クレアチニン・クリアランス(Ccr)|腎・泌尿器系の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、クレアチニン・クリアランス(Ccr)について解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

クレアチニン・クリアランスとはどんな検査か

クレアチニンクリアランス(creatinine clearance;Ccr)とは、血液中のクレアチニンと尿中のクレアチニンを測定し、計算式(表1)から腎臓機能(糸球体濾過値)を調べる検査である。

 

表1クレアチニンクリアランスの計算式

 

クレアチニンクリアランス(Ccr)(ml/min)=U×V/S×1.73/ A
U:尿中Cr濃度(mg/dL)、V:1分間尿量(mL/min)、S:血清Cr値(mg/dL)、A:体表面積(m2)
1.73: 日本陣の平均体表面積((m2)、2001年の日本腎臓学会で従来の1.48から変更)

 

クレアチニン(Cr)とは

クレアチニン(Cr)は血液中に含まれているクレアチニンの事を血清クレアチニン値という。

 

クレアチニンは、血液中に存在する老廃物の一種で、本来は尿を排泄する時に一緒に排出される物質だが、腎機能が低下した場合は尿に排出されず、そのまま体内にとどまり、血液中に蓄積されていく。

 

血液中のクレアチニンの数値を調べることによって、腎臓の機能が正常に働いているかどうかがわかる。

 

クレアチニンクリアランス

腎機能を調べるためのスクリーニング検査としては、尿素窒素もクレアチニンも腎機能の検査としてよく使われているが、これらの検査が高値を示すようになるのは、腎機能(糸球体濾過率)が正常の50〜75%以下になってからで、軽い腎機能の障害の場合は発見することができない。

 

そのためクレアチニンに限らず、腎機能を詳しく調べるためには、さらに精密検査が必要となり、腎臓の機能をある程度正確に反映している検査として行われる検査がクレアチニンクリアランス検査となる。

 

クレアチニンクリアランスの値は、糸球体が濾過する原尿の量とほぼ一致することから、糸球体濾過量(GFR)を推測し、腎機能の判断することができる。

 

クレアチニンクリアランスの基準値

  • 男性:90~120 mL/min
  • 女性:80~ 110 mL/min

成人のほうが小児・高齢者よりも高値を示す。異常値を示す疾患を(表2)に示す。

 

表2クレアチニンクリアランスの異常値を示す疾患

クレアチニンクリアランスの異常値を示す疾患

 

クレアチニン・クリアランス検査の目的

  • 腎機能の評価。
  • 腎不全患者における投薬量の調節。
  • 腎機能の経過・回復。

 

クレアチニン・クリアランス検査の実際

クレアチニンクリアランスの検査方法には、短時間法、24時間法の2種類がある。

 

短時間法(1回法、2回法)

短時間法には採血・採尿を1回ずつ行う1回法と2回ずつ行う2回法がある。

 

短時間法の必要物品

・ 500 mL の水 ・ 検体容器(クレアチニン測定用) ・消毒綿 ・駆血帯 ・注射針 ・採血ホルダーまたは5 mL 注射器 ・採尿コップ ・蓄尿容器 ・検尿スピッツ

 

短時間法の検査手順

  1. 検査の目的・方法についての医師からの説明後、検査開始前に手順を説明する。検査終了まで食事はとらないようにする(飲水可)。
  2. 排尿させた後、500mLの水を飲用する(飲水負荷)。
  3. 飲水後60分に排尿させ、完全に排尿し終わった時の時刻を正確に(1分以内の誤差)で記録する(検査開始)。
  4. 開始30分後に採血(3~ 5 mL)。
  5. 開始60分後に完全排尿し、蓄尿する。尿量および終了時間を正確に記録。完全排尿した尿の一部を提出する【1回法】。
  6. 開始90分後に2回目の採血、120分後に2回目採尿を行い、重複試験を行って2回目の平均値をとる【2回法】。

 

24時間法

24時間法は、その日に提出した尿すべて捨てて、それ以降にとった尿を容器に貯めて尿の量を重視する。24時間たった後の尿でクレアチニンの数値を測定する。

 

24時間法の必要物品

・検体容器(クレアチニン測定用) ・消毒綿 ・駆血帯 ・注射針 ・採血ホルダーまたは5 mL注射 器 ・採尿コップ ・蓄尿容器 ・検尿スピッツ

 

24時間法の検査手順

  1. 医師から検査の目的や方法について患者へ説明後、検査開始前に手順を説明する。
  2. 開始時刻に完全排尿する(尿は破棄)。
  3. 完全排尿後から、翌日同時刻までの24時間の尿をすべて容器に蓄尿する。
  4. 施行時間中の空腹時(朝食および昼食前)に3〜5 mL 採血を行い、検体は冷所保管する。
  5. 終了時間前に完全排尿し、蓄尿し検査終了。
  6. 蓄尿量を測定し記録する。
  7. 蓄尿された尿を混和し尿の一部を検体容器に採取する。
  8. 検査室へ採血スピッツ、検尿スピッツ、尿量明記したものとともに提出する。
  9. 蓄尿が一度でもできなかった(捨ててしまった、失敗してしまったなど)場合は正確なデータが出ない可能性があるため、必ず患者に報告するよう説明する。

 

クレアチニン・クリアランス検査に関する患者との問答例

おはようございます。今日は1日お小水をためる検査の日です。もう7時になりますのではじめの排尿をしてください。

 

え、もう、ため始めるんでしたっけ?

 

いいえ。最初のお小水はトイレに流してかまいません。その次の尿から、全部捨てずにカップに採って容器にためてください。1回でも捨ててしまうと正確な検査ができなくなるので、忘れずに採ってくださいね。

 

わかりました。でも、もしうっかりしてためるのを忘れてしまったらどうすればいいですか。こぼしてしまった時とか……。

 

日を改めてもう一度検査をすることになるかもしれません。あるいは不足の分などを修正して検査結果を考えることもできますが、きちんと測定できた結果のほうがいいですよね。
いずれにしても、採れなかったときには看護師にお知らせください。

 

はい。わかりました。じゃ、最初のトイレに行ってきます。あとは明日の7時まで、ためればいいんですね。

 

明日の朝、7時前にまたお声をかけますね。後で朝食前に採血にお伺いします。

 

分かりました。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

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