1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. 根拠から学ぶ基礎看護技術>
  4. 膀胱留置カテーテル中の蓄尿バッグは、 膀胱より高く上げてはいけないのはなぜ?

2016年09月06日

膀胱留置カテーテル中の蓄尿バッグは、 膀胱より高く上げてはいけないのはなぜ?

看護技術Q&A

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は膀胱留置カテーテルに関するQ&Aです。

膀胱留置カテーテル中の蓄尿バッグは、膀胱より高く上げてはいけないのはなぜ?

導尿がスムーズに行なわれ、逆流を防ぐためです。

 

〈目次〉

 

膀胱留置カテーテルによる持続導尿のしくみは

膀胱留置カテーテルによる持続導尿は、膀胱内の尿が重力によって自然に蓄尿バッグ内に流出するようになっています。蓄尿バッグには逆流防止弁がついていますが、蓄尿バッグを膀胱より高く上げると、カテーテル内の尿は膀胱内に逆流します。その結果、膀胱内に尿がうっ滞した状態となり、スムーズな導尿が不可能となります。蓄尿バックは膀胱より高く上げてはならず、必ず下垂し、床の上に倒して置かないようにしなければなりません(図1)。

図1蓄尿バッグの固定

蓄尿バッグの固定

 

これは蓄尿バッグの逆流防止弁の汚染を防ぎ、尿路感染の発生を防ぐためです。

同様に排尿チューブの長さの調整も大切です。チューブが長すぎてたるむと尿流が停滞し、逆行性感染を生じやすくなります。また、チューブの先端が尿中に浸かったり、蓄尿バッグからはずれて、不潔にならないように、固定も十分に行ないます。

 

膀胱留置カテーテル使用時の注意点

ほかに膀胱留置カテーテル使用時、尿路感染を防ぐうえで必要なこととして、次のようなことがあげられます。

尿道の消毒:カテーテルの挿入された尿道口は毎日イソジンなどで消毒し、ガーゼでおおっておく。

②カテーテルと蓄尿バッグの接続部は必要不可欠な場合以外は外さない。

③カテーテルをできるだけ早期に抜去する。

以上の感染防止処置に加え、尿検査(赤血球、白血球、細菌、その他の沈渣)を行ない、尿路感染が明らかな場合は、細菌培養薬剤感受性検査を行ない、最も適切な抗生剤を投与します。また、感染予防のため抗生剤投与をあらかじめ行なう場合もあります。

一般的に基礎疾患のない単純性感染は8割が大腸菌によりますが、膀胱留置カテーテル使用時は複雑性感染も起こりやすくなります。起因菌の多くは、緑膿菌、セラチアなどの弱毒菌やエンテロコッカス・フェカリス菌(E.faecalis)で、菌交代も起こりやすく、薬物選択が難しい場合も多くあります。

 

膀胱留置カテーテルを挿入する必要性について

膀胱留置カテーテルを挿入する目的は、尿閉などの排尿困難の場合、尿量を正確に把握する必要がある場合などがあります。時間尿を正確に把握する必要がある場合は、微量計を使用することもあります。

尿路感染のリスクが高くなるため、膀胱留置カテーテルを挿入する必要性を明確にし、必要最小限の期間にしましょう。

 

膀胱留置カテーテル挿入時・挿入中の患者の看護

  1. カテーテルを挿入したら、尿の流出を確認してから滅菌蒸留水を注入し固定します。尿の流出を確認する前に固定水を注入すると尿道を損傷する危険があります。また、固定水として生理食塩液を使用すると、固定バルン内で結晶化して固定水の注入口を閉鎖し、固定水を排出できなくなります。
  2. 挿入したカテーテルが抜けないことを確認し、カテーテルを固定し(図2)、蓄尿バッグと接続します。
    ・女性の場合、カテーテルによる物理的刺激を最小にするために足側に固定します。
    ・男性の場合は、陰茎を頭側に引き上げるようにし、ゆとりをもたせて固定する。カテーテルを足側に固定すると、尿道の屈曲が生じて組織の壊死や潰瘍を形成する場合があります。

図2カテーテルの固定

カテーテルの固定

 

  1. 留置中は、尿と流出状態、尿量、比重、尿の色・性状(混濁および浮遊物の有無など)をみて、尿路感染の有無などを観察します。
  2. 尿路感染を防ぐために、陰部洗浄を行うなどして陰部を清潔に保ちます。陰部洗浄時は、毎日カテーテルに付着した分泌物も落とすようにします。
  3. 水分を十分に補給し、尿量を保つようにします。しかし、疾患によっては、水分制限がある場合があるため注意しましょう。

 

⇒〔看護技術Q&A一覧〕を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』編著 江口正信/2015年3月刊行

根拠から学ぶ基礎看護技術

引用・参考文献 / 著作権について

この連載

  • 便意があっても我慢すると便意が止まってしまう場合があるのはなぜ? [09/13up]

    『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。 今回は便秘に関するQ&Aです。 便意があっても我慢すると便意が止まってしまう場合があるのはなぜ? 便意抑制により、外肛門括約筋が緊張して排便反射が抑制されるためです。... [ 記事を読む ]

  • 便意をもよおすのはなぜ? [09/10up]

    『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。 今回は便意に関するQ&Aです。 便意をもよおすのはなぜ? 直腸内容物である糞便の貯留により、直腸内圧亢進による刺激が便意を感じさせるためです。   〈... [ 記事を読む ]

  • 膀胱留置カテーテル中の蓄尿バッグは、 膀胱より高く上げてはいけないのはなぜ? [09/06up]

    『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。 今回は膀胱留置カテーテルに関するQ&Aです。 膀胱留置カテーテル中の蓄尿バッグは、膀胱より高く上げてはいけないのはなぜ? 導尿がスムーズに行なわれ、逆流を防ぐためです...

  • 導尿を行うとき、無菌操作なのはなぜ? [09/03up]

    『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。 今回は導尿に関するQ&Aです。 導尿を行うとき、無菌操作なのはなぜ? 導尿時には尿路感染を引き起こす可能性が高いためです。   〈目次〉 ... [ 記事を読む ]

  • 女性の導尿時、カテーテルの挿入の長さが4~6cmなのはなぜ? [08/30up]

    『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。 今回は女性の導尿に関するQ&Aです。 女性の導尿時、カテーテルの挿入の長さが4~6cmなのはなぜ? 女性の尿道は短く、これ以上長いと膀胱壁を傷つける恐れがあるためです... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

いちおし記事

「ぼくねぇ、もうすぐ死ぬんだ…」にどう答える?

マンガ『おうちで死にたい~訪問看護の現場から~』の続編です。 [ 記事を読む ]

褥瘡の悪化を防ぐのに最適なポジショニングは?

褥瘡発生原因のアセスメントから「動きの過程」と「座位の保持」を評価した上でどのようなポジショニングがベストかを解説します。 [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

上司に怒りを感じるのはどんなとき?

投票数:
1484
実施期間:
2017年10月31日 2017年11月21日

なかなか寝られないとき、どうしてる?

投票数:
603
実施期間:
2017年11月03日 2017年11月24日

看護師国家試験、苦手科目は?

投票数:
765
実施期間:
2017年11月07日 2017年11月28日

一番好きな医療ドラマはどれ?

投票数:
525
実施期間:
2017年11月10日 2017年12月01日

J-アラート作動(弾道ミサイル発射)!どうする?

投票数:
387
実施期間:
2017年11月14日 2017年12月05日

「こんなドクターいたらいいな…」一緒に働いてみたい俳優は?

投票数:
194
実施期間:
2017年11月17日 2017年12月08日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者274

78歳女性、持続する発熱と下腹部から臀部回りの痛みを訴え、老健施設より救急搬送にて来院しました。肋骨脊柱角叩打痛もあり、尿路感染症の診断で入院となりました。尿の培養は104CFU/mLであり、検鏡にてブドウ球菌様のGPCが認められ、3日後にブドウ球菌と確定しました。当初から抗菌薬としてVCMが開始とされていました。1週間以上抗菌薬を投与してもなかなか発熱も痛みも治まらず、腹部CTを撮影したところ、腸腰筋膿瘍であることが判明し、血液培養からはMRSAが検出され、臓器移行性も考えて抗菌薬をLZDに変更されました。解熱と炎症所見の改善がありましたが、投与2週間目に白血球と血小板が減少、また貧血傾向になりました。次のうち最も考えられることと行うべきことはどれでしょうか?

  • 1.白血球や血小板減少は、抗菌薬による骨髄抑制が原因と考えられるため、再度、VCMに変更するなど、他剤へ変更することを検討する。
  • 2.貧血傾向は、抗菌薬投与による腎機能障害から来る、腎性貧血であるため、医師と相談し、腎性貧血の治療を実施してもらう。
  • 3.LZDは臓器移行性が最も良いため、白血球減少や血小板減少、貧血に対し治療を行いながら使い続ける。
  • 4.解熱と炎症所見も改善していることから、抗菌薬を中止とし経過を見る。
今日のクイズに挑戦!