信じる? 信じない?現地に伝わるアジアの民間療法

「風邪をひいたら首にネギを巻く」「乳歯が抜けたら屋根に投げる」など、日本にもさまざまな民間療法や言い伝えがありますが、同じような「おばあちゃんの知恵袋」は世界各国にたくさんあります。
世界各国で医療支援を行う看護師が目にした、現地に伝わる“ビックリ”な民間療法をご紹介します。(協力:国際医療ボランティア団体ジャパンハート

 

【目次】
産後のお母さんと赤ちゃんを火であぶる カンボジア
悪いモノは、内出血するまでこすって体から出す カンボジア
首に赤い傷をつけると治る? ミャンマー
牛の「アレ」を飲めば健康間違いナシ ラオス
おなかが痛いならナイフと卵と呪文で治る ラオス

 

産後のお母さんと赤ちゃんを火であぶる カンボジア

カンボジア地方ではまだまだ自宅で出産することも多く、そのときは村の産婆が赤ちゃんを取り上げます。
無事に出産を終えたお母さんと赤ちゃんは直後に竹で編んだベッドに寝かされ、なんと、下から火であぶる(!)という習慣があります。


家によって良しとされる期間は違いますが、短ければ1日、長いと1週間のもの間、母子は毎日あぶられ続けるのです……。


これは温めることで、血液の循環が良くなり産後の回復を促進する、という言い伝えから来るそう。乾季は40℃を超えるカンボジア。そのなかで、お母さんどころか赤ちゃんまで、さらにあぶるという習慣。
脱水にならないのか?と心配になりますが、赤ちゃんはみんなすくすく育っています……。

 

また、カンボジアでも都市部では病院で出産するケースが増えつつありますが、出産翌日にはお母さんと赤ちゃんは退院させられてしまいます。


しかも、帰りはなんとバイク! 彼らの日常の足であるバイクの後ろにお母さんがまたがり、土ぼこりの舞う炎天下の中、生まれたての赤ちゃんを抱えて自宅へ向かうのがカンボジアの常識です。

 


この子たちもあぶられて大きくなったに違いない……

 

悪いモノは、内出血するまでこすって体から出す カンボジア

カンボジアには、小さな瓶で背中を吸引する「チョップ・クチョル」と、軟膏を塗ったあとに金属のへらや瓶のふたなどでこする「コ・クチョル」という伝統的な治療法があり、どちらも血行をよくすることでさまざまな病気や症状に効果があるとされています。


老若男女問わずポピュラーな治療法で、体調が悪いカンボジア人はすぐこの治療を受けます。都市部でも地方でも、青十字(病院・歯科を表す)のマークが入ったクリニックなら大抵どこでもこの治療が受けられます。

 

実際に風邪をひいたときに思い切って「コ・クチョル」を受けてみたという日本人スタッフに話を聞いてみると、


「始まってみたらゴリゴリこすられて非常に痛い! 本当に痛い! でも、治療後は体がポカポカして汗も出てきたんです。しかも一晩寝たら本当に治った!!
けど、終わった後は背中が真っ赤で、我ながらどんな虐待を受けたの!?って心配になるほどでした」


とのこと。

 

カンボジアではこの真っ赤な内出血が濃くなっているところを「悪いものが出た」と考えているようです。
伝統的な“こする治療”、あなたも一度受けてみたら病みつきになるかも!?

 

首に赤い傷をつけると治る? ミャンマー

多民族国家のミャンマー。北部のカチン州には、カチン民族だけに伝わる「マッカラァン」と呼ばれる伝統療法があります。
これは、動物の爪や缶詰の蓋などのかたいもので患部をこすることで、熱や毒素を体外に出す、といわれる方法です。


カンボジアと違うのはただこするだけではなく、傷を付けてあえて血を出すこともあるところ。体調によっては、黒い血が出てくると言われています。
ミャンマーでは首に赤い傷のような縦線が何本も入った人を見かけることがありますが、そういった方の多くはカチン民族出身で、マッカラァンの治療を受けているそうです。

 


ミャンマーでも珍しいマッカラァン、受けたことある?

 

牛の「アレ」を飲めば健康間違いナシ ラオス

日本にも、「自分のおしっこ」を飲むと健康になる、という民間療法があるそうです。現代のラオスで飲むと良しとされているのは「牛のおしっこ」です。


ラオスでは交通事故にあった人に牛のおしっこを飲ませると早くよくなると信じられていて、そのため、入院加療中の患者さんには家族や友人が牛のおしっこを飲ませます。


実際に日本人の現地スタッフが交通事故にあったときも、もれなくそれを飲まされた……とのこと。彼らの話によると、意識不明の人にそれを飲ませて、意識が回復した!!という逸話まであります。交通事故と牛のおしっこの関係性はよくわかりません。


どこまで信じるかはあなた次第です……。
 


犬のはさすがに飲みませんよね?

 

おなかが痛いならナイフと卵と呪文で治る ラオス

これは地域の祈祷師によって方法が異なるようですが、多くの場所で実施されている治療法(?)で、現地人にとっては当たり前で、ラオス人なら誰でも経験があるようです。

 

ラオス人は子どもの頃、おなかが痛いと両親に連れられ祈祷師のもとへ向かいます。そしてお腹にナイフを当てられ、呪文を唱え、のちに生卵を乗せられます。
するとアラ不思議、ピタッと痛みが取れた!

 

割ってみたら、卵の中に骨が入っていたという人も。
彼らは今でも、その行いのおかげで腹痛が良くなったと信じているようです。
なぜ、卵とナイフ……。

 


■特定非営利活動法人 ジャパンハート
2004年に代表の吉岡秀人医師が設立した国際医療ボランティア団体。カンボジア、ラオスでの医療支援や医療者育成支援など、さまざまな支援活動を行っている。医療者が参加できる活動には、子どもや貧しい人々のために巡回診療や手術を行う、3日~7日程度の休暇で参加が可能な国際医療短期ボランティアなどがある。


ジャパンハート公式サイト
国際医療短期ボランティア募集

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