最終更新日 2023/09/27

EPS

EPSとは・・・

EPS(いーぴーえす、electrophysiology study)とは、電気生理学的検査のことで、電極カテーテルを使用して心臓の電気信号を詳しく調べる検査である。

 

【検査の目的】
EPSでは、心電図検査では検出できない不整脈の機序や、心筋および刺激伝導系の電気的異常の有無を調べることができる。これにより、カテーテルアブレーションやペースメーカなどの治療方針の決定、致死的不整脈の評価、薬物治療の薬効性判定などを行うことができる。

 

なお、EPSの適応となる不整脈は、以下である。
・徐脈性不整脈
頻脈性不整脈
・WPW症候群
・遺伝性不整脈

 

【禁忌】
EPSの禁忌事項は特にないが、血管にカテーテルを挿入して行うため、抗凝固薬、抗血栓薬内服中の患者には注意が必要である。その他、動脈硬化が強く、血管内にカテーテルが挿入できない患者では施行できない。

 

【検査の方法】
電極カテーテルを鼠径部や鎖骨下静脈など(鼠径部からの挿入が多い)から挿入させ、挿入したカテーテルの電極が心臓内壁に接触することで、不整脈を検出し、心臓内の伝導を記録する。

 

検査中は、外からの電流刺激も加わるため、不整脈を起こしていないか、バイタルサインに変化がないかを注意深く観察することが必要である。
また、一般的に、EPS検査は局所麻酔で行うことが多い。そのため、検査中の患者の体動に注意し、患者から何らかの訴えがないかどうかも気をつけておく。

 

なお、現在は、EPSの治療後、そのままカテーテルアブレーション治療へと移行することが多い。

 

【検査後の観察ポイント】
検査後の注意点として、鼠径部から挿入したカテーテルを抜去した後に、血腫、仮性瘤を形成していないかを観察することが重要である。出血の懸念もあるため、数時間は下肢を曲げずに安静にすることが必要である。

 

なお、鎖骨下静脈から挿入した場合は、まれに気胸を合併することがあるため、注意が必要である。

 

 

【引用参考文献】
1)日本循環器学会ほか.2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.2022.

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