【小児ホスピス】日本ではどうなってるの?―重症の子どもと家族のサポート事例

 

日本中で難病を患う小児患者は20万にも上るといわれています。このうち、命にかかわる病気を持つ子供は約2万人。それにもかかわらず、小児のホスピスケアを提供する施設は、日本にはほとんどありません。

 

睡眠時間3.5時間で両親が在宅看護する現実

ホスピスというと、来るべき死にむけていかに終末期を過ごすかに着目されますが、小児の場合は少し違います。小児ホスピスは、自宅で重症の子どもをケアし、365時間24時間体制で緊張を強いられる、家族の一時休息(レスパイト)という意味合いが強いようです。実際に、重症の子どもを自宅で看護する親の負担は大きく、連続した平均睡眠時間は3.5時間というデータもあります。

 

世界最初の子どものホスピスといわれているのは、1982年11月にイギリスで作られたHelen House(ヘレンハウス)です。シスターフランシス・ドミニカが作ったヘレンハウスがきっかけとなり、現在イギリスでは44か所にまで小児ホスピスは増えています。

 

またイギリスの影響を受けて、カナダ、オーストラリア、ドイツ、アメリカなど多くの国でも同様の活動が広がっていきました。

 

残念ながら日本ではこの分野の取り組みはまだまだ遅れています。現在のところ医療機関で小児ホスピスの専門施設を持つのは、大阪市の淀川キリスト教病院1施設のみ。同院は、2012年11月1日、日本で初めてとなる医療型ホスピス・こどもホスピス病院を開設しました。

 

小児ホスピスは積極的に生きるための場所

淀川キリスト教病院の小児ホスピスでは、より積極的に生きるために、患者児の夢をかなえる手助けをすることにも力を入れています。患児の叶えたい夢は、花火や水遊びなど多くの子どもが日常的に行っている楽しみばかり。時には看護師が付き添って、水族館などに外出することもあるといいます。

 

遅れている日本での取り組みですが、国立成育医療研究センターでも、在宅で治療を受ける重症の小児患者をサポートするための“「家」事業”がスタートしました。公的施設では初めての取り組みです。

 

「家」事業は、急性期の治療が終了した、重症の小児患者の短期滞在ケアを提供するもの。家族の負担を少しでも軽くし、小児患者に対しては、家のようにくつろいで欲しいという願いから名づけられたそうです。

 

看護師がつきそい、難病患者児にキャンプ体験

このほかNPOやボランティア団体が中心となって、レスパイトケアや難病の小児患者を支援する動きも少しずつですが、始まっています。

 

北海道滝川市の「そらぷちキッズキャンプ」は、難病と闘う子供達の「外で遊びたい」という願いを叶えるためのプロジェクトです。血液、循環器、免疫不全、肝不全などの病気を持つ子供達が親元を離れて、大自然の中で3泊4日などのキャンプを体験します。

 

キャンプは医師や看護師からなる本部のバックアップと、滝川市立病院との連携の下で、グループごとに看護師が付き添って行われます。参加する子供は往復の交通費以外は無料で、活動費の多くは寄付金でまかなわれています。難病の子供に対して自然体験を提供する活動は、アジアで初めての試みということです。

 

医療の発達で増える小児の重症児

また神奈川県大磯町では、「海の見える森」というNPO団体がレスパイト施設の開設準備を進めています。その名の通り、窓から広い海が見える立地で、老朽化した建物を再利用し、森の中で子供達が昼寝をしたり探検できるような施設になる予定です。

 

医療の発達によって、昔なら助からなかった命が助かるようになってきました。それは喜ばしい事である反面、皮肉にも重度の障害や病気を抱えて生まれてくる子供を増やす結果にもなっています。取り組みが始まったばかりの小児ホスピスケア。家族の負担を軽くして、どんな子供でも安心して産めるような環境が作られるには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

(参照)

そらぷちキッズキャンプ

子供のホスピスプロジェクト

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