最終更新日 2018/02/08

不随意運動

不随意運動とは・・・

不随意運動(ふずいいうんどう、involuntary movement)とは、意志と無関係に起こるさまざまな体の運動の事であり、臨床的には意志による抑制が困難である。代表的なものは、大基底病変による錐体外路障害であり、振戦・バリズム・舞踏運動・ミオクローヌス・ジストニア・アテトーゼ様運動などがある。不随意運動の多くは睡眠時に止まり、不安や精神的緊張・ストレスで悪化する。

【診断】
いつから始まりどのように始まったのかという発症時期と様式を確認し、家族歴既往歴を確認する。次に不随意運動を観察、診察する。
臨床的には、発現部位(体のどの部分に出現するのか)を確認後、律動的か非律動的か、まず観察し、律動的であればリズミカルで早い動きがほとんどで振戦やミオクローヌスのことが多い。非律動的であれば、早い動きであればバリズム、舞踏運動、チック、遅い動きであればジストニア、アテトーゼ様運動を考える。そして、出現時期(安静時、姿勢時、運動時のいつ出現するのか)を確認する。
神経診察では、眼振、眼球運動、筋トーヌス、反射、協調運動、パーキンソニズムのチェックを一緒に行うと鑑別しやすい。

【神経回路の異常との関連】
不随意運動は、錐体外路系の異常で生じる異常運動である。
錐体外路を構成している大脳基底核とその関連領域(大脳皮質など)は回路となっている。回路とは脳の電気信号の流れのことであり、環状であり、元の場所に戻ってくるまでの道筋を表し、ループを形成する (山手線を思い浮かべると良い)。基底核は大脳皮質の各領域から被殻で入力を受け、視床を通して同じ領域に信号を送り返すことをしている。
不随意運動に関連した運動ループ系は大脳皮質では特に、一次運動野、運動前野、補足運動野、体性感覚野が関係している。この回路には運動に関連した運動ループ以外にも前頭前野ループ・辺縁系ループ・眼球運動ループなどが存在し、それぞれが密に関連しているので症状がさまざまになる。
パーキンソン病とジストニアの研究で明らかになってきたが、運動系ループは直接路と間接路に大きく分けられ、直接路は興奮性に、間接路は抑制性に働く。直接路が働く前に一次運動野から直接視床下核にいく経路をハイパー直接路(超直接路)と呼んでいる。これらの回路の興奮・抑制のバランスで運動の大きさや速度がコントロールされることが分かってきており、不随意運動は大脳基底核の抑制不全で生じると考えられている。
これらの統合、制御の仕組みについては議論が今なおあり、未解明な点が多いが、適切な神経回路の修正・制御により不随意運動の軽減、コントロールをめざした臨床応用が、機能的脳神経外科治療としての脳深部刺激療法等である。

執筆: 黒川 暢

宇都宮記念病院 総合検診センター産業医 救命救急センター

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