2015年11月16日

尿道膀胱造影|腎・泌尿器系の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、尿道膀胱造影について解説します。

〈目次〉

尿道膀胱造影とはどんな検査か

1)尿道造影

尿道造影は、主に男性に行われ、外尿道口から造影剤を注入し、X線透視下で尿道の変形、欠損、憩室、尿瘻などの有無や形態を観察する。

 

2)膀胱造影

膀胱造影は、外尿道口からカテーテルを挿入し、造影剤を注入する。膀胱に充満させ、X線透視下で膀胱の変形、欠損像などの膀胱の形態を観察する。

 

3)排尿性膀胱尿道造影

排尿性膀胱尿道造影は、外尿道口からカテーテルを挿入し、造影剤を注入する。膀胱が造影剤で満たされた状態で排尿し、この状態をX線撮影する。膀胱尿管逆流症が疑われる場合に行う。

 

4)鎖尿道膀胱造影

鎖尿道膀胱造影は、女性に行われることが多く、外尿道口から膀胱底部に専用のチェーンを挿入し、同時に造影剤を注入する。X線透視下で安静時、怒責時、排尿時の後部尿道と膀胱底部の位置や角度、骨盤底筋の状態を観察する。

※いずれも潤滑剤を使用するが、代用として、表面麻酔薬(リドカイン塩酸塩ゼリー)を使用することもある。

 

尿道膀胱造影の目的

1)尿道造影

尿道造影は、尿道狭窄、尿道閉塞、前立腺疾患、尿道憩室、外傷、腫瘍を診断または診断の指標とする。

 

2)膀胱造影

膀胱造影は、膀胱容量、膀胱憩室、膀胱の瘻孔形成などの膀胱病変、外傷、腫瘍を診断または診断の指標とする。

 

3)排尿性膀胱尿道造影

排尿性膀胱尿道造影は、膀胱尿管逆流(VUR)の有無と排尿時の膀胱頸部の開大を観察し、尿道括約筋についての情報も得ることができる。膀胱尿管逆流症、神経因性膀胱、膀胱頸部硬化症、尿道弁などを診ることができる。

 

4)鎖尿道膀胱造影

鎖尿道膀胱造影は、膀胱下垂や膀胱脱が疑われる場合や腹圧性尿失禁の診断に用いられ、腹圧加重の前後で撮影を行い、膀胱と尿道の角度や位置的関係を知る。

 

尿道膀胱造影の実際

1)~4)いずれの検査も医師から患者・家族へ検査の必要性、方法、合併症の可能性について説明し同意を得る。

患者の準備

排尿後、貴重品を除去し、検査着に着替える。

 

検査の準備

  1. 必要物品を広げた滅菌処置用シーツの上に準備する。
  2. 滅菌カップに造影剤を準備する。
  3. 検査台に処置用シーツを敷く。
  4. 患者を検査台に移動し、下半身の脱衣後、仰臥位になり、露出部をバスタオルなどで覆い、体位を砕石位とする。
  5. 股関節の開脚の角度を患者に苦痛がないような調節と保温に努める。

 

1)尿道造影

  1. 患者の体位を尿道と大腿骨と重ならないように、股関節を外転させる。
  2. 単純撮影(KUB)を行う。
  3. 外尿道口の消毒を行い、医師が注射器(カテーテルチップ)に入れた造影剤を40mL程度、注入した直後に撮影を行う。
  4. 体位を変えて撮影することもあるため、その際には患者の介助を行う。
  5. 撮影が終了したら外陰部を清拭し、患者を検査台から降ろし更衣する。
  6. 感染予防のため抗生物質が処方されることがある。また、同様の目的で飲水指導(1,500~2,000mL)をする。

 

2)膀胱造影

  1. 尿道造影①②参照
  2. 造影剤100mL+注射用蒸留水200mLを混和したものを準備しておく。
  3. 外尿道口を消毒し、医師はカテーテルの先端に潤滑剤を充填し、挿入する。
  4. 注射器(カテーテルチップ)に入れた造影剤を、注入した直後に撮影を行う。
  5. 尿道造影④~⑥参照

 

3)排尿性膀胱尿道造影

  1. 尿道造影①②参照
  2. 尿道口の消毒を行い、膀胱留置カテーテルを挿入する。
  3. 生理食塩液200mLに造影剤100mLを混注し、膀胱洗浄セットと膀胱留置カテーテルに接続する。
  4. 男性の場合、滅菌カップに上記の造影剤を準備し、注射器(カテーテルチップ)で直接尿道口から造影することもある。
  5. 膀胱を充満させ、X線撮影を行う。
  6. 尿道造影④~⑥参照

 

4)鎖尿道膀胱造影

  1. 尿道造影①②参照
  2. チェーン用カテーテルのトレイに注射器・2%キシロカインゼリー・ゴム栓・三方活栓を清潔に準備する。
  3. 滅菌カップに造影剤(60%ウログラフィンなど)と生理食塩液を医師の指示により混和する。
  4. 尿道口の消毒を行い、チェーン用カテーテル(図1)を挿入し、その先端に三方活栓をつける。
  5. 注射器で膀胱が充満するまで造影剤を注入し、X線撮影する。
  6. 検査台を直立させ、腹圧をかけたとき、側位で撮影をする。
  7. 排尿時の撮影を行う。尿器又は滅菌カップに排尿し、撮影する。排尿できないときは行わない。
  8. チェーン用カテーテルを抜去する。
  9. 尿道造影④~⑥参照

図1チェーンシストセット

チェーンシストセット

 

尿道膀胱造影前後の看護の手順

尿道膀胱造影に関する患者への説明

表1膀胱尿道造影検査説明用紙(例)

膀胱尿道造影検査説明用紙(例)

 

1)尿道造影

  • 尿道狭窄の有無や前立腺の大きさを診る検査である。
  • 尿道にカテーテルを入れ、造影剤を注入し、X線撮影する。

 

2)膀胱造影

  • 膀胱の容量や形態などの膀胱の病変、外傷を診断または診断の指標とする。
  • 尿道からカテーテルを挿入し、膀胱に造影剤を注入し、X 線撮影する。

 

3)排尿性膀胱尿道造影

  • 膀胱尿道逆流の有無や下部尿路の異常を調べる検査である。
  • 尿道にカテーテルを挿入し、造影剤を注入し、X 線撮影する。

 

4)鎖尿道膀胱造影

  • 膀胱と尿道の形態、位置関係を診る検査である。
  • 尿道に細い鎖がついたカテーテルを挿入し、造影剤を注入し、X 線撮影する。

 

※共通説明事項

  • 感染予防のため抗生物質が処方された場合、必ず服用する。また、同様の目的で水分を1,500~2,000mLと多めに摂り、排尿を促す。
  • 検査所要時間は、10~20分。
  • 検査前の飲食制限は不要。

 

尿道膀胱造影に準備するもの

1)尿道造影

  • 造影剤(非イオン系:60%ウログラフィンなど)100mLまたは20mL数本・滅菌カップ・注射器(カテーテルチップ)・膿盆・処置用シーツ・膀胱留置カテーテル(サイズは医師に確認する)またはネラトンカテーテル・消毒液(0.05%塩化ベンザルコニウム液または10%ポビドンヨード)・綿球・鑷子・処置用手袋・露出部を覆うバスタオルまたは布片
  • 生理食塩液20mL数本(造影剤と混和する。使用量は医師の指示による)。

 

  • 男性の場合:表面麻酔薬(リドカイン塩酸塩ゼリー)を尿道より10~20mL注入し、10分間ペニスクンメで尿道口を止める。
  • 女性の場合:潤滑剤
  • 膀胱留置カテーテルを使用するときは、10mL蒸留水を注射器に準備しておく。

 

2)膀胱造影

  • 尿道造影と同様。

 

3)排尿性膀胱尿道造影

  • 造影剤(非イオン系:60%ウログラフィンなど)100mLまたは20mL数本・滅菌カップ・注射器(カテーテルチップ)・膿盆・処置用シーツ・膀胱留置カテーテル(サイズは医師に確認する)またはネラトンカテーテル・消毒液(0.05%塩化ベンザルコニウム液または10%ポビドンヨード)・綿球・鑷子・処置用手袋・露出部を覆うバスタオルまたは布片
  • 生理食塩液250mL(造影剤と混和する)。
  • 膀胱洗浄用の還流液(生500mL)、輸液ルート、輸液スタンド膀胱洗浄セット、排尿用カップ。

 

4)鎖尿道膀胱造影

  • 造影剤(非イオン系:60%ウログラフィンなど)100mLまたは20mL数本・滅菌カップ・注射器(カテーテルチップ)・膿盆・処置用シーツ・膀胱留置カテーテル(サイズは医師に確認する)またはネラトンカテーテル・消毒液(0.05%塩化ベンザルコニウム液または10%ポビドンヨード)・綿球・鑷子・処置用手袋・露出部を覆うバスタオルまたは布片
  • 生理食塩液20mL数本 (造影剤と混和する。使用量は医師の指示による)、三方活栓(必要時、延長チューブ)、チェーン用カテーテル、排尿用カップ。

 

尿道膀胱造影後の管理

  • 検査後の安静、飲食制限はない。
  • バイタルサインの測定、発熱、尿道からの出血、尿道痛、排尿痛、尿の性状を観察する。
  • 感染予防のため飲水(1,500~2,000mL)指導を行い、排尿を促す。同様の目的で抗生物質が処方された場合は服薬指導を行う。

 

尿道膀胱造影において注意すべきこと

表2尿道膀胱造影における合併症

尿道膀胱造影における合併症

 

1)検査前

  • アレルギーの体質、また既往症(喘息など)はないか、以前の造影剤の使用歴、その副作用の有無を確認する。

 

2)検査中

  • 造影剤の副作用に注意し観察する。
  • いずれの場合も羞恥心を伴うものであるため、十分配慮した関わりをもつ。
  • 露出部位は最小限とし、保温に努める。

 

3)検査後

  • 検査終了後、出血がある場合はガーゼをあてておく。その後は汚染されたときは尿取りパットなどを使用する。
    ※ 滅菌されたものでなくても汚染されたら、すぐパットを交換することで清潔は保持できる。
  • 飲水および内服の必要性について説明し、確実に実施できるようにする。

 

尿道膀胱造影現場での患者との問答例

検査着に着替え、下半身の衣服は脱いでください。

痛くないですか?

カテーテルという管を尿道から挿入するため、多少痛みがあります。力を入れると痛みが強くなるので口で呼吸をしてお腹に力を入れないようにリラックスしてください。また体を動かさないようにしてください。膀胱内にお水を入れるため、お小水をしたいような感じになりますが心配いりません。

検査の後は副作用とかはありませんか?

排尿の時の痛みがあることもありますが、2~3日でよくなります。尿道の痛みや熱などが続くようでしたら病院へ連絡してください。

 

略語

  • UG:Urethrography(尿道造影)
  • CG:Cystography(膀胱造影)
  • VCUG:Voiding cystourethrography(排尿性膀胱尿道造影)
  • Chain-CUG:chain-cystourethrography(鎖尿道膀胱造影)

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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