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2019年09月06日

訪問看護に興味はある…でも「見学させてください」は迷惑?|病院ナースの訪問看護(3)

訪問看護ステーションの事務所の写真

訪問看護ステーションを見学してみたいけれど…?

 

今は病院勤務だけど、訪問看護の現場は一度ちゃんと見てみたい。

…でも、具体的には何をどうしたらいいの?

 

そんなふうに思う若手ナースも多いかもしれません。

 

実は、近ごろは見学を積極的に受け入れる訪問看護ステーションが増え、以前よりも気軽に見学・同行訪問を申し込めるようになってきているんです。

 

今回は、個人で訪問看護ステーションに見学に行った病院看護師の体験談です。

 

 

見学や同行訪問、「冷やかしになったら申し訳ない」?

横地さんの写真

「学生のときから在宅に興味がありました」という横地さん

 

横地哲史さんは看護師7年目。

聖路加国際病院の救命救急センターに勤務しています。

                    

以前、日勤後の時間や休日を利用して、ケアプロ訪問看護ステーション東京で見学・同行訪問を経験させてもらったそう。

 

「きっかけは、同じく訪看に興味のあった同期が見学を申し込んでいて、『一緒にどう?』と声をかけてくれたから。実は、自分では申し込んでないんです(笑)」

 

ケアプロ訪問看護ステーションの写真。入口に自転車が並んでいる

 

最初に見学に行った日は、日勤後の短い時間だったこともあって、ステーションの理念や具体的な一日の働き方など、軽く話を聞く程度。

 

そのうえで「よかったら今度、訪問にも同行してみませんか?」と誘われた横地さんは、もちろん行きたいです!…と言いかけて、その言葉を飲み込んでしまいました。

 

「ここに就職するかどうか、そもそも、すぐに訪問看護師になるかどうかもわからないのに、冷やかしみたいで申し訳ない…」

 

あらためて後日、そのままの気持ちを伝えてみると、

 

「『軽い気持ちで来てくれたらいいよー』と言ってもらえて。それで、やっと『お願いします!』と」

 

 

学生のときには見えなかった「すごさ」

同行訪問で感じたことを話す横地さんの写真

「看護学生のときとは違う視点で在宅を見ることができた」

 

実際に訪問看護の現場を見てみて、横地さんは、何を思ったんでしょうか?

 

「…すごいなって。すごいなって思いました。

 

4~5件の訪問に同行させてもらったんですが、ALSで医療依存度の高い人でも、自宅で楽しそうに生活しているんですよね。

 

本当に『日常』の、『生活』を。

 

でも、この日常にまで整えるのに(訪問看護師や在宅スタッフは)どうやったんだろう。何が必要で、それをチームでどう共有しているんだろう――

 

学生時代の在宅実習では見えなかったことがたくさん見えて、聞けて、学べて。…すごいなって思いました!」

 

 

取れる情報の深さと濃さ 救急でのケアが変わった

利用者さんをケアする訪問看護師の手元の写真

在宅を知ることで、病院でのケアが変わることも(写真と本文は直接関係ありません)

 

訪問看護の現場を目の当たりにしたことで、横地さんは、救命救急センターでの自身のケアが少し変わったと言います。

 

それは、たとえば患者さんに付き添ってきた家族への接し方。

 

救急はどうしても急ぐ必要のある領域とはいえ、動揺している家族にADLの状態を矢継ぎ早に質問したり、機械的に対応してしまったり――

 

「つい家族の気持ちを置き去りにしてしまうことがあったな、『救急の処置に必要な情報が早く取れればいい』みたいな感覚があったかもしれないな、と気づいたんです」

 

個別性の大きい在宅の暮らしを具体的にイメージできるようになったことで、不安に寄り添う言葉を掛けられるようになったり、「自宅での生活状況」を丁寧に聞けるようになったりしたと話す横地さん。

 

患者さんや家族から返ってくる情報の“深さ”や“濃さ”も増し、「その情報を病棟に送って『治療目標は、こういう生活に戻ること』と治療目標を共有できるようにもなりました」。

 

 

「今は病院で頑張る」という選択

横地さんの写真

 

「いずれやりたい」と考えていた在宅の現場を実際にのぞいてみて、訪問看護に対する横地さんの今の気持ちは、

 

「バイトならやりたい」。

 

「中堅にさしかかって、今は病院、救急でのステップアップが楽しいというのが正直な気持ち。今すぐ(病院を辞めて)完全に訪問看護にシフトしようとは、あまり考えられないんです。訪問看護のバイトがあったら、休日でやりたいなと思っています」

 

でも、訪問看護師の道は、将来の選択肢として持ち続けています。

 

きっと、横地さんの次の転機は、在宅ケアのニーズが膨らむ2025年。

 

「そのころまでには、自分の進む方向性が見えてくるかなと思ってます」

 

 

見学を受け入れる訪問看護ステーション側は?

見学・研修を受け入れる訪問看護ステーションが増え、最近は、ホームページに見学申し込みフォームを設けている事業所も少なくありません。

 

年間100人ほどの見学を受け入れているケアプロ訪問看護ステーション東京に、受け入れ側の気持ちを聞きました。

 

ケアプロの金坂さん、内田さんの写真

ケアプロ在宅事業部長の金坂さん(右)と中野ステーション所長の内田さん。ケアプロは若手が多く、見学にくるのも20~30代ナースがほとんどだそう

 

「ケアプロの場合、訪問看護をもっと広めたいという事業所の理念と、採用につなげたいという目的から、見学や研修を積極的に受け入れる方針を取っています」。

 

こう話すのはケアプロ在宅医療事業部長の金坂宇将さん。

 

「もちろん受け入れには負担もありますから、そんなに数多くは難しいですし、就職を希望されている方を優先的に受け入れる時期もあります。

 

ただ、見学には訪問看護の啓発という目的もあるので、直接の採用につながらなくても、興味を持っていただける機会になるならOKです」というスタンスだそう。

 

このあたりは事業所の考え方によっても違いが大きく、人手の少ない小規模なステーションでは、見学の受け入れ自体が厳しいところも。

 

「国として訪問看護を推進していくうえで、見学・研修・出向がもっとしやすくなるような支援が必要だと思っています」(金坂さん)

 

以前は急性期病院で働いていた内田繭子さんも、たくさんの病院ナースに訪問看護を経験してほしいと言います。

 

「在宅をやってみると、自宅に帰れない人はいないな、と本当に思うんです。

でも、それは地域に受け入れる資源があればこそ。訪問看護師も、在宅を知っている病院の看護師も、もっと増えるといいですよね

 

***

第1回:病院ナース、これから2年「訪問看護」やってみます!|病院ナースの訪問看護(1)

第2回:わがままで怒鳴る「困った患者」は、普通の気のいいおじさんだった|病院ナースの訪問看護(2)

第4回:「3年後は訪問看護師」が約束された病棟ナースたち|病院ナースの訪問看護(4)

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

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