉の描きかた・チークの入れ方をレクチャー。

半顔だけメイクを施して見せると、見ていた学生からは「たしかに変わってる!」との声が。

 

半顔だけ「優しい看護師」になるべくメイクアップ|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

豊永さんは

「学生さんたちに、メイクの意味がどれだけ伝わったかはわからないけれど、実際にメイク道具に触って、やってみた体験を、例えば臨床でエンゼルメイクをするときに思い出してくれたらいいですね」

といいます。

 

受講した学生さんからは、

「女性としても、看護師としてもとても勉強になりました。」

「メイクにこんな効果があるって知らなかったことが知れて勉強になりました。」

などの感想が聞かれました。

 

【取材協力】

日本保健医療大学

熊坂隆行教授 日本保健医療大学教授(成人看護学)
著書に『アニマルセラピー―動物介在看護の現状と展望』等。

豊永純子さん 看護師・フェイシャルプランナー

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