小児の腸重積の整復
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は小児の腸重積の修復について解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
小沼貴子
練馬光が丘病院/小児救急看護認定看護師
腸重積
腸重積とは、何らかの原因により小腸または、大腸の一部が腸管内に嵌入し、二重に畳み込まれて腸閉塞に陥った状態である(図1)。
図1 注腸造影 特徴的なカニ爪様陰影欠損

先進部の重積腸管が腸蠕動により肛門側へ進んでいくとともに、重積時に巻き込まれた腸管膜が圧迫されて静脈還流が障害され、腸管浮腫が進行する。
粘膜出血による下血を生じ、最終的には腸管壊死に至るため、迅速な治療が必要である。
腸重積の症状、身体所見、検査、治療については、下記のとおり。
図2 腸重積の症状

図3 腸重積の身体所見

図4 腸重積の検査

表1 腸重積の治療

造影剤注腸法
❶家族に説明をし、同意書を得る。
造影剤は事前に温め、透視台からの高さが約1mになるように吊るしておく。
室温を25度前後に設定し、必要物品を準備する(図5)。
図5 必要物品

①直腸バルーンカテーテル(18Fr・24Fr)
②造影剤、潤滑剤
③生理食塩液、蒸留水
④イルリガートル
⑤クランプ鉗子、注射器(20mL)
⑥バスタオル、防水シーツ、シートおむつ、紙おむつ
⑦未滅菌ガーゼ、弾性包帯、手袋
❷直腸カテーテルのバルーンが膨らむことを確認し、先端に潤滑剤を塗る(図6)。
図6 バルーンが膨らむか確認し先端に潤滑剤を塗る

❸透視台に防水シーツ、バスタオル、シートおむつを敷き、患児を仰向けに寝かせ、衣服・おむつを脱がせる。
直腸バルーンカテーテルを肛門に挿入、空気を入れ、弾性包帯で大腿部を固定する(図7)。
図7 弾性包帯で大腿部を固定する

❹腹部を撮影後、注腸造影による整復を開始する(図8)。この際、バスタオルを患児の上半身にかけ、保温を図り、両肩を固定する。
整復後は、臀部・肛門を拭く。おむつと衣服を着せ、患児の機嫌、腹部状態、全身状態を観察する。
図8 腹部を撮影後、整復を開始する

整復後の観察と家族への説明
●整復が終了したことを家族に伝え、以下を説明する。
①問題なく整復が行われた場合でも、数日入院の上、経過を観察する。
②しばらくは、便に血が混じったり、下痢がみられることがある。
③多量の血液が便に混じる場合には、医療者に伝える。
④造影剤は脱水を起こすことがある。尿量や回数が少ない場合は、医療者に伝える。
⑤腸重積は再発する可能性があり、腹痛、嘔吐、血便などの症状に注意する。
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ


