小児もNPPVを使用する?実施時の注意点は?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「小児へのNPPV実施時の注意点」に関するQ&Aです。

 

濱本実也
公立陶生病院集中治療室師長

 

小児もNPPVを使用する?  実施時の注意点は?

 

適応疾患において、インターフェイス(マスクやプラグなど)が装着でき、 気道確保ができる場合は小児もNPPVを使用することがあります。

 

〈目次〉

 

小児におけるNPPVの適応疾患と適応基準

小児におけるNPPVは、神経筋疾患患者、ミオパチー、閉塞型睡眠時無呼吸症候群、先天型筋強直性ジストロフィーなど、さまざまな疾患が適応となる(1)

 

適応疾患であっても、NPPVを理解できない年齢の小児や、NPPV使用に慣れていない環境では窒息のリスクが高いため注意が必要である。

 

小児のNPPVは、児の心理発達面や安全性への期待から選択されることもあり、医療者はNPPVの管理技術を高めることはもちろん、緊急挿管など危機対応にも備えておく。

 

NPPVの適応基準(表1)は、慢性肺胞低換気症状や上気道炎、CPAPで改善しない睡眠時無呼吸障害などである。禁忌は、気道確保ができない、慢性的な誤嚥、インターフェイスの装着が困難などである。

 

表1小児へのNPPV適応基準

 

  • 慢性肺胞低換気症状(睡眠時の頻繁な覚醒、日中の眠気、集中力の低下、朝の倦怠感・疲労感・食欲不振、呼吸不全に起因する心不全徴候など)
  • 頻繁な上気道炎
  • 気管挿管人工呼吸離脱困難
  • CPAPで改善しない睡眠時呼吸障害
  • 肺性心の所見
  • PaCO>45Torr、またはSpO低下

⇛これらの適応基準を満たし、本人や家族の同意が得られ、気道確保が困難などの禁忌がなければ、NPPVの導入を検討する。

 

(日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会:NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン.南江堂,東京,2006:88.を参考に作成)

 

小児におけるNPPV実施のポイント

NPPVを小児に使用する場合、マスクに対する恐怖心へ十分に配慮する。また、患児の意志や同意を尊重することがその後の継続を左右することにつながるため、あわてずに導入することが重要である。

 

マスク装着の際は、すぐに口に当てるのではなく肌で送気を感じてもらい、徐々に口元へ移動させる。当てたり外したりを繰り返しながら、患児が呼吸を合わせやすいよう「吸って」「吐いて」と声をかける。あるいは、患児の胸郭の動きを確認しながら、呼吸に合わせるようにする。

 

神経筋疾患など病状の悪化に伴いNPPVが必要になるような疾患では、換気が低下した際に手動式換気を行い、陽圧による呼吸を体験する機会をもっておくと、NPPVをスムーズに導入できる。

 

小児は皮膚が脆弱なため、マスクはジェルマスク(図1)など、皮膚にやさしい素材のものを使用する。

 

図1小児専用ジェルマスク

小児専用ジェルマスク

 

皮膚トラブルが予測される場合には、①あらかじめ皮膚の保護を行う、②複数のインターフェイスを交互に使用するなど、予防策を講じる。

 

鼻プラグ(図2)などを使用する場合、鼻腔~気管部分の抵抗により数値上一定の圧がかかって見えるが、肺までエアが十分に届いていないことがある。必ず胸郭の動きと呼吸音を評価し、患者の状態を確認する。

 

図2鼻プラグ

鼻プラグ

 


[文献]

  • (1)日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会 編:NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン.南江堂,東京,2006.
  • (2)Chevrolet JC, Jolliet P. Workload of Non-Invasive Ventilation in Acute Respiratory Failure. In:Vincent JL ed. Year book of intensive and emergency medicine 1997. Berlin: Springer-Verlag; 1997: 505-513.
  • (3)濱本実也:NPPVと看護.人工呼吸2009;26:44-47.
  • (4)Esteban A, Frutos-Vivar F, Ferguson ND, et al. Noninvasive positive-pressure ventilation for respiratory failure after extubation. N Eng J Med 2004; 350: 2452-2460.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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