「PEGの適応」に関するギモン|PEGケアQ&A

『病院から在宅までPEG(瘻)ケアの最新技術』より転載。

 

今回は「PEGの適応」に関するギモンについて説明します。

 

岡田晋吾
北美原クリニック理事長

 

〈目次〉

 

とても栄養状態の悪い患者に、PEGをつくってもかまいませんか?

超低栄養(Alb<2.0)では瘻孔が形成されない場合があるため、静脈栄養や経経管栄養で栄養状態を整えてからPEGを造設します。低栄養患者の場合、リフィーディングシンドロームが起こりやすいので、注意が必要です。

 

講演の際に「低栄養の方にPEGをつくっても、1か月以内に亡くなるケースが多いのですが、どこが悪いのでしょうか」という質問を多く受けます。

 

高度な低栄養患者はまず、静脈栄養・経鼻経管栄養を

まず、血清アルブミン値が2.0を切るような超低栄養患者では、PEGを造設しても瘻孔が形成されない場合があります。高度な低栄養患者の場合には、静脈栄養や経鼻経管栄養などを先行し、栄養状態を整えてからPEGを造設したほうがよいでしょう。

 

ただし、低栄養患者では、瘻孔が形成されても、代謝に関する重篤な合併症「リフィーディングシンドローム(Refeeding Syndrome)」が起こり得るので注意が必要です。

 

リフィーディングシンドロームとは

リフィーディングシンドロームとは、マラスムス(marasmus)のような長期間に栄養不良状態が続いている患者に、急速に大量のブドウ糖を投与した際に発生する一連の代謝性合併症の総称です。

 

PEG造設が必要な低栄養患者では、体脂肪を分解して生じた遊離脂肪酸とケトン体をエネルギー源とする代謝経路に生体が適応しています。そこに、糖質が急激に入ってくると、インスリン分泌が刺激された結果、K(カリウム)やMg(マグネシウム)が細胞内に取り込まれ、低K・Mg血症となり、不整脈の原因となります。

 

さらに、糖質負荷によりATPが産生されると、P(リン)が消費されて低P血症となり、貧血や痙攣・横紋筋融解が起こって呼吸機能低下を招くのです。

 

図1リフィーディングシンドローム発生のメカニズム

リフィーディングシンドローム発生のメカニズム

 

高度な低栄養では少ないエネルギー量から開始

リフィーディングシンドロームを予防するには、まず「%IBW(ideal body weight:基準体重比)が70%を割るような高度な栄養不良に対して栄養療法を行う際はリフィーディングシンドロームが発生する」というリスクを十分に認識することが大切です。

 

高度な低栄養患者に栄養剤を投与する場合は、少ないエネルギー量からはじめ、血清P・Mg・グルコース濃度をモニタリングしながら全身状態も観察して、徐々にエネルギー量を増やしていくことが重要です。

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2010照林社

 

[出典] 『PEG(胃瘻)ケアの最新技術』 (監修)岡田晋吾/2010年2月刊行/ 照林社

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