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2019年02月22日

後を絶たない「児童虐待死」、緊急総合対策で医療機関の体制整備も|看護roo!ニュース

児童虐待イメージ

虐待により幼い命が奪われる痛ましい事件が続いています。

 

ニュースで目にし、やり切れない思いになった方も多いのではないでしょうか。

 

児童虐待防止法では、児童虐待を発見しやすい立場にある看護師は早期発見に努め、その疑いがある子どもを発見した場合には速やかに福祉事務所や児童相談所へ通告するよう定められています。

 

看護師として知っておきたい、日本における児童虐待の現状や医療者に求められる役割、2018年7月にまとめられた「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」について紹介します。

 

 

児童虐待の相談件数は13万件超

厚生労働省によると、児童相談所での児童虐待の相談対応件数は、2017年度は13万3778件(速報値)でした。この10年で3倍以上に増加しています。

 

児童相談所での虐待相談対応件数とその推移/2008年度:42,664、2009年度:44,211、2010年度:56,384(東日本大震災の影響により、福島県を除く)、2011年度:59,919、2012年度:66,701、2013年度:73,802、2014年度:88,931、2015年度:103,286、2016年度:122,575、2017年度:133,778(速報値)/10年で3倍以上に増加/出典:厚生労働省「児童相談所での児童虐待相談対応件数」

 

相談内容は、2017年度は「心理的虐待」が54.0%と最も多く、次いで「身体的虐待」が24.8%、「ネグレクト」が20.0%でした

 

以前は、「身体的虐待」や「ネグレクト」が多い傾向でしたが、年々、「心理的虐待」の割合が増加。この5年ほどは「心理的虐待」が一番多い状態が続いています。

 

児童相談所での虐待相談の内容/心理的虐待:54.0%、身体的虐待:24.8%、ネグレクト:20.0%、性的虐待:1.2%/心理的虐待が半数以上/出典:厚生労働省「平成29年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

 

 

医療機関からの虐待相談は2.4%

児童相談所に寄せられた虐待の相談は、2017年度は「警察等」からの相談が約半数を占め、「医療機関」からの相談は2.4%(3199件)でした。

 

この10年、医療機関からの相談件数は、全体の2~4%程度にとどまっています。

 

児童相談所での虐待相談対応の経路別件数割合/警察等:49.4%、近隣知人:12.7%、家族:7.2%、学校等:6.9%、福祉事務所:5.7%、医療機関:2.4%、親戚:1.6%、児童福祉施設:1.5%、児童本人:0.8%、児童委員:0.2%、保健所:0.1%、その他:11.4%/出典:厚生労働省「平成29年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

 

 

2016年度の児童虐待による死亡事例は77人

厚生労働省の調査によると、あくまで表面化した事例ですが、2016年度に発生した児童虐待による死亡事例は77人でした。

 

そのうち、亡くなった際の年齢は0歳が32人と最も多く、3歳未満の子どもが全体の8割以上を占めていました。

 

児童相談所での虐待相談対応件数とその推移/2008年度:42,664、2009年度:44,211、2010年度:56,384(東日本大震災の影響により、福島県を除く)、2011年度:59,919、2012年度:66,701、2013年度:73,802、2014年度:88,931、2015年度:103,286、2016年度:122,575、2017年度:133,778(速報値)/10年で3倍以上に増加/出典:厚生労働省「児童相談所での児童虐待相談対応件数」


児童相談所での虐待相談の内容/心理的虐待:54.0%、身体的虐待:24.8%、ネグレクト:20.0%、性的虐待:1.2%/心理的虐待が半数以上/出典:厚生労働省「平成29年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

児童相談所での虐待相談対応の経路別件数割合/警察等:49.4%、近隣知人:12.7%、家族:7.2%、学校等:6.9%、福祉事務所:5.7%、医療機関:2.4%、親戚:1.6%、児童福祉施設:1.5%、児童本人:0.8%、児童委員:0.2%、保健所:0.1%、その他:11.4%/出典:厚生労働省「平成29年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

児童虐待による死亡事例の推移/2003年(第1次)25(心中以外の虐待死:25)、2004年(第2次)58(心中以外の虐待死:50、心中による虐待死:8)、2005年(第3次)86(心中以外の虐待死:61、心中による虐待死:65)、2007年(第5次)142(心中以外の虐待死:78、心中による虐待死:64)、2008年度(第6次)128(心中以外の虐待死:67、心中による虐待死:61)、2009年度(第7次)88(心中以外の虐待死:49、心中による虐待死:39)、2010年度(第8次)98(心中以外の虐待死:51、心中による虐待死:47)、2011年度(第9次)99(心中以外の虐待死:58、心中による虐待死:41)、2012年度(第10次)90(心中以外の虐待死:51、心中による虐待死:39)、2013年度(第11次)69(心中以外の虐待死:36、心中による虐待死:33)、2014年度(第12次)71(心中以外の虐待死:44、心中による虐待死:27)、2015年度(第13次)84(心中以外の虐待死:52、心中による虐待死:32)、2016年度(第14次)77(心中以外の虐待死:49、心中による虐待死:28)/2003年から2007年までは歴年、2008年度以降は年度/出典:社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の検証結果

 

 

医療機関の体制整備も盛り込まれた「緊急総合対策」

2018年3月、東京都目黒区で5歳の女児が虐待を受けて死亡したとされる事件がテレビや新聞で大きく報じられました。この際、転居による児童相談所間の連携不足などが明るみになりました。

 

こうした事態を受け、政府は2018年7月、同じような虐待死を防ぐために、「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」をまとめました。

 

緊急総合対策では、児童福祉司を2022年度までに現状より約2000人増員する方針や、転居した場合の児童相談所間の情報共有を徹底することなどが示されました。

 

また、「医療を必要とする子どもの保護の体制強化」「医療機関における児童虐待対応体制の整備」など医療機関の対策も盛り込まれました。

 

具体的には、

 

  • 退院可能な子どもに対し、速やかに適切な支援を提供するため、児童相談所と医療機関、児童養護施設等との調整機能の強化
  • 退院後の受け皿確保
  • 心身の状況により入院が長期化せざるを得ない子どもの付き添い職員の配置

 

などの取り組みです。

 

また、2018年度の診療報酬改定で、入退院支援加算の対象患者に「虐待を受けている・その疑いがある患者」が追加されたことによる効果などを調査・検証。入退院における医療機関と関係機関の連携を推進していくとしました。

 

 

児童福祉司の増員の前倒しなど、「緊急総合対策」の強化が決定

しかし、2019年1月、千葉県野田市で10歳の女児が虐待により死亡したとみられる事件が発生しました。女児は、学校のアンケートで父親から暴力を受けていると書きましたが、その悲痛なSOSは生かされませんでした。

 

政府は2月8日、関係閣僚会議を開き、2018年7月にまとめた緊急総合対策のさらなる徹底や強化を図る方針を決めました。

 

具体的には、児童相談所に対し、在宅指導をしているすべての虐待ケースについて、子どもの安全確認を1カ月以内に実施するよう指示。保護者が虐待を認めず、転居を繰り返すなど関係機関とのかかわりを避ける場合には、ためらわずに一時保護や立入調査などを行うよう要請しました。

 

また、子どもの安全を第一に考え、「保護者に通告元は一切明かさない、資料は一切見せない」という新しいルールを設定。児童福祉司の増員を前倒しし、2019年度中に1070人程度増やすなど、児童相談所の体制強化を図る考えです。

 

 

子どもを虐待から守る重要な役割を担う医療機関

医療機関から児童相談所への虐待の通告は、数はそれほど多くはありません。

 

しかし、医療機関では、乳幼児健診などでの早期発見や、治療を要する重篤な虐待のケアなどで、子どもを虐待から守る重要な役割を担っています。

 

今後、小児科や産科を中心に、医療機関と児童相談所の連携がさらに強化され、医療者が児童虐待にかかわる機会が増えていくとみられます。

 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策(児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議)

「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底・強化について(児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議)

子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第14次報告)(厚生労働省)

子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(厚生労働省)

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