BEP療法(化学療法のポイント)/精巣腫瘍

この連載では、抗がん剤のポイントや注意点について解説します。
今回は、精巣腫瘍の患者さんに使用する抗がん剤「BEP療法(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン療法)」について、レジメンや副作用、治療成績について紹介します。

 

第2話:『BEP療法(看護・ケアのポイント)/精巣腫瘍

BEP療法(1)/精巣腫瘍

 

和田耕一郎
(岡山大学病院 泌尿器科)

 

BEP療法のポイントA・B・C

  • ポイントA:若い患者さんが多いので、学校や仕事、家庭環境などに配慮して看護しよう!
  • ポイントB:副作用の好中球減少症と発熱、腎機能低下、間質性肺炎(肺線維症)に注意しよう!
  • ポイントC:長期の化学療法となるので、よい「患者さん-看護師関係」を構築しよう!

 

〈目次〉

 

BEP療法は精巣腫瘍の患者さんに行う抗がん剤治療

BEP(ベップ)療法は、精巣腫瘍に対するファーストライン(初回化学療法)として、強く推奨されています。

 

精巣腫瘍に対しては、まず精巣を広範囲に摘除して病理診断を行い、BEP療法をできるだけ早期に(時には術翌日から)開始することがあります。

 

標準的には、3ないし4コース行って効果を判定し、必要なら別の化学療法や放射線療法、手術(リンパ節郭清や肺などの転移切除)を追加します。

 

BEP療法のポイントA

  • 若い患者さんが多いので、学校や仕事、家庭環境などに配慮して看護しよう!

 

BEP療法で使用する薬剤

BEP療法で使用する薬剤は、表1のとおりです。

 

 

表1BEP療法で使用する薬剤

BEP療法で使用する薬剤

 

(写真提供:日本化薬株式会社)

 

BEP療法のレジメン

ブレオマイシン(ブレオ)は、2、9、16日目(Day 2、9、16)に投与します。エトポシド(ラステット)とシスプラチン(ランダ)は、1~5日目に投与します(表2)。

 

 

表2BEP療法のレジメン

BEP療法のレジメン

 

BEP療法で使用する薬剤の投与方法(表3

 

表3BEP療法の投与方法

BEP療法の投与方法

 

(総輸液量:1日目は3,500mL~4,500mL、2日目は4,000mL~5,000mL、3~5日目は3,500mL~4,500mL、6~8日目は1,500mL~2,500mL)
生食=生理食塩水

 

*本投与方法は、岡山大学病院で行われているものです(2017年5月現在)。

 

BEP療法の代表的な副作用

BEP療法の副作用は、嘔気や嘔吐、食欲不振などの消化器症状、脱毛、味覚障害などが高い頻度で認められます。骨髄抑制については,特に白血球(好中球)や血小板が減少しますが、長期の化学療法となることが多いため貧血に対して輸血を行うこともあります。

 

その他、注意すべき副作用として、シスプラチン(ランダ)による腎機能障害ブレオマイシン(ブレオ)による間質性肺炎(肺線維症)があります。頻回な採血による腎機能のチェック、施設によっては毎コース前に呼吸機能検査を行って間質性肺炎の有無をモニターします。

 

場合によっては、ブレオマイシン(ブレオ)を除くEP療法(エトポシド+シスプラチン療法)を行うことがあります。

 

BEP療法のポイントB

  • 副作用の好中球減少症と発熱、腎機能低下、間質性肺炎(肺線維症)に注意しよう!

 

BEP療法の治療成績

BEP療法は、精巣腫瘍に対して行うべきファーストラインの治療法と考えられています1)。精巣腫瘍は化学療法の感受性がよいため、完治を目指した化学療法を行います。すなわち、ドーズダウン(抗がん剤の減量)や投与スケジュールの変更(遅延)はほとんど行いません

 

BEP療法を3ないし4コース施行することにより、転移を有する精巣腫瘍の患者さんにおいても、70~80%は長期の寛解を得ることが可能とされています。

 

しかし一方で、残りの20~30%の患者さんについては、BEP療法以外の化学療法を継続する必要があり、長期間の化学療法を必要とします2)

 

BEP療法のポイントC

  • 長期の化学療法となるので、よい「患者さん-看護師関係」を構築しよう!

 

[関連記事]
  • 第2話:『BEP療法(看護・ケアのポイント)/精巣腫瘍』
  • ⇒『抗がん剤 A・B・C』の【総目次】を見る

 


[文 献]

 

 


[監 修]
齋藤信也
岡山大学大学院保健学研究科 教授

 

[編 集]
西森久和
岡山大学病院 血液・腫瘍内科

 

[執 筆]
和田耕一郎
岡山大学病院 泌尿器科

 


*本連載では、薬剤の厳密な指示・副作用・投与スケジュールなどについて記載されていますが、これらは2017年5月時点のもので、変更される可能性がございます。薬剤の使用にあたっては、製品に添付されている最新の情報を十分にご参照ください。

 

*本連載では、登録商標マーク®の記載はすべて省略しています。

 

SNSシェア

看護知識トップへ