ウィーニングし、抜管するときの基準、注意点は?|人工呼吸ケア

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「ウィーニングからの抜管」に関するQ&Aです。

 

奥田晃久
東京慈恵会医科大学附属病院臨床工学部

 

ウィーニングし、抜管するときの基準、注意点は?

 

抜管の基準は、①咳嗽が十分に強い、②分泌物が多量でない、③舌根の沈下がないこと、です。ただし、抜管前に再挿管リスクがないことを完全に予測することは不可能であるため、再挿管に対する準備は必要です。

 

〈目次〉

 

抜管失敗の定義

抜管失敗の定義は「抜管後24~72時間までに再挿管を必要とする患者」である。

 

抜管失敗は全抜管患者の2~25%に発生し、抜管失敗による再挿管は肺炎合併率や死亡率の上昇と関連する(1)

 

抜管の基準

抜管の基準は、①嗽が十分に強い、②分泌物が多量でない、③舌根の沈下がないことである。

 

自分で気道開通を確保するためには、分泌物を排出する反射と筋力が必要である。咳反射の強さはWCT(white card test/ホワイトカードテスト)やCPF(cogh peake xpiratory flow/コフピークエクスピラトリーフロー)を用いて評価する(表1)。

 

表1咳反射の評価

 

white card test(WCT) 気管チューブ末端から1~2cm離れたところに白いカードを置き、患者に咳をさせ、分泌物が付着するかを観察する(分泌物の量と咳の強さを評価)
cough peak expiratory flow(CPF) 電子フローメータにて咳時の呼気ピークフロー値を計測する。カットオフ値は60L/分

 

分泌物の量は、吸痰間隔が2時間以上であることが望ましい。

 

意識レベルの低下(GCS<8、従名不十分)による舌根沈下は再挿管の危険因子である。意識が清明でない場合、嚥下や反射機能が低下し気道閉塞や誤嚥のリスクが高まる。気道や痰の問題が解決されていれば、応答可能な意識レベルでなくても抜管が可能であるという報告もある(3)

 

再挿管への準備

抜管後咽頭浮腫は、抜管早期(30分以内)に出現し、場合により再挿管を必要とする。

 

抜管後咽頭浮腫のリスクのある症例では、カフリークテストを行う(表2)。カフリークがない場合は、抜管24時間前からのステロイド投与を検討する。抜管後咽頭浮腫のリスクの高い症例では、チューブエクスチェンジャを留置して抜管する。

 

表2カフリークの評価

 

質的評価 カフをしぼませて、リーク音(声漏れ)が聴こえるか評価する。必要であれば頸部聴診を行う
量的評価 呼吸器をつけた状態で、カフをしぼませて、吸気一回換気量と呼気一回換気量の差(リーク量)を調べる
*リーク量が110mL以下もしくは吸気一回換気量の12~24%未満は、咽頭浮腫のリスクが高い可能性がある

竹内広幸,讃井將満:抜管総論.インテンシヴィスト2012;4:677-686.より引用

 

十分に覚醒が確認できていない浅い鎮静状態での抜管は、咽頭けいれん発生のリスクが高い。

 

抜管前に再挿管リスクがないことを完全に予測することは不可能であるため、再挿管に対する準備は必ず必要である。

 

略語

 

 


 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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