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2017年02月17日

風しん【ケア編】|気をつけておきたい季節の疾患【4】

来院された患者さんの疾患を見て季節を感じる…なんて経験ありませんか?
本連載では、その時期・季節特有の疾患について、治療法や必要な検査、注意点などを解説します。また、ナースであれば知っておいてほしいポイントや、その疾患の患者さんについて注意しておくべき点などについても合わせて解説していきます。

→風しん【疾患解説編】はこちら

 

風しん主訴_後頸部リンパ節腫脹_後耳介リンパ節腫脹_赤色斑状皮疹

 

柳瀬安芸
和歌山県立医科大学附属病院 感染管理認定看護師

 

 

〈目次〉

 

1妊婦が感染した場合は胎児に影響を及ぼすことがある

風しんは、合併症として血小板減少性紫斑病急性脳炎などがありますが、基本的には予後良好な疾患です。
しかし、妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児感染を起こし、先天性心疾患や難聴などの先天異常を含む、さまざまな症状を呈する「先天性風しん症候群」が出現することがあります。

 

2飛沫感染対策を徹底する

風しんは、鼻や口腔から排出される分泌物によって飛沫感染します。風しん患者は、その疑いのある患者さんも含め、外来受診時や入院中は、飛沫感染対策を行う必要があります。

具体的には、外来ではほかの患者さんとは別の場所で待っていただき、診察室もほかの患者さんとは別の場所を確保するなどです。
入院時の病室は、原則、個室が必要となります。そのため、隔離病室での生活を強いられる患者さんのストレスなどへの配慮が必要です。また、可能な限り、風しんウイルスに対する免疫を獲得している医療従事者が対応しましょう。

 

ナースの視点

1観察のポイント

特徴的な症状の有無と経過

風しんには、発熱、発疹、リンパ節腫脹などが見られます。特に、耳介後部、後頭部、頸部などに見られるリンパ節腫脹は、触れると痛がります。

風しんの合併症による症状の有無

風しんは、基本的に予後良好な疾患ですが、血小板減少性紫斑病、急性脳炎などの合併症が起こることも考えられます。皮膚の紫斑や鼻血など、血小板減少による出血や頭痛、意識障害、麻痺などの症状には注意しましょう。

先天性風しん症候群

先にも述べましたが、妊娠初期の女性が風しんに罹患した場合、胎児が先天性風しん症候群を発症する可能性があります。

先天性風しん症候群の3大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。難聴は高度難聴が多く、先天性心疾患白内障は妊娠3カ月以内に母体が感染した場合に見られるのに対し、難聴は、その後の妊娠期間に罹患した場合も見られています。

また、先天性風しん症候群は、風しんが流行した年に比例して多く発症しています。風しんの発生動向などにも注意を払っておきましょう。

 

小児・乳幼児の観察ポイント

小児の風しん患者の場合、顔色、口唇の色、手足の温度、機嫌、食欲など、いつもと違うところがないかを注意する必要があります。特に乳幼児の場合は、自分の症状を言葉で表すことが困難である場合が多いため、より注意が必要です。

 

2看護のポイント

風しんに対する特異的な治療法は確立していません。安静、栄養・水分補給などの対症療法が中心となります。よって、看護のポイントも特別なケアではなく、症状による苦痛の緩和を中心に、患者さんの日常生活の援助を行います。

 

発熱時のケア

患者さんに、寒気や悪寒戦慄がある場合は、部屋を温かくし、体を温めます。毛布などの掛け物、電気毛布や湯たんぽなどで保温し、寒気や悪寒戦慄が治まった時は、掛け物を調整し、患者さんの希望に沿ってクーリングを行います。

 

水分補給と栄養補給

必要時は水分補給と栄養補給を行います。

 

清潔ケア

発熱時は発汗することがあるため、清拭や寝衣交換が必要です。また、本人の状態を見ながら、入浴やシャワー浴で清潔を保つようにしましょう。

 

精神的ケア

風しんは、発疹出現後5日目までは人に感染する期間があるため、就業は制限されますし、保育園、幼稚園、学校にも発疹が消失するまで登校はできません
また、入院している場合は、必要時以外は病室内で過ごさなければならないため、隔離による患者さんのストレスにも配慮しましょう。

なお、妊婦が感染した場合は、先天性風しん症候群の可能性を考えて、患者が思いを表出できるように環境を整え、声をかけ、患者さんの話を傾聴することが大切です。

 

3感染対策

風しんは人に感染します。先にも述べましたが、外来でも入院でも、飛沫感染対策を行わなくてはなりません。特に外来では、患者さんが来院されたらできるだけ早く問診を開始し、早期に症状を見極め、風しんの疑いがある場合は、速やかに飛沫感染対策を開始する必要があります。

 

外 来

風しんは、発熱、発疹リンパ節腫脹が主な症状ですが、必ずしも発熱があるわけではありません。患者さん自身はかぜだと思い、外来受診をしたところ、実は風しんだった、という可能性も考えられます。かぜ症状を訴える患者さんが外来受診された場合は、注意が必要です。

情報収集(問診)

風しんが疑われる患者さんへは、症状だけを問診するのではなく、家族や周囲に同じような症状の人はいないか、保育園、幼稚園、学校や会社などで流行している疾患はないかなどを確認します。風しんが疑われる場合は、ワクチン接種歴も確認しましょう。

また、妊婦が感染すると、胎児感染を起こし、先天異常を含むさまざまな症状を呈する先天性風しん症候群が出現することがあるため、女性の場合は妊娠の可能性について確認することも重要です。

隔離と優先診察

外来では、感染症疑い患者さんを早期に発見できるように、待合室の様子にも注意を払っておきます。もし、風しんが疑われる患者さんが来院した場合は、検査や診察を優先して行うようにしましょう。

なお、風しん患者さんには、専用の待合室や診察室が必要となります(疑い例含む)。もし、専用の部屋が準備できない場合は、ほかの患者さんと離れた待合室や診察室に案内するようにします。日ごろから、風しんが疑われた場合に使用する診察室や受診経路を決めておくとよいでしょう。

さらに、患者さん自身や家族にも協力が得られるよう、外来には啓発用のポスター等(図1)を貼付しておくとよいでしょう。

 

図1患者さん向け啓発ポスター

感染疾患_啓発ポスター

 

入 院

風しんの患者さんが入院する場合、外来同様に飛沫感染対策が必要です。病室は原則個室です。個室が準備できない場合は、同室の患者さんとのベッド間隔は2m以上離し、カーテンで仕切るなどの対策を行いましょう。

風しんウイルスの抗体がない職員が病室に入るときは、サージカルマスク(図2)を着用します。サージカルマスクの着用以外は標準予防策(スタンダードプリコーション)を行います。また、面会は必要最小限にとどめるほうがよいでしょうどうしても面会が必要な場合は、面会者にもサージカルマスクを着用してもらいましょう

 

図2サージカルマスク

 

サージカルマスク_スタンダードプリコーション

写真提供:スリーエム ジャパン株式会社

 

4関係各所への連絡

保健所への連絡

「風しん」および「先天性風しん症候群」は、いずれも5類感染症です。また、全数把握疾患でもあり、通常は診断後7日以内に届出を行う必要があります。しかし、風しんは麻しん同様、24時間以内をめどに最寄りの保健所に届ける必要があります。

発生届は医師が記入しますが、速やかに届出が必要な疾患であることは理解しておきましょう。

 

施設内関係部署への連絡

風しんは感染症のため、患者さんは院内を自由に移動することは避けるようにします。しかし、検査などで移動しなければならないときは、飛沫感染対策が実施できるよう、風しん患者さんであることを移動先に連絡しておきましょう。院内での情報共有が重要です。

また、施設内の感染対策部門への連絡も必要です。医療従事者が風しん患者に接触した場合、接触した職員の風しん抗体検査や就業制限が必要な場合があるためです。

風しんは飛沫感染する感染症です。医療従事者が感染し発病した場合、ほかの患者さんに感染する危険性があります。よって、医療従事者は、自分自身の風しんウイルスに対する抗体の有無を知っておくこと、抗体が基準を満たさない場合は、ワクチン不適当者以外はワクチン接種を行い、抗体を獲得しておくことが重要です。

 


[参考文献]


[監 修]
辻本登志英
日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部長 救急部副部長

芝田里花
日本赤十字社和歌山医療センター 看護副部長


[Design]
高瀬羽衣子

[Illustration]
田口和代


著作権について

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