ポケットにこの本を入れて、さあ在宅の現場にいこう|ヤンデル書房(12)

連載1周年のタイトルイラスト

Twitterでだいかつやくの医師・ヤンデル先生が「本屋の店主」になって看護師のみんなにおすすめの本を紹介します。祝!連載1周年!

 

文:ヤンデル(病理医)

イラストレーション:ネモトマ

 

ヤンデル書房~看護師だけのヒミツの本屋

Vol.12 在宅ケアナースポケットマニュアル

 

こんにちは。秋ですねえ。

本屋で秋の話題というと、「読書の秋」というフレーズが真っ先に思い浮かびます。これって誰が最初に言い出した言葉なのかなと思って、調べてみたんです。

 

そしたら、なんと元ネタは漢詩なんですって。おまけに、その詩を日本に広めたのは夏目漱石だとか……。

 

由緒ある言葉だったんですね。めっきり涼しくなった秋の夜長に、じっくりと長編小説を読むなんて、いかにもすてきです。

 

ところで、本というのは必ずしも、じっくり頭からお尻まで読み切らなければいけないものではありません。困ったときにサッと調べて、部分的に読めば役に立つ、必要な知識を引き抜くことができる、「道具箱」みたいな本もあります。

 

こういう話をしますと、「困ったときにサッと調べる? だったら、スマホで検索すればいいのでは?」と思われたりもしますが、実際の医療現場では、多くの方がスマホに加えて紙の本を活用されています。

 

今日おすすめするこちらも、「スマホじゃダメなんですよ」とお問い合わせいただくタイプの本です。

 

今月の1冊イラスト。おすすめポイントは「スケール、早見表、対応のポイント…現場で引きたい情報をまるっと凝縮」「『これを調べたらこれも知りたい』がまとまっている便利さ」「形もサイズも紙質も『持ち運び』仕様」

『在宅ケア ナースポケットマニュアル』(医学書院)

 

 

とことん「現場に持ち運ぶ」用の本

「訪問看護師さんの声からつくった」と書かれたこの本は、小さくて、ユニフォームのポケットにすっぽり入ります。表紙を触ってみてください、ちょっとした水汚れなら拭いて落とせる加工がしてあって、ページの角も丸くカットされています。

 

とことん、「現場で持ち運べるように」作られた本です

 

中身も見てみましょう。編者サイドの明確な意図が感じられますよ。

 

分類、スコアリング、一覧表、早見表。

 

いずれも「暗記するのが大変で、その都度現場で調べたくなるもの」ばかりです。

 

きりのいいところで100ページを開いてみますと「認知症をもつ人」という項目があります。

この項目に収録されている情報はこんなかんじです。

 

 

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、

簡易精神機能検査(MMSE)、

認知症のある高齢者の日常生活自立度判定基準、

認知症の症状一覧、

症状に応じた対応のポイント、

認知症に用いる薬剤とその副作用、

きわめつけは認知症の人に対する社会的な支援の数々――

 

 

限られたスペースによくこれだけの情報が、と驚いてしまいます。

 

挿絵イラスト。ヒツジが本を読んでいる

 

スマホじゃなくて「本」をポケットに入れたい理由

試しに、この中のひとつをスマホで検索してみてください。

 

たとえば……改訂長谷川式簡易知能評価スケール。

 

どうです?

 

ウェブサイトやPDFがいっぱい出てきましたね。どれでもいいので、開いてみてください。

 

はい、無事、調べたかったものが手に入りました。

 

改訂長谷川式簡易知能評価スケール「だけ」を調べたいときには、ネットが便利です。スマホで十分情報が手に入ります。

 

ただし……。

 

そのサイトのページから、この本に載っているような「認知症に関する薬剤のページ」には、簡単には、たどりつかないでしょ? 薬剤を調べようと思ったら、今度は「認知症 薬剤」で新たに検索しなければいけません。

 

そう、ネットで得られる情報というのは、基本的には「ぶつ切り」なのです

 

項目ごとにどんどん検索する必要がある。

 

「認知症のケアについて調べるときに、看護師がまとめて知りたいいくつものこと」を、都合良くまとめてあるサイトは少ないです。

 

特に「訪問看護師向け」のように、より現場のニーズに即したサイトを探そうと思うと、普通の検索方法ではなかなかたどり着けません

 

このことは、たとえば「訪問看護 認知症」で検索してみるとわかると思います。

 

挿絵イラスト。ベンチで本を読んでいるヒツジの手元

 

 

「この情報も要りますよね?」

何か困ったときに「道具箱」を開く。

 

それがスマホだったら、とりあえず今必要な道具をすばやく手にすることができます。

 

これに対して、本は「この道具も要りますよね?」というように、関連する道具をわかりやすく並べてくれる

 

「オーダーメードの網羅性」があるんです。

インターネットが発達した時代に、なお本が生き残っている意味があるんです。

 

「これがポケットに入っていたらいいのに」という現場の思いに沿って作られた、人気のポケットマニュアルは、現場ナースの強い味方となってくれます。

 

ちなみにこの本は、章の立て方がすばらしくて、ケアの種類ごと、あるいは健康障害の種類ごとに情報を探すことができます。本の弱点である「任意の検索ワードで情報を探すことが難しい」という部分をうまくカバーしています。

 

そういったこだわりの数々を見ていると、本独特の強さみたいなのを感じられて、私はとてもうれしくなるんです。

 

 

ヤンデル書房 店主

病理医ヤンデル(市原真/いちはら・しん

1978年生まれ。2003年北海道大学医学部卒、国立がんセンター中央病院(現国立がん研究センター中央病院)、札幌厚生病院病理診断科。現在、同科主任部長。医学博士。病理専門医。著書に『症状を知り、病気を探る』(照林社)、『いち病理医の「リアル」』(丸善出版)、『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』(大和書房)など。Twitterブログnoteなどで発信中。良い本を人におすすめするのが大好き。

 

在宅ケアナースポケットマニュアル

■編集:ウィル訪問看護ステーション

■発行:医学書院(2019/12/09)

■判型:A6判、264ページ

■定価:本体1,800円+税

■ISBN-13: 978-4260041317

 

編集/烏美紀子(看護roo!編集部)

 

 

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