体位変換前にバイタルサインの確認を行うのはなぜ?|体位変換

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は体位変換に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

体位変換前にバイタルサインの確認を行うのはなぜ?

体位を変換する前に一般状態に異常がないかどうか確かめるためです。これは、患者の安全を守るために必要な行為です。

 

特に気をつけたいのが脈拍血圧です。重篤な患者は特に、体の向きを変えることによって循環動態が変化しますので、脈拍の数、緊張、リズムなどを観察し、血圧測定を行い、明らかに著しい異常がないと確認してから行うことが大切です。

 

体位変換中、体動によるめまい頭痛、悪心、発汗などがないかチェックすることも重要です。気分不快、顔色不良などがないかどうか、表情も確かめます。

 

何らかの異常があると思われる場合は、変換後に脈拍と血圧、酸素飽和濃度(SpO2)などの測定を行い、変換前の数値と比較します。

 

一般に、循環血液量が最も増加するのは仰臥位です。ファーラー位、座位、立位の順で循環血液量は減少します。

 

血圧は、仰臥位で最も収縮期血圧が上昇し、ファーラー位、座位、立位の順で低下してきます。反対に拡張期血圧は立位で最も上昇し、座位、ファーラー位、仰臥位の順で低下します。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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