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2017年01月09日

発熱時のルーチンなクーリングは必要?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

今回は「発熱時のクーリング」に関するQ&Aです。

久保健太郎
大阪市立総合医療センター看護部
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

発熱時のルーチンなクーリングは必要?

現在は推奨されていません。特にシバリングを起こしているときにはクーリングは禁忌です。

〈目次〉

 

クーリングを正しく理解している?

発熱時のクーリングは看護師が最も頻繁に行う看護ケアの1つですが、その適応に関して正しく理解されないまま慣習的に行われていることが多いようです(1)。発熱しているからとりあえずクーリングしておこうという人は多いかもしれません。

そもそもクーリングは何のために行うのでしょうか。

不快感の軽減のためでしょうか。解熱のためでしょうか。一般病棟でよく行われている氷枕などによる頭部のクーリングには解熱効果はなく(2)、表在性に大きな動脈がある部位を複数箇所冷やす3点クーリングや5点クーリングなどもその効果は不明瞭です(3)。

また、たとえクーリングに解熱効果があったとしても、感染症などの体温調節中枢の設定温度(セットポイント)が上昇する病態ではシバリングを惹起して病態を悪化してしまう(4)という意見もあります。

解熱のためのルーチンなクーリングは考えなおしたほうがよさそうです。

 

クーリングの適応とは?

クーリングの適応を理解するには、まずは高体温について理解しなければいけません。

高体温は、発症メカニズムの違いによって「発熱」と「うつ熱」に分けられます。

体温は通常、視床下部の体温調節中枢によって一定の温度にコントロールされていますが、さまざまな要因(感染症や手術など)によって設定温度(セットポイント)が上昇することで起こる高体温が発熱です。

うつ熱は熱中症に代表されるように、外部環境の異常によって起こる高体温で、セットポイントは上昇しません。うつ熱の場合はクーリングのよい適応となります。

しかし、前述したように発熱の場合はシバリングを惹起して病態を悪化させてしまう可能性があります。

なぜ発熱でのみシバリングを惹起してしまうのでしょうか。

発熱時に起こるシバリングは、セットポイントが上がることで相対的に低体温の状態となり、骨格筋を収縮させる(震える)ことで効率よく体温を上げるための現象です。シバリングによる弊害(表1)を避けるためにも、シバリング時は体温をなるべく早く上げてセットポイントに到達させることが肝要です。

つまり、やるべきことはクーリングではなく保温です。

表1シバリングの弊害(7)

  • 酸素消費量を2倍に増加
  • 眼圧や脳圧の上昇
  • 創痛の増加
  • 不快感

シバリング中にクーリングをすることは言語道断ですが、シバリングをしていなくてもセットポイントが上がったままの状態でクーリングを開始した場合、一時的に体温が下がって再度シバリングを惹起する可能性があります。解熱薬を使用したり病態が改善することでセットポイントが下がり、解熱期に入ります。

解熱期になると身体表面が熱くなり発汗が見られますが、このときにクーリングを併用すると効果的な場合があります。

 

深い沈静下でのクーリングは有効

敗血症の患者に対してクーリングの効果を検討した論文があります(5)。それによると積極的にクーリングをした群はクーリング開始2時間後の体温が有意に低下し、短期死亡率も低下させたと報告されています。ただし、この研究は鎮静下の人工呼吸患者を対象としており、深い鎮静下ではシバリングが抑制されるため効果的に解熱効果が得られるようです。

また、具体的なクーリング方法は記されていませんが、解熱目的のクーリング方法には冷却ブランケットや蒸散冷却法(ぬるま湯タオルで体を拭き気化熱を利用して体温を低下させる方法)、冷却輸液などもあり、それらが行われた可能性もあります。

いずれにせよ敗血症では解熱薬の投与が死亡率を悪化させる可能性がある(6)ことを考えると、クーリングによる解熱は比較的安全で効果的であるといえます。

 

3点クーリングをよく行いますが、 本当に効果がないのでしょうか。

 

効果があると報告している文献もあるし、効果が ないと報告している文献もあります。つまり明確な根拠はないということです。
シバリングを惹起したり、それに伴う病態の悪化 などの弊害を考えると、高熱だからといって安易 に3点クーリングすることは控えるべきです。

 


[文献]


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

著作権について

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